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    熱中症〜最高気温にご注意〜 2003年8月 第5号  
  気温がある閾値(いきち)を超えると、熱中症が多発します

これから日中の気温が急激に上昇する時期に入ります。気温がある閾値(いきち)を超えると、例年熱中症が多発します。人は地球の至る所に住んでおり、気候に対しては広い適応能を示しています。気温についても行動的・文化的適応に加え、適切な生理的体温調節機能を示します。36℃の体温を維持する上でこの機能は非常に重要ですが、性・年齢・個人や人種により大きな差があります。このため気温と熱中症の関係にも大きな差が出てきます。

労作性熱中症は、労働中やスポーツ中に体内の熱産生が大きくなりすぎ、体温上昇と脱水症状が原因で発生するため、発生時の気温に比較的幅があります。これに対し、暑熱による受動性熱中症(古典的熱中症)は、アメリカ合衆国、中国、インド等大陸性気候下の地域において観測される熱波の際に多発しています。

1995年7月12〜16日の間に起こったアメリカ合衆国シカゴにおける猛暑の事例では、この期間の最高気温は33.9〜40.0℃という高温でした。このため多数の熱中症患者が発生し、うち465名がこの期間に熱中症で亡くなっています。

海洋性気候の日本においては、これまで熱波に相当する気象現象は起こらないと考えられてきましたが、ヒートアイランド現象の著しい大都市を中心に、夏季における猛暑が著しくなりつつあります。ヒートアイランド現象は、大都市におけるエネルギー消費の増大と人工建築物の熱放散が原因で、郊外に比べて数度の気温上昇が観測される現象を指します。

図1は東京の事例ですが、熱中症発生は日最高気温との間に密接な関係がありますので、特に都市に居住する人の場合、熱中症発生のリスクに注意する必要があります。

熱中症発生率と日最高気温

一般的には気温が上昇し熱ストレスを感じると、人は脳の体温調節中枢で熱産生系、循環系、発汗系の調節を行い、生理的に体温の上昇を抑制します。環境温度の上昇によりこのホメオスタシスの維持ができなくなり、体温が上昇(高体温症)したり、脱水や塩分不足におちいると、熱疲弊(ねつひへい)、熱痙攣(ねつけいれん)、熱射病といった熱中症の症状が現れます。

ヒートアイランド現象の進行や地球温暖化に伴い、夏季の猛暑の頻度が多くなると予測されているため、夏季の暑熱に対する熱中症予防への取り組みが今後一層重要になります。高齢者も若い人も、猛暑の際の日中の外出や活動をひかえ、室温管理に気を配るとともに、水分やミネラル摂取に配慮する必要があるでしょう。