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連載エッセイ [43]
異常気象を追う
吉野正敏

 
冬の低温と地球温暖化
 
異常低温と暖冬

 地球温暖化によって異常低温はどうなるか。寒波の吹き出しはどうなるか。人びとの関心が高い問題である。2009年1月の寒波の実態については、この連続エッセイの[23]と[24]で述べた。問題は、“このような寒波が発生する回数は減るのか”、“回数は変わらないが、程度が弱まるのか”、或いは、“寒波に見舞われる地域が変わってくるのか”、である。残念ながら、われわれの知識はまだ不足している。
 一般の人達にとって、「最近の冬は暖かくなってきている」というのが実感であろう。しかし、一方では、多数の死者が出るような寒波のニュースが外国から送られてくるし、日本国内では、死者は出ないが深刻な影響を社会・経済に及ぼすような寒波に見舞われる。寒波の襲来と温暖化はどうも別のメカニズムで起こるようである。
 今回は、温暖化の実態を中国の例でとらえてみたい。日本とは比較にならない広大な面積をもつ中国全体としてどうなっているのか、東アジアを中心にして、寒帯・亜寒帯・温帯・亜熱帯・熱帯にまで広がり、湿潤なモンスーン気候から、沙漠の乾燥・半乾燥気候の地域を含む中国全体の平均状態は、ある意味では概括的に状況を把握するのに役立つ。東アジアの一端の島国に住む日本人として、知っておくべきであろう。

冬の寒さの近年の変化

  中国の全国平均でみた年最低気温の1951年から2000年までの変化を(図1)(上)に示す。これで明らかなように、小さい波はあるがほぼ一方的に上昇している。この50年間は上昇率0.28℃/10年で冬は温暖化した。広大な中国全体の平均だから、地域によってはこれより大きいところも、小さいところもあろう。
図1
(図1)
(上)1951−2000年における中国平均の年最低気温の変化。平均からの偏差(℃)。
(中)1961−2006年における中国平均の降雪日数の変化。平均からの偏差(日数)。
(下)1961−2006年における中国平均の霜日数の変化。平均からの偏差(日数)。
[張海東・孫照渤、2008による]
 さらに、この50年間を少し詳しくみると、幾つかの波、すなわち、山と谷がある。まず、谷の部分、低温の期間は、1954−57年、1967−70年、1985−87年、1993−94年、及び、1996−98年で、3−4年間の低温期間がみられる。そして、その低温期間の出現周期は12−17年くらい、或いは、その半分を周期として現われている。
 一方、山の部分、すなわち、暖冬であったのは、1958−61年、1973−75年、1981−84年、1990−92年、1995−96年、1998−2000年などであった。暖冬が著しかった期間は2−4年間で、出現周期は上記の谷(低温)の場合より短い。以上をまとめると、(表1)のようになる。

(表1)中国の年最低気温の暖冬*と寒冬**の特徴

暖冬 寒冬

期間(連続年数) 2−4年 3−4年
周期 8−9年が多いが不確定 12−17年、またはその半分

*:50年平均からの偏差がプラスで大きい年
**:50年平均からの偏差がマイナスで大きい年

 (図1)(上)と(表1)から次のように結論されよう。(1)20世紀後半の50年間の温暖化は明らかである。(2)異常に温暖な期間(年数)は2−4年(平均3.8年)、比較的寒い冬の期間(年数)は3−4年(平均3.2年)で、ほぼ同じである。しかし、いずれもまとまって出る特徴がある。(3)暖冬・寒冬の周期は不確定だが、暖冬のほうが短いようである。
 最近の中国における一つのモデル計算(50kmメッシュ)によると、−10℃以下の異常低温の発生頻度は、1961−1990年には8.5%であったが、21世紀末の2071−2100年には6.5%に減少するだろうという結果が出ている。この研究結果も参考になろう。

降雪日数・霜日数の変化

 中国全体の降雪日数はやはり減少している。(図1)(中)は1961―2006年の中国平均の降雪日数で、1980年代後半から減少の一途をたどり、21世紀前半に近くなるほど、その減少率は大きい。1999年は(図1)(上)でみるように明瞭な暖冬であったが、降雪日数は前後の年に比較して著しい落ち込み、すなわち日数が少なかったことがわかる。しかし、年最低気温の年年変動のような山や谷の波動は明らかでない。
 霜日数の年年変動は、(図1)(下)に見られるように、降雪日数の年年変動と類似している。ただし、上述の1999年の落ち込みは1998年になっている。この理由は、霜が秋の現象であり、降雪はそれに続く冬全体の現象であるために翌年に統計され、このようになっていると思われる。これも、寒冬を考えるとき重要なことであろう。

世界の異常天候分布

 (図2)は2009年2月の世界の異常天候分布である。東アジアを中心にして南太平洋から北太平洋西部、そして南アジア・中近東・アフリカ大陸まで、さらには、中米に赤三角の印が広く分布し、異常高温の地域が拡がっている。しかし、ここで注意したいのは、数は少ないが、異常低温を示す水色の逆三角の印が、(1)シベリアの東経120度付近、(2)北アフリカ西部、(3)北平洋の西経150度付近、(4)北アメリカ・南アメリカの大西洋岸にあることである。この、(1)の寒気は南方の暖気との間(北緯40−45度)に前線帯を形成し異常多雨(多雪)をもたらした。さらに時折低緯度方向に吹き出し、この冬の寒波をもたらした。2009年1月の寒波がこれであった。また、(2)、(3)、(4)は北半球の中緯度高気圧の発達と関係しているようである。それぞれの地域は、海面水温が例年より低かった。上記(2)はアゾレス高気圧の東部、(3)は北太平洋高気圧の東半で、これらの部分で高気圧が平年より強化され、北寄りの気流が低温をもたらした。(4)はメキシコ湾の暖流域が平年より低温であった。
各気流型の合成図と,それぞれに対応する総観規模の気圧傾度
(図2)異常天候分布、2009年2月。[気象庁:気候系監視速報、2009年3月による]
 以上のように、世界的には異常高温・暖冬が広く分布しても、地球規模で見れば局地的だが異常低温・寒冬が現われるのである。この事実を見逃してはならない。


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