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連載エッセイ [21]
異常気象を追う
吉野正敏

 
異常豪雪 ―多雪期間か最大積雪深か合計降雪量か―
 
岩手県の積雪を例に

 東北地方でも秋田県は日本海側の気候を代表し、岩手県は東北地方の内陸部と三陸沿岸の太平洋側の気候を代表している。北日本のほぼ南限に位置する点でも、年による異常、最近の温暖化の影響などが降雪や積雪の特徴に敏感に反映される。(図1)は岩手県の積雪深の年合計値の分布である。観測所は36か箇所ある。西部の奥羽山脈に近い部分では1,000cmを超す。北上川に沿う低地、盛岡・北上・江刺付近は200cm、さらに三陸沿岸では100cm以下、沿岸南部では50cm以下である。以上が、いわゆる平年の状態である。ただし、後で述べるように、これはまだ、雪が多かった1969年-1978年の10年間の平均である。
 さて、ここでは言葉を厳密に使い、降雪とは降ってくる雪、降雪量とは降ってきた雪を溶かして水として計った量(mm)で、降雨量と合わせて降水量(mm)と呼ぶ。地上に積もった雪が積雪でその深さを積雪量(cm)または積雪深(cm)と呼ぶ。これが国際的に認められている言葉の定義であるが、最近、日本では曖昧になり,「降雪量は何cm」などと報道される。これは正確に言えば、「降雪が積もったら、積雪深は何cm」のことである。ここでは異常気象の話なので、正確に使う。
アメリカ合衆国における2008年6月の洪水
(図1)岩手県における年合計積雪深(日積雪深の年合計値、cm)の分布。
岩手県土木技術センター(1999)の図の等値線を筆者が一部訂正

 では最近、積雪量、積雪深は増えているだろうか、減っているだろうか。地球温暖化により、雪は雨として降るようなことが言われるが、岩手県ではどうか。冬季の道路管理のために、約10年前に岩手県土木技術センターが詳しい調査を行いその結果を1999年に公表している。そのデータをもとにして、1969年-1978年の昭和(S)の10年間と、1989年-1998年の平成(H)の10年間との比、H/Sで表わした値の分布を(図2)に示す。50%とは平成になって昭和の半分になったことを意味する。南部から西部の山地、北部の二戸付近に50%以下の地域があるが、その他の県下、ほとんどの地域は60-80%である。北東部の山地に100%以上の地域がありそれを取り巻いて80%以上が宮古から北方の三陸沿岸にみられる。この100%以上、すなわち、近年になって降雪量が多くなっている地域が、狭いけれども県の北東部に認められることは、あとでまたふれるが、重視しなければならない。しかし、県下ほとんどの地域が100%以下であることは、近年、少雪傾向が明瞭であると言えよう。
アメリカ合衆国における2008年6月の洪水
(図2)寒冷期(昭和時代1969−1978年)と温暖期(平成時代1989−1998年)の
岩手県における10年平均積雪深の比の分布。
(1989−1998年)/(1969−1978年)x100%で表わす。
岩手県土木技術センター(1999)のデータにより筆者が等値線を引いた。

 少し詳しく(図2)を見ると、県の中央部に75%以上のやや大きい値の地域と、50%前後の小さい値の地域が東西に細く延びている。南から言うと、湯田−北上−遠野に延びる地域、雫石−区界−川井に延びる地域である。これらは、秋田県側から奥羽山脈の鞍部を越して西風が強く吹くところで、近年の温暖化してきた時代に雪の減少化傾向が、局地的にやや明瞭である。

豪雪と被害の特徴

 上に述べたように、平成にはいって降雪量あるいは積雪深は減少したが、雪による災害はどのように変わったのであろうか。寒冷期(昭和時代)の代表として1974年、温暖期(平成時代)の代表として1999年を選び、その災害の特徴を日記風にまとめると、(表1)のとうりである。

(表1)寒冷期(1974年2月)と温暖期(1999年2月)の豪雪による被害の推移

1974年 豪雪被害

2月初め 1月末より北上線不通
4日 8日ぶりに北上線全線開通
9日 8400戸停電 沿岸部大雪
久慈で300戸孤立
なだれ国道・県道を塞ぐ 東北線運休
バス運休 二戸で249の学校が休校
14日 雫石で吹き溜まりに自動車40台が立ち往生 なだれが県道塞ぐ
15日 支線の運休多し 雪害ダイヤ
県全体で被害総額15億円
スギ林被害気仙地方1.6億円
沿岸高波
16日 12本運休
22日 国道雪解け車立ち往生


1999年 豪雪被害

2月初め 1月は気温高め
1日 内陸雪
3日 冬型気圧配置強まる
4日 県内23箇所で真冬日
藪川で−24.5℃
8日 1ヶ月ぶりの本格的な雪 盛岡積雪15cm
路面凍結 花輪線強風で遅れ
10日 県内降雪 盛岡積雪7cm
12日 低気圧気象情報 大雪警報
積雪二戸54cm 盛岡30cm
JR一部運休
13日 積雪二戸56cm 湯田163cm
雫石77cm 盛岡33cm 大雪続く
14日 県南猛吹雪
高速道路閉鎖 幹線道路大渋滞
15日 県北低温、盛岡−10.2℃
16日 県南低温、江刺−11.7℃
17日 春の陽気、平年より3−9℃高め
20日 県内に寒気、藪川−17.1℃
21日 15地点で真冬日
25日 ベタ雪 積雪雫石22cm 盛岡12cm
27日 4月並の暖かさ 強風・高波・なだれ


(資料は“岩手日報”の記事より筆者がまとめた。)

 (表1)をみると、いろいろな特徴の差がある。箇条書きにすると以下のようにまとめられる。

寒冷期(昭和時代):
1.積雪深は必ずしも深くないが長期間連続する。寒気は極端ではないが低温が連続する。
2.大雪(深い積雪深)が連続するので、鉄道・バスなどの交通機関が長期間運休する。
3.停電、道路寸断、山村の孤立など、生活者への直接被害が深刻になる。
4.雪害の総被害額が莫大になる。

温暖期(平成時代):
1. 積雪深(積雪量)の極値・過去最大値など、まれに生じる極端な値が現われる。
2. 交通機関の乱れ、高速道路の閉鎖、道路交通渋滞が深刻である。
3. 列車の運休はでるが比較的はやく回復する。
4. 「低温−豪雪−春の陽気」の一連の天気変化が5−12日くらいの周期で現れる。

今後の課題

 以上の結果は、これからさらにたくさんの年について調べて、一般的な結論を導く必要がある。特に1.と4.に関しては、温暖化の進行とともにさらに明らかになるのかどうか、重要な点である。台風については、温暖化すると全体の個数は減るが、極端に強い台風の数は増えると予想されているのと似て、温暖化すると降雪、積雪の年合計量は減少するが、極端に大きな日量の値はかえって多く出現するというならば、雪害対策には重視しなければならない。
 また、日本全体からみて、このような状況は、最初に指摘したように岩手県が北日本のほぼ南限にあるために認められるのかどうか、例えば、北陸や北海道ではどうか知りたい。
岩手県東北部(図2の100%以上の地域)の傾向は青森県東部・北海道東部にもあるのかどうか。もしあるとすれば、これは北日本を東進する低気圧活動が温暖化の影響で活発化するためとも想像され、総観気候学的にも大切な問題と思う。


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