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連載エッセイ [38]
温暖化と生きる
吉野正敏

 
東日本大震災(5)
 
3ヶ月後の課題

 今回の大震災の発生後3ヶ月経って、復旧・復興に向け、現在の急務をまとめておきたい。現地の被災者、地方自治体の方々、地域の産業・企業を支える方々、それに政治家、研究者、関係する各省庁とその出先機関の方々、原発事故にともなう放射線問題に対処されている方々、それぞれの立場で課題は異なり、緊急の度合いや重要性の順位などに、違いはあろう。また、時間の経過とともにそれらが変化するであろう。
 今回の大震災は少なくも近代日本では経験したことのない大規模なものであった。大被害をもたらした阪神淡路大震災の前例はあったが、規模においては、今回は比較にならない大きさであった。また、東京電力福島原子力発電所の事故という今回初めて経験する事故災害まで加わり、大震災の被害に関連する問題は量的にだけではなく、質的にも複雑で深刻さが強くなった。また、阪神淡路大震災の頃より、地球規模の温暖化は一層ひどくなっている点が異なる。熱中症対策・冷暖房計画・節電と復興計画・火力発電と二酸化炭素排出量問題など、温暖化の影響ぬきに考えては無意味である。

巨大津波による災害への対応

 被害額からみても、被害者数からみても、直接被害面積からみても、データで見る限り今回の巨大津波が過去最大であることは間違いない。そして、地震の発生、それによる津波の発生に地球温暖化が全く関係がないことも間違いない。しかし、津波が人びとの生活の場に押し寄せ、その場を奪った時点から影響がある。直接、津波に呑まれた地域はもちろん、周辺地域、社会・経済的に1地域を構成している範囲、今回の例でいえば、まず市町村、県、国の単位である。復旧・復興・支援態勢はこの範囲に拡大して組まれる。さらに今日では、この範囲は国際協力の名の下に全地球に広がる。
 その規模は被害額・復旧予算額・ボランティア人数などさまざまの統計数字で捉えられよう。いま、各個人・グループなどが被害地域の人びとを考えてだした義援金がどのように配分されているかを、3ヶ月後の災害対応の指標の一つとして捉えるならば、(表1)のとおりである。

(表1)被災地域への義援金*の2011年6月7日現在における配分**状況

市町村への送金額
(百万円)
被災者への配分額
(百万円)
配分率(%)

青森 272 218 80.1
岩手 10,153 4,807 47.4
宮城 30,693 9,349 30.5
福島 27,310 21,471 78.6
茨城 2,431 716 29.4
栃木 252 109 43.2
千葉 390 299 76.6

合計 71,501 36,964 (平均 51.7)

*)百万円以下を四捨五入。**)配分額の算出は、まず、義援金総額を推計する。死者・行方不明者は35万円/人、家屋全壊・全焼は35万円/世帯、半壊・半焼は18万円/世帯として配分額を計算した。
なお、第2次配分では死者・行方不明者は56万円/人のように変わってくる。

 この表の算出にはまだ不完全な場所が多々ある。例えば、最も極端な場合、役場が津波で破壊され町長以下全滅した岩手県大槌町で、住民票の復旧作業が進んでいないので、支給率は0である。(表1)でわかることは、福島を除くと宮城県・岩手県の最も深刻な地域で30−47%という低い値である。
 なお、6月17日現在では、被災15都道府県への日本赤十字社、中央共同募金会の合計義援金は2,817億円で、(表1)に対応する第1次配分額は約864億円、その内で市町村に配分されたのは約750億円(15日現在)で、被災者には約454億円配分されている。3ヶ月で、約61%という状況は被災者の立場からは理解できない遅さであろう。義援金を出した個人・グループその他の善意は、やはり伝わる速度が早ければ被災者に強く伝わる。人手不足の現地の市町村も大変であろうが、何とかルートをきり開く必要がある。
 朝日新聞が被災地の42市町村長に面会して得た“今後、柱とすべき防災対策”の回答は(表2)のようにまとめられる。

(表2)今後、特に重要な大津波被害に関する防災対策とその順位と割合

対策と順位 割合(%)

1)非常時の通信手段や電源、燃料の確保 23
2)防潮提・防波提などの修理・改良 22
3)国・県・その他自治体などとの連携支援態勢 21
4)地域防災計画の改善 20
5)津波避難路の整備 14
6)安全な指定避難所の確保 8
7)防災訓練の充実 6
8)学校での防災教育 4
9)津波避難ビルの整備 3

(朝日新聞、6月11日による)

 すでにこの『連続エッセイ』で指摘したように、大きい災害の場合ほど、災害の全体像の情報の遅れが目立つが、災害発生後の復旧支援においても、遅れが目立つ。(表1)の結果が(表2)の第1位に現れている。このように、大きく、そして深刻な問題ほどそれが顕著である。このジレンマの解消を考えるのが今後の大きな課題である。

避難者・避難所

 地球温暖化時代に生きる人びとが、避難者となり、幾日間かを過ごすところが避難所である。テレビの報道で、全国の視聴者は避難所の生活の実態をかなりよく理解しているつもりだが、実際の体験は知識や想像をはるかに超える耐え難い問題が多々あるであろう。3ヶ月を経過した現在、津波被害が大きかった3県の被難者・仮設住宅状況は(表3)のとおりである。

(表3)県内被難者・県外への被難者・仮設住宅の値(2011年6月9日現在)*

県内避難者 県外への被難者 仮設住宅
着工済み 必要戸数

岩手県 21,183人 640人 12,109戸 14,000戸
宮城県 23,532 4,042 15,853 23,000
福島県 23,353 35,557 11,753 15,200

*朝日新聞(6月11日)による。

 県外への被難者が多い福島県の場合は原発の事故の影響が大きく、この『連続エッセイ』では、改めて話題としたい。福島県を除いて考えると、岩手県では県外への被難者数が少なく、仮設住宅の着工済みの割合が比較的高い。県の地形や都市化の特徴が、宮城県と比較して、よくでている。このような、地形条件・都市化の進展の差などの細かい考慮が将来計画にも反映されなければならない。
 3月11日直後には現地では雪が舞った。その後、幸いにして春となり日中は陽射しももどったが、夜の寒さは身に応えた。大広間はまだよいほうで、体育館の床は仮に布団をたくさん敷いても、冷え方は尋常ではない。今は梅雨時、ただでさえ湿っぽい毎日である。布団を干すところさえなく、下着の洗濯もままならない避難所生活の苦労は経験した者でなければわからない。どう、対処するのか。
 次の問題は県外避難である。県外は県内より一般的に言って距離が離れているのだから、避難する以前に生活していたところより環境条件、特に生気候条件がより大きく異なると考えられる。今回の大震災もこれから高温多湿の梅雨季を迎える。それを経て、盛夏の高温や陽射しは、地球温暖化により強調され、その条件下で避難生活を送らねばならない。
 それにもう一つ、(表3)に見られる宮城県と岩手県の差を、もし、都市化地域の差と置き換えることが許されるならば、この差に関する知識を、来るべき関東・東海地方に大震災が発生したときの対処計画に反映させなければならない。その大震災は何年先か、何十年先か、何百年先かわからないが、長い先であるほど温暖化は進行しており、その影響は大きくなっているのは確かである。冷暖房。計画停電、仮設住宅用地確保などばかりでなく、避難者の健康管理、感染症対策、心のケアなどかなりの高度の生活管理や、避難所におけるトイレ・洗濯場・フロなどの確保は、都市化した地域ほど一般的にむずかしい。(表3)のような統計値のより細かい解析を進めねばならない。


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