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連載エッセイ [26]
健康天気ことわざ
福岡義隆

 

 

燕が早く飛来する年は病気がはやりやすい

 

 

 気象官署が1953年以来実施してきた生物季節観測というのがある。日本全国に分布し一律に観測しうる「規定種目」と、地域特性などから各地の気象台が独自に選んだ「選択種目」を観測している。サクラの開花やカエデの紅葉など生活に身近な生物に着目するので人びとの季節感に訴える手軽な指標である。そのような植物ばかりではなく鳥の渡り日とか昆虫の初見日などもある。長年の観測結果を見ると、例年に比べ開花が早くなったり、渡りが遅いなどを経験する。冒頭の諺は燕が平年よりかなり早く飛来してくるような年の夏の気温が異常に高温になって、感染症や食中毒のような病気が流行しやすいとされる。要するに、春の訪れが早く暖かい年は夏も高温となることが多いということである。

 

 梅雨季を初夏とすれば、高温高湿という条件下で食べ物が黴(バイキン)によりいたみやすくなり食中毒が増える。梅雨(つゆ)を「バイウ」と読ませるのもその辺の事情からである。つゆの雨を旧暦の五月の雨ということで「五月雨」ともいうのは、芭蕉の俳句、「五月雨や集めて早し最上川」でよく知られているが、健康ことわざの「五月雨は腹の中まで腐らせる」というのはあまり知られていない。お腹の中まで腐るというのは大げさな表現であるが、蒸し暑さが酷いと病原菌も異常に繁殖することもあることの注意を促した諺である。

 

 梅雨時の温暖前線型の停滞前線が通過するとき頭痛を訴える人が少なくない。昔からお婆ちゃんの知恵として知られていることに、頭痛を和らげるのに梅干をコメカミあたりに塗り込むと言いといわれる。このことにヒントを得たであろう手話に「梅雨」表現がある。まず「梅」を意味する動作を親指と人差し指および中指を合わせてくちびるに当ててからコメカミへもっていく。そのあと、普通の「雨」の表現を示すという一連の動作が手話の「梅雨」になるようである(図参照)。昨今の通勤電車の中で他人への迷惑を考えず大声ではしゃぐ女子高生や留学生の騒々しさに頭が痛くなるが、手話で話せばどんなにか静かになることであろうかと、手話の国際語開発が望まれる。 要するに諺としても、「頭痛にはこめかみに梅干しを貼るとよい」と言われている。

 

 ところで、なぜ梅雨前線や低気圧が近づくと頭痛が酷くなるのであろうか。低気圧で雨や曇りのときは、副交感神経が優位になり気分がしずむ。しょんぼり気分は低気圧による空気の薄さが引き起こすとされている。

 

 梅雨期間には、上記のように頭痛するほどに気がふさがるようで、そのような時、欝気味で心身ともに不調な明智光秀が大事なお客の接待役を織田信長に命じられた。そのためか食材にも梅雨の為いたんだものを出したという不具合が生じて、食中毒を招くはめになってしまった。その結果、多くの重臣や家来の面前でこっぴどく信長に叱られ辱めを受けたことも「本能寺の変」へと駆り立てた原因の一つとされるという、健康気象学的歴史観もあってよさそうである。

 

文献:

西谷裕子: 『暮らしの健康ことわざ辞典』 (東京堂出版、2009)



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