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生きもの歳時記 万葉の生きものたち


海苔(のり)

 私たちの食卓に欠かせない海苔はビタミン、ミネラル、食物繊維、タウリンなどを豊富に含む非常に体によい食品です。

 ビタミンB1とビタミンCには疲労回復効果が、ビタミンB2には美しい肌、髪、爪を保つ効果があり、口内炎、角膜炎、目の充血を予防します。ビタミンAとビタミンCはタバコに含まれるタールとニコチンを体外へ除去する効果があるとともに、強い抗酸化作用があるため発ガン防止に関係があるといわれています。

 ミネラルには老化防止と美容に効果があります。また、海苔の体の約40%を占める食物繊維には腸の働きを整え美容やダイエットに効果があるだけでなく、コレステロールを体外に排出する働きがあります。さらに海苔にはタウリンが魚介類に匹敵するほど多く含まれています。タウリンには肝臓機能の向上、抗酸化作用、視力調節機能、生体膜安定化作用、インスリンによる糖の膜透過作用向上、胆汁酸の合成促進、胃液分泌抑制作用などの多くの生理機能があります。
養殖場の海苔
養殖場の海苔

 海苔は太古の昔から日本人に慣れ親しまれてきた食材で、最も古い記述は奈良時代の常陸国風土記に「四世紀初め、ヤマトタケルノミコトが霞ヶ浦で海苔を多く干している地をのり浜と名づけた」と記されています。江戸時代に海苔養殖が始まるまでは天然の海苔を採取していたため、海苔は非常に貴重な食材だったようです。伊勢神宮をはじめ、宮中賢所、石清水八幡宮、賀茂神社など多くの神社で神への捧げもの・神饌(しんせん)とされたり、大宝律令(702年)では朝廷への貢物として定められていました。ちなみにその大宝律令の施行開始日である2月6日は「海苔の日」なのだそうですよ。ご存知でしたか?

有明海の養殖場
有明海の養殖場
 海苔が庶民の食べ物となったのは江戸時代に養殖が始まってからです。江戸時代、将軍様に毎日差し上げる魚を飼っていた生簀(いけす)の木材に海苔が付いて増殖したことからヒントを得て、海の中に木の枝を束ねて立てて養殖するようになりました(1700年頃)。養殖といっても、そのころは海苔のタネがどんな形でどこから来るのかわからなかったので自然発生に頼っていました。

 海苔の養殖技術が飛躍的に発展したのは、1949年、イギリスのドリュー婦人が海苔(葉状体)のタネとなる糸状体が貝殻の中で生育していることを発見してからです。ドリュー婦人のこの画期的な発見以降、海苔の一生に関する研究が進み養殖技術は格段に進歩しました。海苔の画期的な発見をしたのが日本人ではなくイギリス人の女性だったことが意外ですね。

 私たちが普段目にする海苔はほとんどが国内産の養殖されたもので、特に有明海に面する佐賀県、福岡県、熊本県で多く養殖されています。そのほか兵庫県、香川県や宮城県でも多く養殖されています。

日本海苔
日本海苔
韓国海苔
韓国海苔

 それでは、そろそろ海苔について詠んだ歌をご紹介しましょう。江戸時代に松尾芭蕉が詠んだ歌です。

(おとろひ)や歯に(くひ)あてし海苔の砂

(松尾芭蕉 をのが光)

普段は意識していない老いを海苔に混じっていた砂粒を噛んで実感してしまった。

 芭蕉が生きていたころにはまだ海苔の養殖が普及していなくて、海苔に砂が混じっていたようです。その砂粒を噛んで歯に痛みが走ったこと(歯周病?)から体の衰えを感じると詠っています。ちょっと悲しい歌です。

(かき)よりは海苔をば老の売もせで

(松尾芭蕉 続虚栗)

重い蛎を担いで売り歩いている老人。そんな重い蛎ではなく軽い海苔を売ればいいものを。

 海苔(のり)は法(のり)に通じる言葉。老人にはなおよいと詠っています。芭蕉自身、世俗を捨て隠居した身であり、海苔よりも蛎を売って歩いている自分への感慨も込めて詠ったと思われます。

海苔汁の手ぎは見せけり浅黄椀

(松尾芭蕉 茶のさうし)

おいしい海苔汁をいただいた。その浅黄の椀の使い方も実に良い手際である。

 浅草に住む門人千里(ちり)のもとへ訪ねたとき、千里がおいしい海苔汁を作って色合いのよい浅黄椀に入れて出してくれたのでお礼に詠んだ歌です。海苔汁は海苔が入ったお味噌汁、浅黄椀は漆椀のことです。さすが、芭蕉はお礼も俳句なのですね。
海苔汁
海苔汁

シャーレにひろげた海苔
シャーレにひろげた海苔
 最後に少し海苔を生物学的に説明します。海苔とは生物分類上、紅藻類のウシケノリ目ウシケノリ科アマノリ属植物(Porphyra sp.)の総称です。海苔を種まで分類同定することは非常に難しいといわれています。それは海苔の一生が複雑で季節によって姿かたちが一定ではないうえ、同定形質が生殖細胞の形やそれが形成される際の細胞分裂の様子などで決定されるため、顕微鏡などを用いて生きている海苔を継続的に観察する必要があるからです。養殖に用いられる海苔は多くのアマノリ属の種のうち、おもにスサビノリという種が使われています。

【余談】
とってもおいしい焼き餅の海苔巻きマーガリン風味
お餅をぷくっとふくれるまで焼きます。砂糖醤油にくぐらせてマーガリンを上にのせ、焼き海苔で  巻いてできあがり。マーガリンがポイント。私が子供のころから食べている家庭の味です。
湿ってしまった海苔を韓国風海苔に
海苔の表面にごま油を塗ってフライパンで炒り、塩をふったらできあがり。

おためしあれ。

■参考文献
大房剛 (2001) 図説 海苔産業の現状と将来 成山堂書店.
能登谷正浩 (2000) 海苔の生物学 成山堂書店.
田中次郎・中村庸夫 (2004) 日本の海藻 基本284 平凡社.
能登谷正浩(2002) 海苔という生き物 成山堂書店.
徳田廣・大野正夫・小河久朗 (1987) 海藻資源養殖学 緑書房.
大野正夫 (2004) 有用海藻誌 内田老鶴圃.

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