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連載エッセイ [22]
温暖化と生きる
吉野正敏

 
コメと猛暑 ― 2010年 ―
 
温暖化と稲作

 温暖化が農作物に及ぼす影響は大きい。野菜・果物に関しては、すでに連続エッセイ[19][21]に述べた。その価格変動が消費者に及ぶ時間的ずれなどについてふれた。今回はコメについて述べたい。日本人にとってコメの作柄は大きな関心事である。世界的にはコムギ・トウモロコシなどが食料問題につながるので、大きな関心が払われるが、少し大げさにいえば、コメは日本文化の基礎を支える骨である。われわれは、温暖化の影響をよく検討しておくことが必要である。
 気温の影響が明らかにでるのは、成育期全体はもちろんだが、特に出穂期で、穂がでた直後である。気温が高いと玄米粒が白濁し減収や品質低下となる「白未熟粒」が発生する。西南日本の九州・四国では近年すでにその発生が認められていた。2008年の調査では8割近い37の府県で報告されていた。では、2010年の猛暑の場合はどうであったか。

コメの品質低下

 コメの品質は1等米、2等米。。。。と分けられる。1等米は水分や形が一定の基準を満たし、十分に成熟した粒が70%以上、2等米は60%以上、3等米は45%以上とする。高温で白濁したり、粒が小さかったり、細かったりして等級を下げることが多いが、味には関係ないと言われている。3等米以下は加工米になるのが通例で、2等米は白濁粒や着色粒を除いて精米され、1等米と混ぜて売られることが多い。
 2010年の猛暑の影響で1等米の比率は(9月末現在)全国平均では64%で、2009年9月末の83%と比較するとかなり低い。つまり、品質では非常な不作年と言わざるをえない。以下、この不作の状態を少し詳しく見よう。(表1)は2010年10月中旬現在の1等米の作柄である。


(表1)コメ生産量上位10道県における1等米の比率。2010年と2009年の比較

2009年の
生産量順位
道県名 1等米の比率
(%)(2010年)
同左の過去5年
平均値に対する比率(%)
前払金(*)の金額
(円)(2010年)
同左の2009年
との差(**)(円)

1 新潟 19 -56 12,300 -1,400
2 北海道 99 +12 10,000 -1,000
3 秋田 85 -4 9,000 -3,300
4 福島 66 -25 10,000 -2,400
5 茨城 80 -9 10,000 -2,000
6 山形 77 -14 9,000 -3,300
7 宮城 73 -13 8,700 -3,600
8 栃木 74 -18 10,000 -2,100
9 千葉 92 0 10,000 -2,000
10 岩手 86 -6 8,700 -3,600

* JAに販売を委託した農家が受け取る概算金(60kgあたりの価格)
** 2010年−2009年(60kgあたりの価格)
(朝日新聞2010年10月10日、日本経済新聞2010年10月21日、その他より作表)


 この(表1)に見られるように2010年の1等米の比率は新潟県の19%を最低(最も影響が大)、北海道の99%を最大(最も影響が小)として、かなりのばらつきはあるが2010年の猛暑の影響は大きかったことがわかる。ところが、金額では2010年は2009年より1,000円ないし3,600円安かった。これは2010年には前年からの余剰米があったためと言われている。また、北海道は99%で1等米の比率は2010年にはプラスであった。つまりよい米がたくさん収穫できたことを意味する。温暖化により、北海道がよい米作地域になることを示している。ただし、この表には出てこないが、宮崎県など高温に強い品種を導入した県では2010年の1等米の比率の顕著な低下はなかった。これも注目に値する傾向である。

日本のコメの価格

 猛暑が原因になったコメの品質低下については上に述べた。その地域差が大きいことも示した。そして、2010年には2009年より、農家が得る価格が安くなったことも指摘した。そこで、消費者の立場から、あるいは、小売業者の立場から2010年はどうなっていたかを紹介しておきたい。
 (表2)は農家から集荷業者を経て、卸売業者、さらにスーパーなどの小売業者に流れる過程における1等米と2等米の価格を示した。

(表2)会津産コシヒカリの流通価格(60kgあたり)

流通過程 2009年 2010年 差(2010年−2009年)

農家から集荷業者
 1等米(玄米) 13,000 11,500 −1,500
 2等米(玄米) 12,400 10,700 −1,700
集荷業者から卸売業者      
 1等米(玄米) 14,200 12,000 −2,200
 2等米(玄米) 13,500 11,200 −2,300
卸売業者      
 ブレンド・選別・精米 17,100 14,640 −2,460
卸売業者からスーパーなどへ      
 福島のスーパーの例 24,960 23,760 −1,200

(朝日新聞2010年10月18日の資料により作表)


 このような数値が出てくるのは新米が出回る10月中旬で、猛暑が始まってから3ヶ月たっている。1等米は2等米より2009年には600円(60kgあたり)高かったが、2010年には800〜1,000円高かった。これは猛暑の影響である。しかし、流通価格は2010年には安くなった。これは上に述べたように前年からの余剰米のためである。

コメの作柄への関心

 日本のメディアが関心を示したのが作柄の量でなく質であった点に注目しなければならない。そして、2010年新米の値段が下がると、1等米に混ぜる2等米の比率をあげて、“特売の目玉”にする小売店が目立つことを新聞は報じた。確かに消費者にとって、小売価格は大いに気になる事柄だが、日本人のコメに対する関心は、“温暖化の影響が世界の食料問題にどう関わるか”などから、かけはなれてしまったとは思いたくない。
 また、コメの作柄を示す作況指数は2010年には99で、ほぼ平年並みだったと発表されているが、これも、一般人の感覚からずれている。県平均、全国平均の作況指数の意味・算出方法なども検討の余地があろう。量だけでも・質だけでも猛暑の影響は把握できない。
 さらに、日本国内の地域差の検討が必要である。北日本と西南日本との質の差は、2010年の場合、ある程度説明できる。しかし、例えば、新潟県の異常な値はどうして発生したかなど、今後の検討課題である。


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