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連載エッセイ [40]
異常気象時代のサバイバル
吉野正敏

 
ヨーロッパ諸都市の高温化
ヒートアイランドの歴史

 ヨーロッパにおける都市の歴史は古い。古代都市あるいは都市国家の中心部ではすでにヒートアイランドが形成されていたと思われる。19世紀にはヨーロッパの幾つかの都市では温度計による観測値で都心が郊外より高温であることが確かめられていた。日本でも大正時代には都心部の高温化が観測値の統計処理によって報告された。また、冬には降雪量や積雪量が都市内では少ないと言う経験的な観測による記述もあった。
 等温線図を都市を含めて描くと、都市の部分が高温で閉曲線になり、地形図では島の部分が閉曲線になるのと似ている。そこで“熱の島”すなわち英語で“ヒートアイランド”と呼ばれるようになった。
 最近、地球温暖化に基づくとみられるが、都市内の高温化が目立つ。しかし、昔と比較すると幾つかの相異が見られる。(表1)はそれをまとめた。

(表1)昔と最近のヒートアイランドの特徴の差

昔(主として20世紀前半まで) 最近(主として1980年代以降)

顕著に発達する季節 寒候季 暖候季
発達する時間帯 特に夜間に顕著 特に日中に顕著
発達する時刻 日最低気温の出現時刻頃 日最高気温の出現時刻頃
特に影響する気象 都市内外の放射冷却の差 日射による地表構造物面の昇温
都市大気層 薄く小さい 厚く大きくなり層内の風速弱い
影響する都市構造 都市内外の地表面(2次元)構造 都市内外の3次元構造
人間活動 人工放熱の影響大 人工放熱・汚染物質増加


 言うまでもなく、(表1)に示したような特徴はヨーロッパの都市ばかりでなく、アメリカや日本の都市でもあてはまる。世界的な傾向と考えてよかろう。ただし、熱帯では季節変化はほとんどなく、日中でも午後にスコールがくると状況がかなり変化する。したがって、(表1)はヨーロッパを含む温帯・亜寒帯の都市であてはまるとしたほうがよい。

最近の中央ヨーロッパの諸都市では

 今回紹介するのはEU(ヨーロッパ連合)のプロジェクト研究の結果(Mahdavi, 2014)の1部で、1980年代以降の中央ヨーロッパの諸都市におけるヒートアイランドの変化傾向である。(表2)に都市名とその規模を上げた。日本の大都市と比較すれば面積は小さく人口も少ない。しかし、中央ヨーロッパの都市の大よその規模は理解できよう。

(表2)紹介する中央ヨーロッパ都市(国名)の面積・人口・海抜高度

都市名(国名) 面積(km2 人口(百万) 海抜高度(m)

ブダペスト Budapest(ハンガリー) 525 1.74 90‐53
リュブリアーナ Ljubjana(スロヴェ二ア) 275 0.28 261‐794
モデナ Modena(イタリア) 183 0.18 34
パドゥア Padua(イタリア) 93 0.21 8‐21
プラハ Prague(チェッコスロヴァキア) 496 1.26 177‐399
シュテゥットガルト Stuttgart(ドイツ) 207 0.60 207‐548
ウィーン Wien(オーストリア)  415 1.73 151‐543
ワルシャワ Warsaw(ポーランド) 517 1.70 76‐122


 このような規模の都市におけるヒートアイランドの1980年代から2011年までの気温観測値を整理した。(図1)は年平均ヒートアイランド強度(都心観測点の年平気温−郊外観測点の年平均気温)の最近の約30年における変化傾向を示す。
 都市内の中心部の観測地点における観測結果、および、都市外(郊外)の観測地点における観測結果は、図示は省略するが、それぞれ30年間では上昇傾向が認められる。しかし、(図1)に示すように年平均ヒートアイランド強度に関しては30年間の変化は認められない。

(図1)中央ヨーロッパの諸都市におけるヒートアイランド強度の最近の変化

夏の日のヒートアイランド強度の日変化

 “中央ヨーロッパ諸都市の年平均ヒートアイランド強度には、最近の約30年間における温暖化傾向は認められない”というのは、われわれ日本人にとってはかなりショッキングな指摘である。われわれは酷暑・猛暑・夏日の地点数などの情報で、ヒートアイランド強度は上昇しているのではないかと何となく思っていたからである。
 考えられる理由は、(1)種々の天候の日を交えた年平均値だからであろうか、(2)温暖化は都市のスケールを無視するような地域スケールだから、であろうか。今後の課題である。
 このプロジェクト研究結果では、回答の手がかりがすでに示されている。すなわち、2009年、2010年、2011年の夏からそれぞれ典型的な夏の1週間を選び出し、その期間の各都市における毎時間(毎24時間)のヒートアイランド強度を求めた。その結果によると、明らかに日中は小さく、夜間は大きい。さらに詳しく言えば、午前7−8時に急減し、午後13−15時頃やや大になるが夜間の2分の1以下である。17時頃から上昇し始め、19−20時に急上昇する。そして明け方まで大きい値が継続する。
 このような傾向は、温暖化の地域スケールとヒートアイランド強度の地域スケールの差にも帰せられようが、私にとって最大の興味は(表1)に示したような昔の時代の寒候季の特徴が夏の日に出現していることである。

[文献]
Mahdavi, A. et al. (2014): Geopraphia Polonica, 87(4), 505-516.


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