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連載エッセイ [52]
異常気象時代のサバイバル
吉野正敏

 
異常気象時代を生き抜く(I)
異常気象時代の2年間

 この連続エッセイで話題とした過去2年間の異常気象を振り返ってみたい。新年度の4月からはテーマを新しくしたいので、2014年4月から2016年3月までの2年間の締めくくりの意味も含めて、どのような異常気象が発生していて、われわれの生活をどのように脅かしているのか、今回と次回で、総括しておきたい。

どのような異常気象を扱ったか

 まず、どのような異常気象を取り上げたかをリストアップしてみる。順序は不同である。従来の自然災害の表では、発生の日付け順か被害額の高い方からかであるが、ここでは話題性に富む現象、人間生活に強い影響をあたえた現象、あるいは、筆者が強い関心を持っている現象などを綜合的に見た順に、結果として、項目に上げられている。

(表1)2014年4月から2016年3月までに、連続エッセイで取り上げた異常気象

異常気象 回数

豪雪・大雪・最深積雪 8
寒波・厳冬・低温 6
局地気候・局地風 6
被害把握方法・表現方法・時空間スケール 6
猛暑・熱波 3
強風・突風 3
豪雨・洪水 3
暖冬 2
気候・海洋変動 2
季節 2
山林火災・気圧配置型・被害者心理など 各1


 この表で興味あるのは地球温暖化によって暖冬の2年間であったにもかかわらず、豪雪・大雪・最深積雪など、暖冬と相反するような大雪が発生し、人間生活・人間社会に大きなインパクトを与えたことである。これはサバイバルの本質にかかわることである。
 また、気候学・気象学の立場からみると、日本の豪雪・大雪は、北海道・東北地方北部・本州の日本海側、すなわち日本海を渡ってきた冬の季節風が発達する地域でみられる。この西〜北西の季節風は樺太付近の北緯数十度を東進しながら発達する低気圧の後を追って吹き出すものである。言い換えれば、この低気圧が強く深く発達すると、その後の季節風も強くなる。地球温暖化によってこの低気圧が発達するのではないかと思われる。これについては、下でまた触れる。

温暖化の影響はいつ頃から始まったか

 では、このような温暖化の影響はいつ頃から顕著になったのだろうか。関連する統計を1〜2紹介する。(図1)は全世界における自然災害(実線)と人災(破線)による保険損害額の1970年から1992年までの変化を示す。
(図1)全世界における実際の保険損害額の変化。実線は自然災害、破線は人災による値。
(Enz, 1993, 吉野 1994)

 この図から、自然災害が1980年代末から急増したことがわかる。1989年から100億ドルを急に越えた。この自然災害の中には熱帯低気圧による災害も入っているが、温帯低気圧に関連する豪雨・洪水・突風などの災害が約76%を占めているので、年々変化の大よその状況推定に使ってもよいであろう。
 次に中緯度地域の大気循環、特に偏西風の強度・活発の程度の指標として、帯状指数(Zonal Index)を取り上げ、その年々の変化をみよう。帯状指数は1939年にロスビーが研究し始め、簡単なよい指数として北緯33°と55°の気圧差で捉えた。その後、35°と55°の気圧差がよいとされてきたが、最近の研究では35°と65°の気圧差の方が、半球規模で現象を気候学的に長期間の年々変動などを捉えるのによいとされている。このように高緯度側の限界が高緯度方向にずれたこと自体が温暖化の結果ともみられ興味ある。とにかく、ここでは北緯35°と北緯65°の気圧差で北半球の平均偏西風の強度とみなし、1970年から1990年の平均値からの年々の標準偏差で各年の月ごとの値を捉えた結果を紹介する。
(図2)2月の帯状指数(35−65°N)の標準偏差、1970−1990 (Emmrich 1991)

 この図は2月の例で、冬の1月の場合より明らかに傾向が出ている。すなわち、1986年には極小(マイナスが最大、帯状指数はこの21年間で極小)であったが、1989年には大きなプラスに転じ、1990年には極大(プラスで最大、この21年間で極大)であった。言い換えれば、2月には、偏西風の状態は北半球平均で1989年から急に活発になる場合が起った。もちろん北日本・樺太周辺地域ばかりでなく、北大西洋のアイスランド低気圧・北太平洋のアリュウシャン低気圧の活動地域も含めての話である。尚、他の季節はもちろん、冬でも12月はこのような現象は、明らかでない、つまり、2月という北日本や本州日本海側の冬の季節風が卓越し、豪雪・大雪に見舞われることがある2月だけに明糧という点に注目しなければならない。
 これを地球温暖化の影響と考えるかどうかはまだ検討を必要とする。しかし、1989年以降はそれ以前とかなり状況が変わったことだけは留意の必要がある。

利用すべきか逃れるべきか

 サバイバルの立場からは、異常気象からは逃れるべきで、いかにして予知し、逃れ、被害を最小または最少に食い止めるかである。しかし、よく考えると、『異常』とはどういう状態なのか、定義は明確でない。これは次回の連続エッセイで触れたいが、値の発生回数なのか、大小の値なのか、発生速度なのか 曖昧である。また、その影響はいつもマイナス、つまり『被害』なのか、言い換えれば、『サバイバルの敵』なのであろうか。
 最近、筆者は(図3)に示したような絵をフランスの気象学会誌の表紙に出ているのをたまたま発見した。
(図3)風力エネルギーの歴史――人間は異常気象を乗り越えられるか。
図は1600年、オランダのスケーヴニンゲン海岸でサッソウのモーリス皇太子が27組の風力利用競走車で競技イベントを開催したときの風景(La Meteorologie, 1977の表紙)

 これは今から400年前の風力エネルギー利用によるイベントの絵である。絵で見る限り、[たくさんの乗員・重そうな車体・小さな帆]などで、これで[オランダ海岸の海浜砂地・強くない海風]地域の風力エネルギーを利用できるのだろうか。。。。ということが頭を横切る。
 われわれの行動では[利用する]のと[被害から逃れる]のは全く逆の方向である。また、[サバイバルに立ち向かう]のは[イベントを楽しむ]のとは全く逆の行動方向である。[風力エネルギーは利用すべき]に誰でも異論はない。しかし、次回に述べるように、異常気象の[異常]については、いまだはっきりしていない点が多いのだから、ここに問題がある。
 (図3)を見て、[最近、日本のアチコチの海岸や山の尾根線に、見事な流線形の塔に大きな風車の羽を付けた風車群を見るが、400年後ではなく、100年後の人達が、いま私たちが(図3)を見て感じるような気持ちを持たないだろうか]と直感した。最近でも、[よく調べ、細心で設計し、高い技術で建造した]風車が、[異常な]強風で倒れ、羽が折れ、落雷にやられ、地震で倒れることがある。(図3)の現代版にならないことを心から望む。

[文献]
Emmrich, F. (1991) 92 Jahrs nordhemisphaerischer Zonalindex. Eine Trendbetrachtung. Met. Rdsch. 43, 161-169.
Enz, R. (1993) Natural catastrophes and major loses in 1992. : Insured damage reaches new recorded level. Sigma Re. 2/93, 1-48.
吉野正敏(1994)地球環境の変化と気象災害(第3報)。災害の研究、25、90−99.


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