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連載エッセイ [5]
異常気象を追う
吉野正敏

 
竜巻
 
竜巻と陣風

 竜巻(たつまき)とは(図1)に見るように、積乱雲が発達したときに地表面に収束してきた気流のなかで起こる瞬発性の回転する強風である。収束してきた気流は上昇気流となる。個々の竜巻は比較的短時間のうちに終わるが、幾つも続いて発生することがある。また、地表面付近では気圧の急下降がある。

(図1)東京における3月の月平均気温と開花日の関係。
(図1)発達した積乱雲にともなう竜巻と陣風、その他の現象を示す模式図

 竜巻の構造は柱状または漏斗上の雲が積乱雲の底から垂れ下がり、その軸は鉛直か、または、傾いている。海面から巻き上げられた海水の飛まつ、または、地表面から巻き上げられた砂塵などが“尻尾”のように立ち上がっている。漏斗の先が、この“尻尾”とつながっていることが多い。
 竜巻の中の空気は低気圧性(北半球では反時計回り)に回転していることがふつうで、全体の約80%が反時計回りである。竜巻の中の風速は、あらかじめ準備することができないので、測器で観測することが難しい。したがって推定値しかない。1969年12月7日の愛知県豊橋市の場合、被害の程度から推定すると最大風速は毎秒約100m、回転速度は毎秒約90mとされている。
 竜巻が発生する積乱雲の中の上昇気流の近くには下降気流(ダウンバースト)がある。これが地上にぶつかり、水平に広がる強風となって周囲に発散する。これをバーストフローと外国でよぶが、これに相当する日本語はなく、(図1)に示すように陣風(じんぷう)と呼ぶ。気圧の上昇と気温の急降下をともなう。竜巻の場合より被害の範囲は少し広いが、風速は大きくならないので、被害の程度は小さい。陣風の最大風速はこれまでの研究では毎秒50mくらいとされている。
 陣風という語をこの下降気流(ダウンバースト)が地表面とぶつかるところの強風としたのは、1970−1980年代に竜巻の構造・発生・被害などの総合研究をした京都大学を中心とする気象学者グループである。それまでは、現象もよくは解明されていなかったし、一般にも陣風の語は馴染みがなかった。諸橋徹次の「大漢和辞典」にも、“陣雨”(じんう、にわか雨)、“陣雲”(じんうん、戦場に現れる凶雲)などがでているが陣風はない。おそらく、19世紀末か20世紀初めころ、低気圧や前線、積乱雲の鉛直構造がわかっていなかった時代に、日本の気象学者が“強風域が線状に地表面を進行する現象”を陣風線と呼んだのが始まりではなかろうか。“陣風”の語の内容が歴史的にどのように変化したかは気象学史の興味ある課題である。ここでは、京都大学のグループの定義にしたがっておく。なお、最近、風工学の田村幸雄を中心とするグループが竜巻の構造・及ぼす被害などに関する総合研究をおこなった。そこでは、ダウンバーストという語を使っている。

日本の竜巻

 日本の陸上では、1年間に平均して18個の竜巻が発生する。しかし、8・9・10月の盛夏から台風シーズンにかけた時期に全体の約半分が集中するので、台風の襲来回数が少ない年、冷夏の年の年間総数は少なくなる。冷夏であった1981年には6個、1982年には4個で異常に少なかった。とにかく、年による変動が大きく、1976年は37個で、特に前線・低気圧にともなう竜巻が25個に及んだ。また、1979年は36個で、このうち、台風によるものが17個に達した。(表1)に台風・前線・低気圧などの気象状況別の発生個数を示す。

(表1)陸上における竜巻の気象状況別の発生数
  台風 前線・低気圧 その他
個数(1961−1982年の合計) 109 227 60 396
年平均 5.0 10.3 2.7 18.0
(光田 寧、1983による)

 日本の中では、発生の地域差がかなり明瞭である。特に多く発生するのは次ぎの5地域である。(1)東北地方の日本海沿岸、(2)関東平野、特に東京・千葉・茨城・埼玉、(3)東海道の太平洋沿岸、(4)九州の南部太平洋沿岸と西部沿岸、(5)南西諸島である。それぞれの地域で竜巻が発生する主な気象状態が異なり、したがって、季節性がある。いま、それをまとめると(表2)のとうりである。

(表2)日本の竜巻地域、年間の発生率(面積10,000平方km当りの個数)*と、その主な気象状況
日本の竜巻地域 県別の発生率 主な気象状況
(1)東北地方日本海沿岸 秋田0.86、山形0.44 寒冷前線
(2)関東平野 東京2.35、千葉1.88、茨城1.42、埼玉1.42、
神奈川0.76、群馬0.57、栃木0.43
台風・低気圧・寒冷前線
(3)東海道太平洋沿岸 静岡1.75、愛知0.90 寒冷前線
(4)九州:南部太平洋沿岸、
   西部沿岸
鹿児島1.79、宮崎1.65、長崎1.14、福岡0.74、
佐賀0.56、熊本0.61
台風、長崎は低気圧、他は寒冷前線
(5)南西諸島 沖縄6.30 台風・低気圧
(*データは光田 寧、1983による)

竜巻と被害

 竜巻による建造物の被害は、主として次の3原因によって起きる。その1は、建造物が風にさらされ、各部分に受けた風圧に建造物の強度が耐えられない場合。その2は、竜巻の中心部の圧力降下により建造物の外圧が降下し、内外の気圧差に建造物の強度が耐えられない場合。その3は、強風によって空中を飛ぶ物体、または、地上を転がる物体が建造物に衝突して破壊する場合である。
 竜巻の被害状況と風速との関係は藤田哲男アメリカのトルネードについて作ったいわゆる藤田スケール(Fujita-scale)がよい参考になる。(表3)がそれで、各階級の風速範囲と被害の状況が書いてあるので、もし被害が起きたらば、その状況の現地調査から当時の風速を推定することが可能である。

(表3)トルネードの藤田スケール。竜巻の階級のよい参考となる。
階級 名称 風速の範囲(m/s) 被害の程度
F0 軽微 17−32 テレビのアンテナが曲がる。木の枝の折損。移動式家屋が動く。
F1 中程度 33−49 移動式家屋の転倒。弱い木が引き抜かれる。建物の外側の破壊。
F2 強い 50−69 屋根が飛ぶ。軽い飛散物の発生。弱い構造物の破損。
F3 強烈 70−92 家の壁が倒壊。森林の樹が倒れる。大きな飛散物の発生。
F4 破壊的 93−116 施工のよい建物の倒壊。大きな飛散物の発生。1部の樹木が裂ける。
F5 予想外 117−142 強い建造物の倒壊。全部の樹木が裂ける。高速飛散物の発生。
(Fujita,T.T., 1978による)



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