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生きもの歳時記 万葉の生きものたち


鴨(かも)

マガモの群れ
マガモの群れ

 冬の風物詩だったカモ類も、繁殖のために北へと移動していく季節です。日本で繁殖するカルガモなどを除くと、広い水面からは一斉にカモの姿が消えてしまいます。

 万葉集の中では、カモ類はあまり細かくは区別されていません。「あぢ(トモエガモ)」、「をし(オシドリ)」、「たかべ(コガモ)」、「あきさ(アイサ類)」などは区別されていましたが、例えば「みかも」は水上にいるカモ、「あしがも」は葦の生えている水辺のカモ、「まがも」、「をがも」はマガモやオナガガモのことではなく、普通のカモ全体の呼称だったようです。実際に細かくカモ類を区別し始めたのは江戸時代からです。

 奈良時代にもカモ類は食用とされていたと思われますが、色形は違えどもオシドリのように目立つ色彩のもの以外は、区別する必要性はなかったのでしょうか。関心がなければ、どんなカモも皆一緒だったのかもしれません。

 万葉集の中では、カモ類はどちらかというと風景の一部のような描写をされている事が多いようです。

たかべ(コガモ)
たかべ(コガモ)

鴨鳥(かもとり)の 遊ぶこの池に 木の葉落ちて 浮きたる心 我が思はなくに

 (丹波大女娘子 万葉集 巻四 七一一 )

鴨が遊んでいるこの池に木の葉が落ちて浮いている、あのような浮ついた気持ちなど私にはありません。

葦辺(あしへ)行く 鴨の羽がひに 霜降りて 寒き(ゆふへ)は 大和(やまと)し思ほゆ

(志貴皇子 万葉集 巻一 六四) 

葦の生えた水辺の鴨の羽に霜が降りているが、こんな寒い夕暮れには大和のことが思われます。

水鳥の 鴨の棲む池の 下樋(したび)なみ いぶせき君を 今日見つるかも

(作者不明 万葉集 巻十一 二七二〇)

鴨の棲む池の排水路が無いように、気持ちを流し去ることができませんでしたが、そんなやるせない気持ちで恋していたあなたに今日お逢いしました。

 カモ類は、ハクチョウ類やガン類よりも小さく、首も短めです。植物質の餌を主に食べるハクチョウ類やガン類に比べて、カモ類は食べる餌の種類が多岐にわたり、水生植物の他に、二枚貝や魚などの水生小動物を食べるものもいます。そしてその捉える餌によって、体の形や仕草も随分と違っています。

 カモ類は、その生活様式から、淡水域に主に生息して水面や浅瀬で餌を食べる淡水ガモと、潜水しながら水生植物や水生小動物をとる海ガモ(潜水ガモ)の2つに大まかに分けられます。この2つのグループは、体のシルエットや行動、仕草の違いなどで区別されます。

オナガガモ(淡水ガモ)
オナガガモ(淡水ガモ)
スズガモ(海ガモ(潜水ガモ))
スズガモ(海ガモ(潜水ガモ))

 淡水ガモは、水面だけでなく水中の小動物や水生植物なども食べますが、その際には尾を水面に突き出して、全身が潜ることはありません。池などでしっぽを突き出し、水中に頭を沈めていることが多く、お馴染みカルガモやマガモなどがこのグループです。淡水ガモは、水面からそのまま垂直に飛び立つことができるのも特徴です。これは狭い池や水路でも餌を取るので、そこから飛び立つ必要があったからかもしれません。

 海ガモは、餌をとる場合には全身が水の中に隠れます。水中に潜って泳ぎやすいように、淡水ガモに比べて脚はお尻の方に寄っており、水かきの面積も広くなっています。そのため、陸上では淡水ガモより歩くのが下手です。餌は水生植物から貝類や魚類などの小動物など幅広く、魚類を食べるものもいます。なお、海だけではなく大きな河川や湖沼など、内水面にも比較的多く見られ、キンクロハジロやホシハジロなどは、海でも見られますが、河川や湖沼で見る事の方が多いでしょう。そして海ガモは淡水ガモと異なり、水面から助走をつけないと飛び立てません。そのため、比較的広い水面がある場所以外ではあまり見かけません。

 
淡水ガモ 
海ガモ(潜水ガモ)
体型の特徴

淡水ガモの体型
背中から尾にかけて水平で尾が上向き

海ガモの体型
背中が丸く尾が下がり気味

脚の位置 横から見て体のほぼ中央 横から見て体の中央より後方
主な餌 水生植物等の植物質、水生小動物など 水生植物等の植物質、水生生物、貝類、魚類など
餌の採り方 水面の餌を採餌するほか、水中には尾を水面に突き出したまま潜る。全身は水中に入らない。 潜水して水底の水生植物や小動物、魚類等を捕らえる。
水面からの飛び立ち 水面から垂直に飛び立つことができる。 水面から助走をしてから飛び立つ。
生息場所 主に河川や湖沼などの内水面に多いが、河口付近や海辺にも見られる。 河口付近や海上など。種類によっては広い河川や湖沼等の方が多い。

 "立つ鳥跡を濁さず"という諺(ことわざ)があります。「立つ」は「旅立つ」の意味で、「濁さず」とあることから旅鳥の水鳥=ガンカモ類を指していると思われます。北へ旅立つ水鳥は跡を濁さずに立ち去る、という意味で使われていたと思われるのですが、実際は少し違うようです。

 冬にカモ類が沢山集まる場所では、大量の給餌が行われている場所があります。そして猟期には、禁猟区や休猟区となっている湖沼や河川に、数多くのカモ類が集まってきます。常に水が流れている河川ではあまり問題になりませんが、湖沼や小さな池などでは、給餌された餌の食べ残しや糞による水質汚濁が指摘されているところもあります。そのため、例えば冬季に大量のガンカモ類が飛来する伊豆沼では、この問題を解決するため、水質浄化も踏まえた給餌専用の池を設けています。

 そもそもカモは、ヒレの付いた脚を動かしながら泳いでいるわけですから、水深の浅い池では泥を巻き上げて結構濁ります。さらに、海ガモは飛び立つときに水面をバタバタと助走しながら波立てますし、カモ類が沢山いた場所の水面をよく見ると、抜け落ちた羽根などが結構沢山浮いています。

 このようにカモ類は、諺のように「跡を濁さず」に旅立つわけではなく、結構濁したまま去っていきます。諺が出来た頃には、この程度の汚れは気にしなかったのかもしれませんし、水辺の浄化能力が今よりもずっと高かったのかもしれません。

【参考文献】
中村登流・中村雅弘 (1995) 原色日本野鳥生態図鑑(水鳥編) 保育社.
菅原浩・柿沢亮三 (1993) 図説日本鳥名由来辞典 柏書房.
日高敏隆ほか (1996) 日本動物大百科 鳥類機(針渕.
佐竹ら校注 (1999) 新日本古典文学大系1 萬葉集一 岩波書店.
佐竹ら校注 (2002) 新日本古典文学大系3 萬葉集三 岩波書店.



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