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連載エッセイ [2]
温暖化と生きる
吉野正敏

 
温暖化と大雪(1) ― 中国の例から ―
 
2010年、世界の大雪

 2010年正月、日本・韓国・中国は大雪で始まった。観測史上、最も深い積雪という知らせさえ聞く。東アジアばかりでなく、ヨーロッパからも異常な低温と雪のニュースが入っている。イギリスなどもまれにみる大雪であった。これらは、地球温暖化とどう関わっているのか、非常に気になることである。
 この連続エッセイでまず中国の例を紹介するのは、あまりにもその現象が大きく、はっきりしているので、日本のことを考える基盤として中国の例を知ることは大切と思ったからである。

2008年1月の大雪

 最近、中国では大雪がよく発生していた。あとで述べる2009年11月のすぐ前にも大雪があった。すなわち、2008年1月の中・下旬、中国は大雪に見舞われ、特に華南は低温で雪氷による被害は大きかった。詳しく言うと、2008年の1月10−16日、18−22日、25−29日、31−2月2日に豪雪が発生し、河南・湖北・安徽・江蘇・湖南と江西の北西部・浙江北部でひどかった。
 この2008年の大雪で2兆2千億円の直接経済損失、1,190万haの耕地が被害、政府は農民に633億元の助成をした。

降雪量と降雪日数の最近の変化傾向

 (図1)は1953年から2008年までの全国平均の1月中・下旬の降雪量偏差の年々変化を示す。1954年は29.4mm、1957年は29.3mm、それに次いで2008年は29.2mmであった。
陸域生態系における温暖化影響のメカニズム(環境省、2008による)
(図1)1月中・下旬における全中国平均の降雪量の変化、1953−2008年(国家気候中心、2008、による)
 つまり、1957年以来50年ぶりの大きな値であった。そうして、この1月の特徴は、降雪の持続時間が長く、1時間降雪量も大きく、中国南部の積雪深が大であったことなどであった。
 (図2)は中国の全国平均降雪日数の平均(1961−2008年の平均)からの偏差の年々変化を示す。
陸域生態系における温暖化影響のメカニズム(環境省、2008による)
(図2)全中国平均の降雪日数(長年の平均値からの偏差)の変化、1961−2008年(国家気候中心、2009、による)
この48年間の記録では降雪日数が減少する傾向は明らかである。特にこの十数年の減少は著しい。つまり、温暖化の影響により雪が降る日数は減少しているのである。しかし、(図1)でみると降雪量ははっきりした減少傾向は認められない。この二つの事実を合わせて考えれば、雪が降る日数は少なくなってきているが、雪が降る日の1日に降る雪の量(日降雪量)は大きくなってきていることが理解できよう。2008年の大雪はまさにこの傾向をよく反映していた。
 (図1)(図2)は中国全体の平均値の年々変化をとらえたものである。中国は広大な面積をもち、東部の湿潤なモンスーン気候の地域から北部・西部の乾燥した沙漠気候の地域まであり、北の亜寒帯から南の熱帯にまで広がる。これらの気候地域全体の平均であることを充分に意識して考えねばならない。日本も北海道から沖縄まで国土が狭い割には南北差が大きいが、乾燥・半乾燥気候の地域はない。

2009年11月から2010年1月の大雪

 2009年11月北京を中心に華北はまた大雪に見舞われた。38人が死亡し、158,000人が避難し、空港閉鎖が長引き莫大な便数が欠航した。経済損失は1,020億円、15,000棟の建物が全壊、30万haの耕地が被害を受けた。雪が原因で交通事故も急増した。960万人が何らかの影響を受けたと言われている。
 この11月の大雪は12月に入って小康状態になり、雪もほとんど消えた。ところが、12月末からまた雪となり、年が変わって2010年1月になって、またまた大雪となった。華北では−3℃にまで気温が下がった。1月4日北京市内で積雪10僉郊外で30僉空港閉鎖で、400便が欠航し、500便が遅延した。ある報道では、30万人の軍隊がでて道路の除雪をしたという。天津・河北省・山西省・内蒙古などに行く高速道路はすべて閉鎖された。
 華北ばかりでなく北西部の新疆でも猛吹雪となり5,435人が避難し、死者さえでた。799棟が倒壊し、4,897棟が被害を受けた。電力の70%を火力に頼っているこの地方では交通麻痺で石炭が不足し、停電にまで追い込まれた。1月8日の新聞によれば、約1,000人の旅行客が欠航のためウルムチ空港で夜を明かしたという。

華南の大雪は異常気象か

 中国の詩人、杜甫[712−770]は晩年(769年)、長沙(湖南省)で雪に見舞われ、“対雪”と題して「北雪犯長沙 胡雲冷万家」と言う詩を詠んだ。現在すでに知られているように、8−10世紀は地球規模で歴史時代の中では最も温暖な時代であった。その時代に華南で雪に見舞われ、「“胡”(当時の北方少数民族)の地域から冷気が南下して、“万家”(冬の中国南部の大範囲)に低温をもたらし、雪を降らせた」というのだから、今日の気候学者顔負けの洞察である。
 この一つの詩で結論するのはむりかも知れないが、「華南の雪は、(1)気候が温暖な時代にもあった。(2)北方からの寒冷な空気が南下したときに降る。」ことをとらえている点で注目に値しよう。中国の気候学者の林之光は「気象新事」(2009)の中で、2008年1月の中国の大雪は、「異常気象」または「異常天気」ではあったが、「正常気候」の状態であると指摘した。つまり、このような大雪はまれに発生するから異常気象・異常天気ではあるが、長期間をみれば必ず起り、温暖化した時代にも発生する「正常な気候状態」だと述べている。筆者もこの意見に賛成である。


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