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連載エッセイ [44]
異常気象時代のサバイバル
吉野正敏

 
暖地の花ごよみ ― 観光の季節学
ツーリズム季節

 ツーリズムが産業として価値を高めつつある。これは、“爆買い”現象が起る以前、すでに20〜30年以上も前から言われてきたことである。そのツーリズムとは、読んで字のごとく、季節によって変化する色とりどりの花を愛で、輝く太陽の光を新しい環境の中で満喫することである。この余裕がなくなった場合がサバイバルの限界である。そして、その余裕が季節ごとに、身近に、入手出来るほど生活は豊かだと言えよう。
 例えば、南房総は東京の近くにあり、冬暖かく、海浜の波は穏やかなことが多く、海岸に近いところには花の栽培が盛んな低地、すぐ背後は常緑の広葉樹が茂る山の斜面である。さまざまな海産物・果樹類にも恵まれている。観光地としての好条件が揃っている。今回は南房総を例にとって少し考えてみたい。

観光の季節性と局地性

 まず、南房総における行事・レジャーであるが、年間を通じてできるのは、ハイキング・アスレチック・ハーブガーデン・ゴルフショートコース・磯遊び・定置網・地引網・野外バーベキュー・アロマテラピー・びわの葉温灸・びわの葉風呂・よもぎ風呂などである。暖候季の海水浴・クルージング・ジェットスキー、6月上旬から7月初めまでのホタルもまたこの地域の大切な観光要素である。
 ところで、ある観光地の価値は季節的にも局地的にも特有であることが重要である。紀伊半島・東海道沖を北上してきた黒潮は房総半島付近まで沖合いを流れて来るため、冬は暖かい。また関東平野には冬の寒い時、ユーラシア大陸から吹き出してくる寒冷な風が、本州の脊梁山脈を吹き越してきて、空っ風と呼ばれる北西〜北の強い風が吹かせる。しかし、南房総はこの強い風に対して房総半島の山やまの陰になる。したがって冬でも暖かい。
(図1)館山市香付近(海抜15〜20m)における谷底の水田面から、
谷斜面下部の常緑広葉樹林までの土地利用(吉野、1997)。

 このように、局地的には低いが山地を背後に持ち、海岸線が入り組んでおり、小さい谷の河口付近には水田として利用されている低地もある。言い換えれば局地性に富む。土地利用の面からは多様性に富む。これは観光資源として重要である。(図1)は館山市の香付近の丘陵の下部における土地利用を示す。画面における斜面上部は常緑広葉樹林である。斜面の最下部はカクレミノ・ソテツなど、水田面に連なる崖ではウメ・ビワなどの樹を育てる。(写真1)は富浦付近の南無谷における斜面下部の状況である。(図1)で示した常緑広葉樹林からカクレミノ・ソテツなどが育つ狭い傾斜のゆるい斜面に移る部分に当たる。
(写真1)南房総の富浦付近(南無谷、なむや)における斜面の植生。画面上半部のこんもりした樹冠の常緑広葉樹はマテバシイ、画面3分の1下部はビワ、最下部左隅はニューサイラン、右隅はハラン。
(1998年2月、吉野撮影。不許複製)

 (写真1)の画面約3分の2の常緑広葉樹はマテバシイである。その1部(中央部)には小さい谷があって、谷頭にはスギ(やや濃い緑色、常緑針葉樹)が見られる。画面最下部にはニュウサイラン・ハランなど、生け花用とし出荷される“葉もの”が栽培されている。

花ごよみ

 南房総富浦の花ごよみを(表1)に示す。

(表1)富浦の花ごよみ

花の名前 期間

ガーベラ 1月−2月
スターチス 1月初め−5月20日頃
ウメ 1月中旬−2月初め
サクラ 3月下旬−4月中旬
カトレア 4月初め−12月末
ツツジ 4月−5月
ミツバツツジ 4月中旬−5月10日頃
アイリス 4月中旬−5月初め
アジサイ 6月上旬−7月上旬
ヒマワリ 6月20日頃−9月末
コスモス 9月初め−10月20日頃
カーネーション 10月末−5月末
ナノハナ 11月20日頃−3月下旬
ストック 12月−3月
キンギョソウ 12月−4月
ストレチア 12月−5月
スイセン 12月中旬−1月下旬
ポピー 12月下旬−4月上旬


 この表に上げた以外にもまだたくさんの花がある。また、観光客用の花摘み園で栽培されるもの、園芸農家が出荷用に栽培するもの、時代の流行によって栽培が急増したり激減したりして変化が激しいものなどがあって、この表は、筆者が調査した約20年前ごろの大まかなものと御理解願いたい。(図2)には農家が出荷する花の1年間のこよみである。このほか、農家の収入の面からは、いわゆる“葉もの”もある。花ばかりでなく、日本古来の生け花や、新しいフラワーアレンジメントには葉ものが欠かせないので、需要がある。また、現地の局地的な観光要素としてソテツ・ハラン・ニューサイランなどの役割は大きい。しかし“葉もの”は花より季節性が乏しい。
(図2)南房総における花の出荷ごよみ(吉野、1997)。

(写真2)南房総の白浜における「花摘み園」。中央部の黄色と桃色の花はストック、濃い赤色はキンギョソウ。
(1998年2月、吉野撮影。不許複製)

 南房総の白浜における「花摘み園」の例を(写真2)に示す。画面中央の黄色・桃色の部分はストック、濃い赤色の部分はキンギョソウ、手前のやや草丈の高い緑色の部分はフリージャーである。この写真は2月に撮影したので、(表1)からもわかるようにストック・キンギョソウは花盛りである。  

花の季節・出荷の季節

 日本人は季節の推移に敏感である。自然の変化に対して感受性が鋭い。宇宙空間で生活するようになっても、24時間の昼夜の周期は必ず取り入れていると聞いているが、季節性は将来どうなるのか私は知らない。季節性が宇宙空間の生活では乏しいとなると、日本人は、もしかすると、1年以上も四季のない宇宙生活には最も弱いのではなかろうか。
 きゅうりやトマトが、日本の都会のマーケットでは1年中買える時代になって、すでに久しい。筆者は田舎に暮らしているので、100円ショップで買えるきゅうりやトマトの味の季節性を味わえる幸福な生活をまだ送っている。
 ところで、花はどうであろうか。品種改良という方法で早生種・晩生種などを作り出し、あるいは温室・フレーム栽培・低温貯蔵など、人工気候室で栽培・貯蔵して出荷日の調節を行なっている。盆や正月用に出荷を調節し、いかにして高い収入を得るか、花の栽培農家にとって重要課題である。もちろん観光農園でも春・秋の大型連休などの対策は簡単な話ではない。
 (図3)には富浦町におけるアイリスの早生系・中生系・晩生系のアイリスの出荷ごよみを示す。出荷が最も早いものは10月下旬、最も遅いもので翌年の4月中旬である。

(図3)富浦町におけるアイリスの出荷ごよみ(富浦町役場、1996)。

サバイバルと花の季節

 上に紹介したように花の季節性は大きい。11月は最も種類が少ない。もし、東日本大震災が11月に発生していたら、避難生活もかなり様変わりしていたことは確かであろう。“花”の歌の内容・理解・願い・表現も変わっていたであろう。これはサバイバルの考察・今後の対策に取り入れなければならない。

[文献]
富浦町役場、1996:富浦の花。発行者、富浦町長、46ページ。
吉野正敏、1997:千葉県の花の栽培と気候。環境情報研究、(敬愛大学環境情報研究所)、5号、pp.1−9.


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