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連載エッセイ [25]
異常気象時代のサバイバル
吉野正敏

 
降雪量・積雪量(積雪深)とサバイバル
降雪量の定義

 今年の12月は異常に雪が深く、豪雪により、18日現在、すでに9名の死者が報告されている。北海道が最もひどく、東北地方の日本海側、北陸・中部地方や西南日本の日本海側で異常な雪に見舞われた。
 12月18日の各新聞・テレビは報じた。『気象庁によると、18日正午までの予想降雪量はいずれも多いところで、北陸120cm、関東甲信90cm、北海道と東北、東海80cm、近畿北部と中国60cm、日本列島全域で20m/s以上の強い風が吹く見込み』という。
 ここで、私が問題提起したいのは、その120とか90とか言う値ではなく、予想降雪量とは何か、言い換えれば、その定義である。この言葉がいつから生まれたのか正確には知らないが、昔はなかったことは確かである。単位がcmなのだから積雪量(または積雪深ともいう)であることは容易に想像がつく。したがって、予想降雪量とは、『降った雪が積もったらば○○cmになるという予想値』と理解される。
 一方、これは気候学・気象学で国際的(WMO)にも、日本の国内的(教科書・事典など)にも、降水量は次のように定義されており、定着している。すなわち、
降水量(precipitation)= [降雨(rain fall) + 降雪(snow fall) + 降雹その他降ってくる固体の水(hail and other solid water)]の量
つまり、ここで言う降雪量とは降ってきた雪は溶かして液体の水として測った値、降雹なども同様である。したがって、いくら異常気象といっても冬の1晩に例えれば50cm(500mm)も降雪現象が起こることはありえない。言い換えれば、cmの単位で言うならばそれは積雪量(積雪深)を言っているのである。
 さらに問題なのは普通大雪になるのは、それ以前にすでにかなりの積雪があるところに、さらに降り積もることが多い。この予想降雪量とは、予想される新積雪の量(新積雪の深さ)のことなのか、あるいは、ある時刻にある地点において積っている雪全体(総積雪)の量(深さ)(累積積雪量(深)ともいう)のことなのかはっきりしない。
 一般の人々は、予想降雪量とは予想される積雪量(積雪深)であって、降雪の量ではないことを承知しているのであろうか。また、新積雪だけなのか、積雪全体のことなのか、承知しているのであろうか。もし、この曖昧さが原因でサバイバルに関係するような大きな被害が出た場合、アメリカあたりならば裁判に持ち込まれるであろう。気象局は負けるのではなかろうか。

累積積雪量

 2014年11月1日から12月18日までの累積積雪量を概観してみよう。(表1)は累積積雪量の平年比が100%以上で、累積積雪量が200cm以上あった地点の観測値である。ただし、参考として、そのどちらかがこの条件を満たしている地点も含まれている。

(表1)2014年11月1日から12月18日までの累積積雪量の平年比とその値(平年比100〜300%の地点)

地方 地点名 平年比 累積積雪量*

北海道
  上川 名寄 106 % 258 cm
  石狩 新篠津 113 205
  後志 赤井川 120 237
  後志 倶知安 102 251

東北地方
  青森県 弘前 213 183
   碇ヶ関 222 164
  秋田県 鹿角 280 210
   角舘 244 195
   横手 237 225
   湯沢 224 190
  岩手県 湯田 167 269
  山形県 向町 236 203
   肘折 127 302
   尾花沢 198 206
  福島県 只見 239 313
   南郷 238 281
   桧枝岐 148 253

関東地方
  群馬県 藤原 213 296
   みなかみ 298 244
   草津 238 133

中部地方
  長野県 野沢温泉 250 320
   小谷 269 242
   菅平 124 103
  岐阜県 河合 321 273
   神岡 390 191
   白川 282 321
  新潟県 守門 213 289
   十日町 303 316
   津南 265 392
  福井県 九頭竜 350 294

* もとの資料では累積降雪量となっているが、筆者の定義により累積積雪量と記す。

 この表からわかることは、次のとおりである。
(1) 北海道では、大きい値を観測した地点の平年比は100−120%、累積積雪量は200−260cmであった。すなわち、平年比は本州と比べて大きくないが、2mを越す積雪量(積雪深)そのものが人間生活を脅かした。
(2) 東北地方ではこの設定条件に合う地点数が多かった。つまり、豪雪地域が広かった。
(3) 東北地方の中でも秋田県と山形県でこの条件に合う地点が多かった。その範囲は120−280%、190−310cmである。
(4) 青森県では210−220%、160−190cmで、積雪量の絶対値がやや小さい。一方、岩手県・福島県では150−240%、250−270cmで積雪量の絶対値が大きい。
(5) 関東地方では群馬県にだけこの条件に合う地点がみられた。しかし、その値は秋田県と似ている。
(6) 中部地方は長野県・岐阜県・新潟県にみられ、富山県・石川県・福井県にはない。
 以上のような地域性はかなりはっきりした傾向を示している。本州の日本海側の豪雪地域である。しかし、秋田・山形・新潟の諸県でもごく海岸は省かれ、青森県では200cm以下、岩手では300cm以下であった。このような地域性は今回だけとは考えられず、今後、解析例を増やして検討する必要があろう。

“どか雪”とは

 上記のような地域性とは別に、一般の人々が豪雪を表現する言葉に“どか雪”がある。1晩とか、1日くらい降り続き、比較的短時間に大雪となる場合の表現である。そこで、平年比が300%以上の地点を(表2)にまとめた。

(表2)2014年11月1日から12月18日までの累積積雪量の平年比とその値(平年比が301%以上の地点)

地方 地点名 平年比 累積積雪量*

中部地方
  長野県 飯山 403 % 266 cm
  岐阜県 高山 400 156
   長滝 488 332
   樽看 921 221
   関ヶ原 714 50
  新潟県 新潟 600 66
   新津 518 88
   安塚 502 301
  石川県 白山河内 391 168
  福井県 九頭竜 350 294
中国地方
  広島県 八幡 366 216

* もとの資料では累積降雪量となっているが、筆者の定義により累積積雪量と記す。

 この表からわかることは次のとおりである。
(1) 301〜400、401〜500%がそれぞれ3地点、501〜600%が2地点、それより大きい平年比の地点は少ない。しかし最大は921%に達する。
(2) これらの地点の累積積雪量の平年値は数十cm以下である。すなわち、平年は比較的積雪は多くはない。そこへ、今回2〜3mの積雪となったことを意味する。これは、人間生活、動植物にとって非常に大きなインパクトとなる。
(3) (表1)と比較すると、(表2)の地点は日本海岸に近い地域、西南日本などである。日本列島のスケールで見ると豪雪地域を取り巻く地域である。北海道・東北地方には出現しない。
(4) (表2)のような統計を日単位でまとめる必要がある。過疎地域の交通障害・高齢者生活・都市内除雪・国道や市町村道の除雪や通行確保・農村の施設保全などには重要である。

いつ大きい値が出るか

 豪雪だから真冬に出るだろうと思うのは間違いである。日別の統計をまとめてみないとはっきりとした答えを言えない。今、手元にある北海道の雪の日の統計(日別の天気出現率)の表(浅野、1976)によると、かなりはっきりと日による大小の差がある。日本海に近い北海道の西半の稚内・旭川・札幌・室蘭・函館のデータによるとたとえば1月16日は前後の日に比べて雪の出現率が大きい。これを雪の特異日というが、地域的広がりなどについての研究がない。12月は30日が雪の特異日だが、29日あるいは31日の地点もある。雪の特異日は必ずしも豪雪の特異日にはならないかも知れない。調査してみる必要があろう。もしあるとすれば、避難・除雪などの計画・対策をあらかじめ立てるのに役立つ。
 同じように、近年の地球温暖化と豪雪頻度の変化との対応はそう簡単ではない。豪雪の過程には日本海の水温も関係しているからである。温暖化しても個々の年には低温の冬もある。総積雪量、累積積雪量、豪雪、どか雪は寒冬の年に多いであろうが、その逆もいえるかどうかは、はっきりしない。今後の研究である。

[文献]
浅野芳(監修)、北海道新聞社(編)、1976:北の天気。北海道新聞社、札幌、334ページ。


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