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連載エッセイ [19]
温暖化と生きる
吉野正敏

 
2010年夏:日本が受けた猛暑・残暑の波状攻撃
 
波状攻撃によるダメージ

 何事も、一回の攻撃を受けただけならば、そのピンチを切り抜ければ何とかなる。しかし、2度・3度と繰り返し攻撃をうければ、同じ力の攻撃でも受けるダメージは次第に深刻になる。
 2010年夏の高温は正に熱波であった。1回の波は高く・大きく・長く続いた。それが繰り返した。2回目の大波は8月下旬から9月上旬にかかり残暑と呼ばれたが、とても“残りもの”ではなかった。実は筆者もこれほど酷くなろうとは予想していなかった。今年の夏の猛暑は、この連続エッセイで2回とりあげているが、ここで急に予定を変更して、もう1度今年の記録的な暑さとその影響をまとめておきたい。特に波の実態とその影響への時間的ずれを総括しておきたい。これは将来必ず同じような猛暑・残暑の夏が来ると思うが、その時に役立てたい。

2010年夏の猛暑・残暑のクロニクル

 いずれ詳しい観測結果の報告書がしかるべき機関からでると思うが、いま新聞記事から今年の夏の猛暑・残暑のクロニクルを(表1)のように作った。この表は新聞記事(全国紙二つ)の記事に私がキー・ワードをつけて、そのキー・ワードをテーマ別に件数を取ったものである。したがって、例えば、一つの記事が猛暑と集中豪雨の二つになることもあれば、熱中症の記事の中に猛暑という単語があっても、熱中症のキー・ワードしか取り上げていない場合もある。キー・ワードの付け方に個人差はあろうが、波の特徴をとらえるには大きな問題はないであろう。

(表1)2010年夏の半旬別にみた猛暑・残暑などの新聞記事の件数

半旬 原因 最高気温
猛暑
残暑 大雨
集中豪雨
台風

6月 16―20 0 0 0 0 0
21―25 1 1 0 0 0
26―30 0 0 0 0 0
7月 1―5 0 1 0 1 0
6―10 0 0 0 0 0
11―15 0 0 0 5 0
21―25 1 2 0 0 0
26―31 0 0 0 0 0
8月 1―5 0 0 0 0 0
6―10 1 3 1 0 0
11―15 1 1 1 2 3
16―20 0 4 0 2 1
21―25 1 2 0 1 0
26―31 0 1 1 0 0
9月 1―5 1 7 2 1 1
6―10 0 3 2 0 5
11―15 0 0 0 0 1
16―20 0 0 0 0 0
21―25 0 1 0 1 0



 まず“猛暑の原因”だが、6月下旬から9月上旬まで約10日に1回、かなり詳しい気象学的原因の解説記事がのっている。偏西風の蛇行、北極振動、北太平洋高気圧、ラ・ニーニャの影響、インド洋ダイポール現象などの海水温分布、都市のヒートアイランドの影響などがその原因としてあげられ、広い紙面を割いて説明されている。これが、ほぼ10日に1回というのは非常におもしろいと思う。地球温暖化の影響が強いと考えられる自然現象の原因の解説は、今年の猛暑のように各人の生活に直接関係する場合、その発表内容とその頻度(発表の間隔)がどうあるべきかの非常に良い参考になる。
 次に猛暑だが、6月第5半旬、7月第5半旬にすでに発生していた。気候学的にも、梅雨の中休み、梅雨明け直後は晴れると気温が上がるのが普通だが今年のように猛暑になるのはやはり温暖化の影響であろう。気候学的にも、8月6日の立秋ころ気温が少しさがりその後、急にまた暑くなるのが平年の状況である。今年も8月第2半旬に一つのピークがあり、波の起きた日付けはほぼ一致しているが、その高さが異常であった。6月から8月の夏3ヶ月の平均気温の観測値では、北日本が+2.8℃、東日本が+1.8℃、西日本が1.1℃で、北ほど熱波の波高は高かった。(表2)には2010年8月17日の気温観測値を示す。

(表2)2010年8月17日の熱波のピークの気温観測値

地点 日最高気温

練馬(東京都)、桑名(三重県)  38.2℃
多治見(岐阜県) 38.1℃
館林(群馬県) 37.8℃
佐久間(福岡県) 37.7℃
美濃(岐阜県) 37.5℃
甲府(山梨県)、熊谷(埼玉県)、海老名(神奈川県) 37.4℃
高梁(岡山県)、岡崎(愛知県)、東海(愛知県) 37.3℃



 特に異常と言えるのが、(表2)に示した8月の第4半旬のもの、ついで9月の第1半旬をピークとするものである。猛暑と合わせて考えると、後者のピークは特に大きい値となる。ダメージは後になるほ深刻になると最初に書いたが、(表1)の値は新聞記事の件数だから、後になるほど、関心の度合いが強くなったのかも知れない。とにかく、波が高く、長くなったことは確かである。

大雨・集中豪雨・台風

 大雨・集中豪雨は7月第3-4半旬にあった。寒帯前線帯の活動が活発であった。いわゆる梅雨末期の豪雨で西日本(長崎県・福岡県・島根県)や、東北地方の日本海側に顕著であった。梅雨末期に活発な前線帯が秋田付近から西の方に延び、朝鮮半島の中央部から北部にかけて、非常な雨量になる。北朝鮮が洪水で大きな被害を受けたのも、この前線帯活動のためである。
 台風は4号と9号の二つがきたが、8月の場合は日本海から東北地方の秋田付近に上陸し、東方に進み太平洋側にでた。9月の場合は日本海から本州中部を横切って太平洋側にでた。北大平高気圧の勢力が8月より9月には弱まったために、より低緯度を東方に横切ったという、まるで教科書を絵に書いたような経路をとった。これも北太平洋高気圧の勢力・形・緯度(とくに東アジア付近での)が台風の移動経路に直接関係しているからであろう。


猛暑・残暑の影響

 次に、上に書いた猛暑・残暑の影響が新聞の紙面に報道されるのにどのような時間的な関係があるのか書いておきたい。(表3)は、熱中症・個人消費・農作物・水産物・動物と家畜・交通やレジャー事故についてまとめた。

(表3)2010年の猛暑・残暑の影響

日付 熱中症 個人消費 農作物 水産物 動物・家畜 交通・レジャー事故

7月 1―5 0 0 0 0 0 0
6―10 0 0 0 0 0 0
11―15 0 0 0 0 0 0
16―20 0 0 0 0 0 0
21―25 1 1 0 0 0 0
26―31 0 0 0 0 0 0
8月 1―5 2 2 0 0 0 0
6―10 1 0 3 0 0 0
11―15 0 1 0 0 0 0
16―20 6 1 0 0 2 1
21―25 0 1 2 0 0 0
26―31 1 2 0 1 0 4
9月 1―5 4 1 2 0 1 2
6―10 2 1 0 3 0 3
11―15 0 1 0 1 1 1
16―20 0 1 1 0 1 0
21―25 0 1 0 0 0 0



 これを見ると熱中症は、当然だが、猛暑・残暑の波形とほぼ一致している。それに比較して、極めて興味あるのは個人消費に関しては8月の第3半旬から9月いっぱい1件が連続している。これは飲料水関係・耐汗衣類など、すぐに影響がでるものと、電気製品など長期的な商品の記事などで、時間的な差が大きいためであろう。農作物は高温そのものに関する8月第2半旬のピークと収穫期の残暑のピークに対応している。水産物は水温との関係が強いから8月末から9月第2半旬となる。動物・家畜などへの影響は熱中症の推移と似た位相だが8月末から9月初旬のピークがはっきりしている。
 これらの影響の具体的内容については、この連続エッセイで、順を追って詳しく紹介したい。


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