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連載エッセイ [41]
異常気象を追う
吉野正敏

 
紅葉の異常
 
秋:色付くモミジ

 紅葉や黄葉を“もみじ”と日本人はよび、秋の風景を織り成す主役とする。北日本の高い山やまでは赤と黄と、それに常緑針葉樹の深い緑が山肌を覆い、それに澄みきった青空をバックとした“絵のような”画像を、毎年、秋になるといち早くテレビが伝える。北海道や東北の山やまでは今年も9月中旬であった。南北に長く伸びる日本では、南との差が大きく、中央日本や、四国九州では、10月後半から11月、ところによっては12月になる。
 モミジは植物学的には“カエデ”で、世界には約150種の自然種があり、そのうち日本には約50種あると言われている。カエデには緑の色素である葉緑素と、赤い色素のアントシアン、黄色い色素のカロチノイドが含まれ、そのバランスによって葉の色が変化する。秋になって気温が下がってくると、葉緑素が分解されて減り、カロチンが多くなるので、まず黄色に葉の色が変わる。さらに気温が下がるとアントシアンの合成が進み葉は紅色となる。
 しかし、紅葉の過程は非常に複雑で、冬に向かって葉による二酸化炭素の吸収量がへってくること、幹に貯えられる水分や栄養分が減少すること、などがある。また、冬に向かい日照時間が減少すること、日平均気温ではなく日最低気温の低下、空気中の湿度、それらの継続日数など、種々の条件が関係しているようである。したがって、気温の年々変動の異常により、紅葉の季節も変化する。

最近の変化

 地球温暖化により夏が長くなり、秋が遅く来るとすれば、紅葉の季節も遅くなるのではないか。
 観測記録を調べてみると、東京・大阪などの大都市では、近年の傾向ははっきりせず、年による差が大きい。これは、むしろ観測方法に難しさがあるためではなかろうか。サクラの開花のように毎年観測する木がきまっておりまた、開花・満開の定義もきまっているのに対し、紅葉・黄葉のほうは比較的曖昧なためではなかろうかと思う。特に大都市では、対象となる木を求めるのが困難で連続性に問題があろう。1953年から2006年までの観測値を使い、最近の20年間を5年ごとに区切って平均を求めると、(表1)に示すように、奈良ははっきり遅くなっており、前橋もその傾向が認められる。奈良も前橋も、周辺近くに観測の対象とする樹が多い地点である。

(表1)最近の5年平均値でみた平均紅葉日

奈良 前橋

1987−1991 11月11日 11月21日
1992−1996 11月16日 12月11日
1997−2001 11月18日 12月 8日
2002−2006 11月20日 12月11日


年による紅葉の遅速

 春のサクラの開花・満開については連続エッセイ[3][14]で述べた。これと対照的な季節現象は秋の紅葉であろう。早春のウメ・ツバキの開花、ウグイスの初鳴きなどの植物・動物の季節現象に始まり、この連続エッセイ[39]に述べた秋のススキ、そしてモズの初鳴き、イチョウの黄葉など、京都における1年間の季節現象の暦を(図1)の(上)に示した。(図1)の(下)には気温・降水量・日照時間の年変化を示した。(図1)は長年、季節現象の研究をされてきた竜谷大学の増田啓子教授がつくられたものである。
京都における(上)生物季節の暦、および(下)月平均気温・月降水量・月日照時間の年変化
(図1)京都における(上)生物季節の暦、および(下)月平均気温・月降水量・月日照時間の年変化(増田ほか、1999による)

 (図1)の上の部分と下の部分をよく比較してみると、気温が最高になる8月が過ぎて9月になるとヤマハギ開花など秋の季節がすぐに始まることがわかる。
 増田教授の統計的研究によると、イロハカエデの紅葉は日本では10月24日−12月9日にみられ、9,10月の月平均気温が1℃上昇すると、日本の大部分の場所では4.0−4.2日遅くなるという。高い山では海抜高度が100m高くなるのにつれて3.9日早くなる。
 このように、年ごとの気温の差がカエデの紅葉日の遅速に影響している。

地球温暖化の影響

 地球温暖化により気温が3℃上昇した場合の日本におけるイロハカエデの紅葉日の変化を(図2)に示す。
イロハカエデの紅葉日
(図2)イロハカエデの紅葉日。(左)1961−1990年の30年平均値、(右)3℃上昇した場合(増田ほか、1999による)
 (図2)の(左)は1961−1990年の30年間の平均の状態、(右)は3℃上昇した場合の予想紅葉日である。例えば、10月25日−11月3日に紅葉を迎えている地域は3℃温暖化で上昇すると11月4日−23日になる。このような変化を観光業や観光関連産業では考慮しておかねばならない。


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