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連載エッセイ [44]
異常気象を追う
吉野正敏

 
アメリカの局地風:サンタアナ
 
アメリカの局地風

 日本ではこれから冬に向かって、関東では「空っ風」の季節が始まる。濃尾平野ならば「伊吹おろし」・「鈴鹿おろし」、関西では「六甲おろし」などが吹く。冬型気圧配置のときにそれぞれの土地で吹く局地風は、日本ではその土地の気候を組み立てる主要な柱の一つである。
 アメリカ合衆国は広い国、日本のようにチマチマとした地形が生み出す局地風はないだろうと思ったら大間違いである。“局地”のスケールが日本より大きいことは確かだが、今回紹介するサンタアナ(Santa Ana)や、ロッキー山脈の東側の山麓で 発達するシヌック (Chinook) など、局地風として世界的に有名である。

サンタアナとは

 サンタアナは秋から冬を中心にして、南ロスアンゼルス盆地に吹く高温で乾燥した風である。北アメリカ大盆地に冬を中心にして発達する高気圧から低緯度方向に向かう風で、風上にはモハーべ沙漠があるので、ここでさらに昇温し、乾燥する。
 サンタアナ峡谷から北東ないし東の強風となって吹き出し、ニューボルト海岸付近から太平洋上160kmくらいにまで達する。沙漠からの砂塵をともなう。低湿のため、絶縁体に帯電が生じ、時には燃料の爆発事故まで生じる。また、林野火災の原因となる。特に夏は高温で乾燥する南部カリフォルニアだから、その夏に続く秋から冬にかけての火災の危険は大きい。
 また、上述のように海上100km以上に達するので、海洋生態系への影響も大きい。陸上の生態系に及ぼす影響ばかりでなく、近年は海洋における種々の影響が問題になっている。
 最近、風力エネルギー源として局地風の利用がアメリカでも見直されてきている。その一つの動きとして、カリフォルニア気候変化センターが州のエネルギー委員会や環境保護庁の支援で「サンタアナ風の人間起源による減衰」という調査研究を行い、2009年3月、その報告書(粗稿)ができあがった。今回はそれを参考にして、以下、サンタアナについて述べたい。

サンタアナが発達する地域

 まず(図1)を見ていただきたい。(図1)a)は約40年前の状態、b)は現在の状態である。カリフォルニア南部で、北東の強風を示す矢羽根が長く延びていて、強風の地域がわかる。一見40年前と現在で違いがないように見えるがよく比較して見ると強風速を示す赤線の範囲がずれていることもわかる。また、内陸側の乾燥した盆地も北東の風がむかしは強かったが、最近は弱くなっている。
図1
(図1)
a)8m/sec以上のサンタアナが吹いた日の1959-1969年の合成図。MM5 (Penn State/NCARのメソスケール-モデル-バージョン5) による計算結果。矢羽根は合成風向、カラーの等値線は風速(m/sec)を示す。黒の実線はモデルで入れた地形、太い黒の実線は海岸線。
b)WRF (Weather Research and Forecastモデル-バージョン-2.2.1) により現在について計算した結果。その他はa)と同じ。
c)サンタアナ指数の1959-2001年の経年変化。黒の細い実践は8m/secの線。
(Hughes et al., 2009による)
 (図1)c)は1959年から2001年まで、毎年のサンタアナ指数の経年変化を示す。水平な破線は8m/secの線を示すがそれより上にでる部分に着目すると次第に減少している傾向がうかがえる。ここで、サンタアナ指数とは(図1)のa), b) で水色の枠で囲んである部分の風の強さの平均で求めた。

サンタアナの発生回数変化

 過去44年間、すなわち、(1991−2001年)と(1959−1969年)のそれぞれ10年間を集計して比較すると、1冬におけるサンタアナの発生回数は30%減少した。モデル計算の結果では、この傾向は21世紀の中頃までは続くという予測である。
図2
(図2)
サンタアナ日の年(10−3月)合計日数の経年変化。ブルーの線はサンタアナ指数が6m/sec 以上、赤は 8m/sec以上、緑は 10m/sec以上の場合。図の右上はWRFモデル計算による現在と将来のサンタアナ日数。
(Hughes et al., 2009による)
 年合計(10月から翌年の3月までの合計、例えば2000年10月から2001年3月までの合計を2000年の値とする)の44年間の傾向を見ると、6m/sec以上、8m/sec以上、10m/sec以上のいずれも減少傾向が明らかである。ただし、興味があるのは、10m/sec以上の経年変化をみると、ときどきでるピークの間隔はあくが、ピークの値は大きな変化がないことである。これは異常気象によくみられる特性で、平均的あるいは長期的には減少するが、ときおり出現するピークの値(極端な年の値)はむかしとかわらない。しかし、弱い風速の回数も含めると、すなわち6m/sec以上のサンタアナの近年の減少は極めて明らかである。これを言いかえれば、異常な年が出現する間隔はあくが、異常な値そのものは変わらない。そして、影響を受ける側からみれば、平常的には弱くなっているのだから、それに人間生活も社会体勢も生態系も適応してしまっているのだから、異常年のインパクトは非常に大きい。例えば、林野火災の延焼が住宅地域にまで及ぶなどは、最近の好例である。経済的な損失額も莫大となる。

人間活動の影響が地球温暖化を生み、そしてサンタアナの変化へ影響する

 サンタアナの発生回数の減少傾向は、人間活動の強制力による地球の温暖化が主な原因であることはあきらかである。その過程に、地球の温暖化は、(1)サンタアナの発達する地域のシノプティックな状態(高気圧・低気圧の発達や位置などの状態)と、(2)サンタアナが吹く内陸(沙漠)から海岸までの温度差に影響を及ぼす。この2点にしぼられる。世界にはたくさんの局地風が知られているが、詳しい研究が必要である。


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