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連載エッセイ [48]
異常気象時代のサバイバル
吉野正敏

 
ヨーロッパの今冬 ― 異常変動か ―
2015年の11月・12月

 2015年12月から2016年1月にかけて、テレビや新聞はもちろん、あらゆるマスコミが“株価急落”を報じた。もともと“株価の乱高下”は今に始まったことではない。らち外の者にとっては、“ああ、そうですか。大変ですね。。。。”で、終わりである。
 さて、気温は乱高下するか。“地球は温暖化する”ならば、変化は右肩上がりの一方的なのか。冬は毎年毎年暖かくなってゆくのか。この連続エッセイの読者ならば、“いや、そんなことはない。長い目で見れば温暖化しているが、年ごとに見れば、のこぎりの歯のように上下していて、寒い冬の年もはさまる。。。。まして、一冬の中では、たとえその冬全体の平均値はプラスの偏差、つまり暖かくても、寒い日もはさまる。。。。”と言うくらいの知識は持っている。
 その上、日本付近は今年はエル・ニーニョの影響で、暖かいという予報が出ていた。本州は雪が少なく、やっとスキー場がオープンしたというのが、今、2016年の1月になって話の種になるくらいだから、スキー場の経営者はもちろん、スキー客が泊まるホテル、利用する交通機関、果てはスキー場の駐車場での自動車誘導・整理のアルバイトまで、来る人が少ないので、仕事がなくなり、収入減がひどかった。
 これまでの気候では季節の変わり目であった11月から12月の話を今回はしてみたい。真夏・真冬の極端な季節の変化、春・秋の季節の早まり・遅れはこれまでよく取り上げられ、論じられているが、季節の変わり目に起る問題はあまり話題にされてこなかった。秋の終わりが遅れ、冬が短くなるとすれば、どのようなことが起きるのか、予報にはどのような留意が必要かなど、最近の問題をヨーロッパにおける例から拾ってみる。

天気図で見る気温変動

 まず、晩秋の寒い日の例として、2015年11月23日と11月24日のヨーロッパ天気図を(図1)に示す。

(図1)晩秋の寒い日の天気図の例。
(ドイツ気象台予想天気図、フランクフルター・アルゲマイネによる。1部分を吉野が加筆翻訳。図2、図3も同じ)

 大西洋北部(スカンジナビア半島の西方には、中心は図の範囲外だが、アイスランド低気圧があって、北西〜北北西の気流(黒い太い矢印)がその前面は寒冷前線となって、北ヨーロッパ・北西ヨーロッパ・南ヨーロッパ西部に向かっている。一方、温暖な気流(白い太い矢印)はイタリア南部から黒海に至る温暖前線(部分的には寒冷前線、これは停滞気味であることを意味する)の南東側、すなわち、ギリシャ・トルコ・黒海東部・ロシアの地域より南東側の温暖地域と差をつけている。この二つの前線にはさまれた地域は11月下旬としては異常低温である。イベリア半島・イタリアを含む南ヨーロッパは11〜15℃、西ヨーロッパは2〜8℃、北ヨーロッパは0〜5℃であった。中部地中海には弱いジェノワ湾低気圧があるがヨーロッパのほとんど全域が高気圧に覆われていた。夜の時間が長く夜明け頃の放射冷却の効果が特に強くなることによる。

(図2)晩秋の暖かい日の天気図の例。

 (図2)は晩秋から初冬にかけた暖かい日の天気図である。大西洋北部の低気圧の中心は北ヨーロッパにまだ達しておらず、スカンジナビア半島から北西ヨーロッパには白い太い矢印でわかるように、暖気が南西から入り込んでいる。そのため、気温は12月19日の初冬ですらドイツのベルリンで12℃、フランス南西部のボルドーで19℃になった。例年ならば地中海上には冬は気温が低く水温は高いので低気圧が発生するが、11月7日は全く低気圧はなく、12月19日には地中海の東のはずれ、トルコの南方にやっと浅い低気圧がみられるだけである。(図1)ではベルリンは23日24日とも3℃、ボルドーでは11月23日に8℃、24日に12℃だったから、いかに暖かであったかがわかる。この暖気の進入は東ヨーロッパまで達し、ヨーロッパの全域を覆う規模であった。キエフやモスコウ以東で、やっとユーラシア大陸の気候地域になった。

寒中祭り、ホワイト・クリスマス

 2016年1月6日は小寒、1月21日は大寒である。積雪が多い日本の伝統的な寒の祭りは、雪の中で行なわれるものが多い。祭りの形式は少し違っていても、雪景色の背景は、祭りの舞台に欠かせないのである。雪がなければ雰囲気が盛り上がらない。
 ところで、12月末の“クリスマスに雪があるか、ないか“、つまり、“ホワイト・クリスマスか否か”は欧米の人達にとっては、日本人の“寒中の祭りに雪があるか、ないか”よりずっと強い。“北西ヨーロッパの人びとは、どうしてこんなに騒ぐのか”、と思うくらいである。子供ならば「雪がなければ、サンタクロースが乗ったそりが走れない。だから、雪がなければ、プレゼントがもらえない」と答えるだろう。しかし、大のおじさん・おばさん、はてはマスコミまで、毎年毎年騒ぐのである。ヨーロッパの気象台や気象会社の方々は、日本の気象台や気象会社の方々がサクラの開花日予想をするより大変らしい。
 確かにいま手元にあるイギリス気象局の「クリスマス・イヴ、すなわち12月24日に地上に積雪がある観測地点数の全観測地点数に対する%」という1959年〜2014年の56年間のデータを多少整理してみると、次のような興味あることがわかった。乱高下ではなく、統計的な傾向が何かありそうである。すなわち、
(1) 地球温暖化の影響が明らかで、1982年以降、0%、すなわち「地上に積雪がある地点が、イギリスの全土でまったくない」年が多くなっている。0%の年は1959年〜1981年の23年間で9回だった(9年あった)のに対し、1982年〜2014年の28年間では21回(21年)である。
(2) しかし、興味あるのは、回数(年数)は少ないが、大きな値(積雪がある地点数の%)が1990年代以降、出現していることである。2010年の83%、2009年の57%、1995年の40%などである。言い換えれば、暖かく積雪がない冬が増えたが、積雪が多い非常に寒い冬が挟まることである。
(3) さらに興味あるのは、この%の大きい値の年(積雪が多い冬)は2年または3年続く場合が多いことである。これはイギリスに冬の降水(雪)をもたらすアイスランド低気圧の活動およびメキシコ湾流の活動の変動の時間スケールが原因かと思う。
 ホワイト・クリスマスの期待も簡単には答えられないのである。しかし、気候学的には研究の価値があることは確かであろう。人間のサバイバルに祭りの行事は絶対欠かせないのだから。

2015年のクリスマス・イヴの天気図

 (図3)に2015年のクリスマス・イヴの天気図を示す。ベルリンは10℃、ボルドーは17℃、明らかに(図2)の(上)(下)の気圧配置と似ている。12月24日には天気図の中央付近を東西に走る前線が見られることが異なる。気温はもちろん暖かい冬の日の状態であった。
(図3)2015年12月24日、クリスマス・イヴの天気図。

 日本でもそうだが、今冬はエル・ニーニョの年でその影響が非常に強い。しかも、われわれが経験したことがないような「ゴジラ」エル・ニーニョだとか言われている。“どうなるのかわからない”というのは無責任だが、サバイバルの限界を越えないことを祈るばかりである。


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