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連載エッセイ [4]
温暖化と生きる
吉野正敏

 
アメリカ東海岸の大雪
 
暖かかった2009年の世界

 2009年の世界の平均気温は、1971−2000年の30年平均値より0.31℃高かった。これは、過去の最高から3番目に高い気温であった。日本では、上記の30年平均値より、0.58℃高く、過去の最高から7番目であった。
 このように温暖であった理由は、人間活動を起源とする温室効果ガスの増加にともなう昇温傾向と、エル・ニーニョ年の特徴が重なり、世界的に高温となったと考えられている。2009年、この温暖な気候を体験していた世界の人々に、思いがけない贈り物が12月になって届いた。大雪の知らせであった。

2009年12月の大雪

 2009年12月下旬、ヨーロッパは寒波に見舞われた。これは、連続エッセイ[3]に紹介した。また11月下旬から12月にかけての中国の華北を襲った低温や大雪については連続エッセイ[2]に書いた。ドイツ・フランスばかりでなく、南ヨーロッパの西部、東ヨーロッパでも豪雪によって大きな被害を受けたことはすでに紹介したところである。
 アメリカ北東部でも大雪となった。首都ワシントンやニューヨークで12月19日記録的な大雪に見舞われ、クリスマス前の最後の土曜日でも、ショッピング・モールは閉店時間を繰りあげざるをえなかった。
 今回は、この2009年12月末から2010年2月にかけたアメリカの大雪について書いておきたい。上に述べたように世界全体として2009年は高温で、温暖化の傾向は明らかというのに、“どうして大雪なのか?”、“その影響はどうだったのか?”、われわれは勉強しておく必要があろう。

アメリカの2010年2月の大雪

 首都ワシントン、ニューヨーク、フィラデルフィア、ボストン、ボルティモアなどの北東部の諸都市でひどかった。また、これらの都市を結ぶ道路も寸断された。道路上の積雪は24−30cm、風速は場合によって毎秒12mに達し、瞬間最大風速は18mと報じられた。そのため、ふぶき・地ふぶきがひどくなり、視程は最悪のときは0、まったく周囲が見えない、いわゆるホワイト・アウトの状態になった。視程300m以下の状態が各地で続いた。
 しかも、降雪強度、すなわち、単位時間あたりの降雪量は大で、毎時6cmの割合で積もった。これが、今回の大雪の一つの特徴であった。日本には“集中豪雨”という言葉があるが、これと似た表現をすれば“集中豪雪”がピタリであった。ペンシルベニア・ニュージャージー・バージニア・北部メリーランドでは60cmの最深積雪を観測した。この冬の合計積雪深では、ワシントンのダレス空港で220cm、レーガン国際空港では150cmという記録がある。

大雪の影響

 大雪の影響は大きかった。ヨーロッパの場合、中国の場合と同じ課題がほとんどだが、新しい報道テーマもあるので、以下にまとめておきたい。


(1)除雪のための特別会計 国家予算・郡市などの予算の支出、除雪の直接費用、超過勤務、道路に散布する砂、救援物資、除雪器械・機具・除雪車などの購入・配置など。

(2)企業・事業所などの損害 臨時休業・臨時閉店などによる間接損害、社員・従業員の自宅待機・出勤不能・遅刻など。

(3)航空障害 欠航・遅延、飛行場の除雪、航空機の除雪作業・整備、搭乗者へのサービス負担増など。

(4)都市交通 地下鉄・バスの遅延・運休、高速道路の閉鎖、道路上の事故多発。

(5)郵便・宅配便 遅配。

(6)日常生活 ゴミ収集不可能、停電(雪による倒木・電線切断などが原因)、除雪用品・械具・道具(シャベル・砂袋など)購入による出費、屋根や宅地周辺の除雪、学校閉鎖・休校。


 以上をみると、やはり、アメリカでは上記(1)と(2)の対応が進んでいることが伺える。

温暖化と除雪

 市町村レベルでの除雪予算・除雪計画は降雪・積雪の年による変動が大きいので、大変むずかしい。大雪災害の場合、特別会計でしのぐのが普通だが、特に大雪となれば、郡・国などの上級政治単位で会計処理することになる。また、豪雪災害は局地的なので、国全体がこの災害に見舞われることはない。例えば、台風による災害は、(日本は狭い小さな国だからアメリカと比較はできないが)九州から北海道まで、国全体に及ぶことがある。今回のアメリカの大雪による災害は北東部の諸州に限られていた。
 大雪による除雪予算・除雪作業・経費の実態などの資料はほとんど入手不可能である。体系的な検討や研究の結果は公表されていないのが現状である。いま、アメリカのカンサス州のローレンスという小さい都市の場合がたまたま入手できたので、紹介したい。ただし、ここはアメリカ中央部で今回の大雪とは関係ないところである。
 毎年、秋になると市の道路保全局が除雪計画を検討する。2009年−2010年の冬の場合、2009年11月3日に検討され、具体的に除雪車両・機械・器具を整備・点検した。そして担当地域・道路などを検分した。除雪計画の検討では、過去7年の冬の平均積雪深は1冬の合計で約60cmであることを確認した。
 除雪は必要になれば24時間作業で行われる。除雪は交通路の確保が目的だが、順序としては、バス路線、病院・学校周辺、主要官公庁・企業建築物周辺を優先する。住宅地域は自家用車の出車を遅らせて市内渋滞を防ぐためもあり後回しにする。ゴミ収集作業との連絡を蜜にする。
 個人住宅地の車道・歩道の除雪は48時間以内にすることが義務化されている。もし、雪が氷になった場合、歩道に積み上げることが認められている。除雪作業で住民と裁判になった場合の取り決めも文書になっている。しかし、市当局はよき隣人として平常からよい関係を保っていることとしている。私の想像では、ここまで書いてあるのは裁判が多い証拠ではなかろうか。また、大型量販店の駐車場・積み上げた雪の廃棄なども詳しく取り決められている。

 温暖化した場合も、2009年−2010年の冬のような大雪に見舞われる。暖冬で雪が少ない冬が多くなることは確かだが、その暖かい冬にまじって寒い、大雪の冬が必ずはさまる。その時の人間生活にあたえる影響は大きい。除雪作業計画、住民意識の確立や備えなどを充分にしておくことが大切である。


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