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連載エッセイ [39]
温暖化と生きる
吉野正敏

 
盛夏の花
 
猛暑と花の季節

 2011年の夏はすでに始まっている。5月中ですら夏のような高温に見舞われ、6月には連日のように午後の最高気温35℃以上をたくさんの地点で観測した。テレビは、爐匹海修海任37℃、38℃。。。。になりました”と言うニュースとともに、汗だくで道ゆく人たちの姿を報じた。梅雨があけて夏の高気圧に覆われる今年の7月〜8月はどうなるのであろうか。誰でも気になるところである。東日本大震災の影響で、まだ不自由な生活を耐えしのんでおられる方々が多い東北地方ですら、この異常高温の出現傾向から免れることはできないだろうと思う。そこで今回は心機一転、心をいやす花の話を書いておきたい。
 日本人が持つ夏の花のイメージはなにか。「卯の花の匂う垣根に。。。。なつーう、が、来た。。。。」と言う歌に代表されるイメージは、「色濃い緑の葉が茂る樹に咲く、白い花」ではなかろうか。ところが、ウメ・サクラ・フジその他、春に咲く花は多く、植物季節学という学問分野でよく研究されているし、昨今では気象庁や気象会社から、開花予想すら発表されている。秋の花、ハギ・ススキなども同様である。季節感なども春・秋はこまやかになる。これに関してはこの連続エッセイでも何度かとりあげた。しかし、夏に咲く花は少ない。長持ちしない。昔から、花屋さんが一番困る季節である。
 日本で夏に咲く花がないわけではない。ハスの花などはおそらく弥生時代・古墳時代から日本人の生活に溶け込んできただろう。最近では、バラなども夏の日本で美しさを増すように思う。では、異常な猛暑でこのような花の季節はどうなるのだろうか。研究はされてないようで、周辺状況から推察できることを述べるほかない。

タンポポの開花

 タンポポの花はわれわれの生活では、身近に見られる。冬を除いて、都会でも空き地や道路ばたなどで、いつでも見られると感じている人が多い。夏のカンカン照りの日中でも負けずに黄色い花を咲かせているのは、私には、けなげとさえ見えてくる。コンクリートやアスファルトの敷地の少しの隙間、屏と屏の間のわずかの土地に根をおろして、生きている。その生活空間の日中の気温は、盛夏ならば、おそらく40℃以上で、50℃くらいさえなっても不思議でなかろう。ところが、真夏に花を咲かせているのは、日本在来種のタンポポではないのである。
 タンポポには日本に固有の在来種と、外来種(帰化種)がある。植物学的な両者の差はここでは省略するが、近年外来種が増加している。東京の南多摩地区における変化は(表1)のとおりである。ここに生育する在来種は2倍体のカントウタンポポ(Taraxacum platycarpum Dahlst. Subsp. platycarpum var. platycarpum )とシロバナタンポポ (T. albidum Dahlst.)である。外来種はセイヨウタンポポ(T. officinale Weber)とアカミタンポポ(T. laevigatum )があり、3倍体である。また、2000年の調査では、中間の特徴をもつ、中間型が捉えられた。すなわち、開花時には在来種の特性を持ち、花季が終わると外来種のような特性を持つものである。

(表1)東京の南多摩地区におけるタンポポの在来種・外来種の出現頻度(地点数)(%)

在来種のみ 混生 外来種のみ タンポポなし 調査地点数 資料

1980年 9.0 18.4 56.8 15.7 1,654 小川・本谷(2001)野生生物保護、6、1−14
1990年 1.2 9.1 62.7 24.2 1,969 同上
2000年 5.8 11.2 58.9 24.0 1,646 遠藤・小川(2002)人間と環境、28(2)、52−62


 ここで、興味があるのは、1980年と1990年を比較すると、在来種が減少して外来種が増加、さらにはタンポポそのものが生育しなくなっている状況である。この地区の急激な都市化の現れである。2000年には状態が1980年のように少し戻ったのは、都市の中で、公園や駐車場周辺、土手などが整備され在来種タンポポの生活環境がやや良くなったためと考えられる。
 もし、在来種と外来種で開花季・開花期間などが違い、また気温条件などとの対応が違うとすれば、猛暑の影響もまた異なるはずである。これまで一般的に言われている特性をまとめると、(表2)のとおりである。

(表2)タンポポの在来種と外来種の開花と関連する特徴

在来種 外来種

開花期間 4−6月、比較的短期間 4−6月に多いが、年間を通じて開花結実
開花時間(晴天日) 午前10‐11時に極大 日中いっぱい
1頭花あたり小花数 少、平均約60個 多、平均約160個
訪花昆虫 必要 結実のためには不必要
発芽習性 夏季、高温休眠性あり 休眠性なし
発芽後の生育 ゆっくり、開花まで2−3年 速い、開花まで5−10ヶ月

[主として、堀田 満(1977)自然史研究、1(12)117-134;小川 潔(2001)日本のタンポポとセイヨウタンポポ、どうぶつ社による]

 開花率の年変化を在来種・外来種別に(図1)に示す。

(図1)在来種と外来種のタンポポの開花率(%)の年変化(和田、1990の資料による)

 この図から以下のことが読み取れる。(1)在来種のカントウタンポポと、外来種のセイヨウタンポポとは、ほぼ同じ年変化の型を示す。すなわち春と秋に極大が出る。しかし、春の方が大きく、5月が最大である。(2)最も注目しなければならないのは、在来種のカントウタンポポでは7月・8月は0であること。すなわち、花は咲いてないことである。(3)外来種のアカミタンポポは6月が最大、7月・8月もかなり大きい。(4)対照的に在来種のシロバナタンポポは最大は4月に現れ、7月・8月・9月はほとんど0である。

猛暑の影響

 上記の結果から、猛暑の7−8月に見る花は外来種のタンポポの花である。日本人だからといって、何も在来種を応援しなくてもよいのかも知れないが、私は在来種を応援したくなる。訪花する昆虫の数も猛暑で減少するだろう。これも有性生殖の在来型にはマイナス要因である。
 サルスベリ・キョウチクトウなど、真夏の花は春の花とは違った味わいがある。背丈のある木は風の影響もあって、暑さは地面付近のタンポポの生活空間よりは、多少よい環境かも知れないが、偉いものだといつも感心している。



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