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連載エッセイ [7]
温暖化と生きる
吉野正敏

 
気象災害の発生傾向と統計
 
気象災害は増加しているか

 気象災害とは、干ばつ・極端な気温・洪水・豪雨・強風・突風・地すべり・林野火災などで、人びとの生活にかかわるものを言う。それらは増加しつつあるか、減少しつつあるか、あるいは、特定な傾向は認められないのか。さらに、人的損害ばかりでなく、経済損失は地域ごとの社会・経済状態の差によってその損害額・損失額の算定はむずかしくなる。しかし現実にはここが大きな問題である。そのリスクを軽減するのがわれわれの役目であるが、その根底となる統計値を整備することは容易ではない。

気象災害の定義

 気象災害はとらえかたが立場によって、また、目的によって異なる。被害額の算定には現場での観測者・調査者の着眼点・判断・推定などによっても異なる。例えば、ドイツのミュンヘン再保険会社(Munich Re)の定義は次のようである。
1)災害 ―――― 死者20人以下、直接被害額は大。
2)ひどい災害 ― 死者20−500人、直接被害額5千万ドル〜5億ドル(約50億円〜500億円)。
3)重大な災害 ― 死者500人以上、直接被害額は5億ドル(約500億円)以上。
 この基準に従えば、日本では死者の数は少ないが、千億円のオーダーの災害が近年よく発生するので、残念ながら、“日本は災害の国”と言うことになる。

大陸による被害額の差

 いま、大陸別に1980−2005年の25年間の気象災害による被害額をみると(表1)のとおりである。アジアは気象災害が非常に多く、発生回数では東南アジアを含めると全世界の約47%を占める。被害者数ではアフリカと並んで、他の大陸より一桁大きい。また、経済的な損失額では全世界の約53%を占める。日本・中国・インド・韓国など21世紀をこれから支えなければならない国ぐにが背負った宿命とでも言うべきか。

(表1)大陸別にみた気象災害による推定被害額。1980−2005年の総計

大陸 回数 被害者数 経済的損失額(兆円*)

アフリカ 1,465 692,862 918.6
アジア 2,254 625,052 30,618.9
南アメリカ 649 77,301 3,202.5
北アメリカ(カリブ諸島を含む) 663 73,943 4,083.3
オセアニアと東南アジア 1,002 71,483 4,845.8
ヨーロッパ 890 56,724 13,852.4

データ:EM-DAT:OFDA/CRED International Disaster Database  *)1ドル=100円と換算

気象災害の近年の変化

 ここでは近年の変化傾向を求めるときの難しさについて2〜3を紹介しておきたい。台風やハリケーン、竜巻など、それぞれについては発生しやすい季節になって具体的に述べるつもりである。
 さて(図1)は1900年から2006年までの間に上陸した熱帯低気圧(台風・ハリケーン・サイクローン・亜熱帯低気圧をすべて含む)の、海上・陸上すべての全熱帯低気圧に対する割合の長期変化である。一見、最近になって減少してきていると見勝ちだが、よく見ると、1965年と1966年の前後で段階がある。この切れ目の前、すなわち1900年から1965年までの平均は75%、つまり全体の4分の3個の熱帯低気圧が上陸したことになる。しかし、その後の1966年から2006年までの間の平均では59%しか上陸しなかったという統計結果である。

(図1)上陸した熱帯低気圧(台風・ハリケーン・サイクロンなど全てを含む)の割合(%)の
1900年から2006年までの変化。(データはLandsea 2007, G. Love,WMOによる)

 この段階が生じた理由は、気象衛星による海上の熱帯低気圧の情報がよりただしく把握されるようになり、上記の割合を計算するときの分母が大きくなり、1966年以降の期間の平均値が小さくなった。このことに起因するのである。もちろん、1970年以降についてみれば、僅かながら減少の傾向はうかがえるが有意な傾向と判断されるかどうかは統計学的な検討を必要とする。
アメリカ合衆国を襲った熱帯低気圧による経済損失額の1950年から2007年までの変化。
(図2)アメリカ合衆国を襲った熱帯低気圧による経済損失額の1950年から2007年までの変化。
2006年の物価水準に補正してある。(データはNOAAによる)

 (図2)は1950年から2007年までの熱帯低気圧による経済的損失額の長期変動を示す。経済的損失額は2006年の状態に補正してある。単位は1ドル=100円とすれば、縦軸の40を4兆円と読めばよい。1950年から2007年までの変化傾向は次のようにまとめられよう。
1)1951年、1972年、1993年、2005年のピークは次第に大きくなってきている。
2)1950年代から1970年代初めころまでは、谷の期間である。
3)その後、1986年ころまでは、山の期間であった。
4)その後、2000年代前半は谷の期間である。
5)このような最近の変化傾向は地球温暖化とはよい対応を示していない。しかし、近年の温暖化を示す曲線に10年〜10数年のさまざまな小さい波が画きだされているので、それらと、上記の(2)(3)(4)の山や谷との詳しい関連の解析が必要である。
 要するに、長期傾向を見る場合には統計のとり方に細心の注意を払い、よく検討しなければならない。死者数、建造物などの直接被害、経済的な(間接)被害などで傾向が異なり、地域的に、国別に、大陸別に、また、発展途上国とすでに経済的・社会的に安定した国ぐにで、かなり状況が異なることを指摘しておきたい。


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