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連載エッセイ [07]
異常気象時代のサバイバル
吉野正敏

 
地球温暖化と異常気象
温暖化の影響は増加・強化・極端化するか

 現在、地球が温暖化していることを疑う余地はない。さらに今後も人類が二酸化炭素などの温室効果ガスの大気中への排出を続けると、21世紀末には1981〜2000年の平均値に対して、降水量は9〜16%増加し、海面は、南極大陸やグリーンランドなどの氷が融ける結果、最大で2〜63cm上昇するといわれている。日本で予測されている洪水・高潮などの被害を(表1)に示す。洪水による被害は年最大で4,809億円増加し、健康被害の内、熱中症による死亡リスクは13倍になるという。

(表1)21世紀末の日本における温暖化の影響による被害の2〜3*

被害項目 被害額

洪水 年最大4,809億円増加
高潮 年最大2,592億円増加
河川の流量 20%増加
健康(熱中症などによる死亡リスク) 最大13倍

*2014年のIPCC第5次報告書による

 この表の値は、この問題に関連した研究者達が集まって検討し、結論したのだから、信頼度も高いものである。この表に上げた他、農林水産業や、自然生態系など、多数の分野に及ぶ被害は深刻な状況と指摘されている。

最近、異常気象は強化・増加・極端化しているか:その捉え方

 異常気象は近年強くなりつつあるか、発生する回数は多くなりつつあるか、逆に少なくなりつつあるか、あるいは、これまで観測した記録には見られないほど極端化しているか。統計的に、これまでの観測記録によって求めた平均値から並外れた値としてよいか。これまで、この連続エッセイでは、捉え方の方法論を検討することなしに、現象の具体的な例を示してきたきらいがある。観測記録では第1位であるとか、何年に1度というまれに発生する現象とか、異常という言葉を直観的に捉えて、読者にアピールするという方法をとってきた。もちろん、統計的に、これまでの平均値から求められる標準偏差の+−2倍の範囲外の値とか、平均値の差の検定をして昔の平均値と最近の平均値との差が有意かどうかを調べたりしている。これは現象把握の第1歩である。
 ここで重要なのは、この第1段階はその事実の確認・忠実な記述である点である。したがって、この段階では温暖化の『影響』だかどうだかはわからない。そこで、研究の第2段階では、長期間の半球規模の大気循環、気温あるいは海水温、上層気流の風向・風速、雪日数・氷河の消長などの温暖化の指標となる現象(これをAの現象と呼ぶ)の変動(長期変動)と、調べたいもう一つの現象(Bの現象と呼ぶ)の長期変動との並行性(正の相関)あるいは逆行性(負の相関)を調べねばならない。言い換えればAの現象とBの現象との関係の有無を調べねばならない。ここで重要なことは、わかったのは『関係の有無』であって、AとBのどちらが原因とも結果とも分からない、いわゆる『因果関係』は分からないことである。原因は他にあってAもBも結果かも知れない。これが認識の第2段階である。
 第3段階は原因(地球温暖化)と結果(地球上の様々な気象・気候・生物・人間活動などの現象)の因果関係の物理・化学・生理・生態学などの手法による科学的解明である。
 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のワーキンググループ1は主として第3段階・第2段階の研究結果をとりまとめ、ワーキンググループ2は主として第2段階・第1段階の研究結果をとりまとめている。
 いま注意しておきたいことは、研究として第3段階の程度が高いとか、内容が詳しいとか、より重要であるとかは言えない点である。地球温暖化や極端な異常気象のような現象は、それ自体が比較的新しく、また一方では、関係自体が複雑でよくは捉えられていない。このような場合、第1段階・第2段階の調査・研究がきわめて大切である。
 原因と結果が解明されて、初めて純粋に科学的に発言できるのであろう。しかし、科学者は第3段階の解明が終わるまで一般人に対し発言してはいけないとは言えない。センセーショナルに発言すべきではないが、第1段階・第2段階の現象を紹介し、研究し、考えて行こうとするのがこの[連続エッセイ]の目的でもある。以上に述べてきたことをまとめると(表2)のようになる。

(表2)地球温暖化の認識・関連・原因結果の過程・影響などの研究の3段階

研究の3段階 内容

第1段階
 1−A 温暖化傾向 Aの検出・認識・記述
 1−B 個々の異常気象、B1、B2 …の検出・認識・記述

第2段階 AとB1、A とB2 …の並行(逆行)する変化傾向の統計的有意性検討

第3段階 AとB1、AとB2 …の因果関係の物理化学的、生理生態学的研究・証明

日本の季節の例では

 日本の季節についてはどうなるであろうか。“季節外れの暖かさ”とか、“季節外れの暑さ”などと言う表現がある。冬だと言うのに春のような暖かさ、春なのに真夏のような高温になったりすると、このような言葉が使われる。われわれが捉えている季節の範疇(認識)からはみ出している状況を異常気象と捉えての表現(記述)である。
 日本の季節の2001−2010年の10年の状態が、その前の1991−2000年の10年に比較して、どのように変化したかを田宮(2014)は調査した。その結果を(表3)に示す。

(表3)日本における季節別の気圧配置型出現率(%)の最近の変化、(2001−2010)−(1991−2000)*

気圧配置型 西高東低 温帯低気圧 移動性高気圧 前線(梅雨) 南高北低 台風+前線

季節
冬年初 −11.0 0.9 6.6 3.5 −0.1 0.0
−2.1 −2.5 4.3 0.1 0.1 0.1
梅雨 0.0 0.0 −4.2 −0.7 3.8 1.1
0.0 −4.4 4.9 1.3 2.9 −4.7
秋りん −0.2 −17.1 4.3 7.7 5.2 0.0
−0.8 −7.2 2.5 4.9 0.8 −0.2
冬年末 −7.1 8.4 −4.0 2.0 0.4 0.3

*田宮兵衛(2014):日本の季節2001-2010. 日本地理学会発表要旨集、No.85, p.85

 この表を見ると、冬の西高東低型の気圧配置の出現率は非常に小さくなっていること、温帯低気圧型の出現率も秋りん季を中心に夏から秋の季節に小さくなってきている。逆に出現率が大きくなったのは冬年初・春・夏・秋季の移動性高気圧型、秋りん季の前線型、南高北低型である。
 これらの内容を見ると、温暖化が進んだ2001−2010年の状況がわかる。これが上記の第1段階の研究の好例である。気圧配置型の出現率の変化がこのように見られることをわれわれが初めて知った貴重な研究結果である。第2段階では、たとえば、北半球の中緯度高気圧の変化との関係、シベリア高気圧との関係などを調査することであろう。


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