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生きもの歳時記 沖縄の水辺から


人魚のワイングラス 〜カサノリ〜

 北よりの季節風が強く吹く頃、水際で遊ぶ観光客もほとんどみかけなくなった沖縄の浅い海に、英名で“マーメイドワイングラス(人魚のワイングラス)”と呼ばれる可憐な海藻をみることができます。場所によっては一斉に芽生え、鮮やかな緑が若々しい海藻、カサノリの仲間です。

 カサノリは、奄美諸島から沖縄県の八重山諸島にかけてみられる日本固有種、静穏な海岸や礁池内の珊瑚礫や貝殻等に群生します。4〜6cmの茎と直径1〜1.5cmの傘からなり、和名のごとく和傘にもみえます。少し小型のホソエガサ、こちらは世界中に広く分布し、傘の形はまさにワイングラス。


カサノリ、傘は浅く広い

ホソエガサ、傘はワイングラス状

 冬の海岸を散歩していると、打ち揚げられて真っ白になったドライフラワーのようなカサノリをみかけることがあります。カサノリは、体に炭酸カルシウムの鎧をまとうため、枯死しても石灰化した鎧が残ります。また、カサノリの仲間は、先カンブリア紀(約6億年前)の化石も発見されています。生きた化石としてシーラカンスをしのぐカサノリの生き残りの秘訣、それは、カサノリの類まれなるサバイバル能力に秘密があるそうです。

 カサノリは夏に休眠し、生育に適した冬になると芽を出します。それと同じように、周囲の環境が悪化した場合、珊瑚礫の中に穿孔したカサノリの種は、適した環境になるまで何年間でも眠り続けることができるというのです。実験で、砂の中に1年間以上埋没させた珊瑚礫を良好な環境に露出させると、一斉に発芽する様子が観察できました。おそらく自然界では、もっともっと長期間の休眠に耐えることができると思われます。カサノリは、このように巧みな生き残り戦略によって、長い生物進化の歴史の中を生き永らえてきたと考えられます。

カサノリの群生、珊瑚礫を覆って生育する

 もう一つ、カサノリで有名なこと。それは単細胞生物であることです。傘の部分から茎の部分、根(仮根)の部分までが一つの細胞で、仮根の中にある一つの細胞核は直径0.1mmで生物の細胞としては巨大なものなのです。また、細胞の再生能力も高く、古くから細胞遺伝学の実験材料として利用されてきました。

 こうみると、カサノリはとても粘り強い生物のように感じますが、見た目の可憐さのようにデリケートな生物でもあり、穏やかで清澄な海にしか現れません。そのような海は、近年の開発行為や赤土の堆積等による環境の悪化によって年々減少しています。沖縄県のレッドデータではカサノリは準絶滅危惧、ホソエガサは絶滅危惧砧爐縫薀鵐されています。カサノリの生き残り戦略も、生育地そのものの消失には負けてしまいます。生きた化石を生きたままで将来に引き継いでいきたいものです。

カサノリの群生地、これほどの群生は ごく
限られた場所でしかみることができない


■参考文献
・ 吉田忠生,1998 新日本海藻誌 日本産海藻類総覧,内田老鶴圃,1222pp.
・ 沖縄県,2006 改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(菌類編・植物編)―レッドデータおきなわ―,510pp.
・ 石川依久子,1990 多核藻体の胞子形成−胞子形成から生きている化石の謎を考える−,月刊海洋 Vol.22,No.12:711‐716.
・ 香村眞徳,2004 カサノリとはどのような海藻か,沖縄県環境科学センター報 第5号:10-24.


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