これから日中の気温が急激に上昇する時期に入ります。気温がある閾値(いきち)を超えると、例年熱中症が多発します。人は地球の至る所に住んでおり、気候に対しては広い適応能を示しています。気温についても行動的・文化的適応に加え、適切な生理的体温調節機能を示します。36℃の体温を維持する上でこの機能は非常に重要ですが、性・年齢・個人や人種により大きな差があります。このため気温と熱中症の関係にも大きな差が出てきます。
労作性熱中症は、労働中やスポーツ中に体内の熱産生が大きくなりすぎ、体温上昇と脱水症状が原因で発生するため、発生時の気温に比較的幅があります。これに対し、暑熱による受動性熱中症(古典的熱中症)は、アメリカ合衆国、中国、インド等大陸性気候下の地域において観測される熱波の際に多発しています。
1995年7月12〜16日の間に起こったアメリカ合衆国シカゴにおける猛暑の事例では、この期間の最高気温は33.9〜40.0℃という高温でした。このため多数の熱中症患者が発生し、うち465名がこの期間に熱中症で亡くなっています。
海洋性気候の日本においては、これまで熱波に相当する気象現象は起こらないと考えられてきましたが、ヒートアイランド現象の著しい大都市を中心に、夏季における猛暑が著しくなりつつあります。ヒートアイランド現象は、大都市におけるエネルギー消費の増大と人工建築物の熱放散が原因で、郊外に比べて数度の気温上昇が観測される現象を指します。
図1は東京の事例ですが、熱中症発生は日最高気温との間に密接な関係がありますので、特に都市に居住する人の場合、熱中症発生のリスクに注意する必要があります。
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