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お天気豆知識
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終戦と台風
 
 “楽しみにしていた遠足や運動会が雨で中止になった”とか、“旅行に行ったけれど台風で交通機関が麻痺して大変だった”という経験は、少なからず持っていることでしょう。お天気は人間が決めたスケジュールに合わせて変化してくれず、自然の都合しだいなのでなかなかうまくいきませんね。


(図1)終戦後最初に上陸した台風の経路図
 昭和20年8月15日、太平洋戦争は終わりましたが、戦災で日本は各地で大変なことになっていました。お天気の方で少しは手加減してくれるかと思うと、そのようなことはありませんでした。終戦後の最初の台風(図1)は、豆台風でしたが終戦の日の約1週間後、ラジオで天気予報が再開された翌日の8月23日未明に房総半島に上陸して関東地方を北西方向に通過しています。気象観測は空襲で破壊されていない気象官署で行われていました。しかし、海上の観測は皆無です。現在でも海上の気象観測は航行中の船の観測が頼りですが、当時は航行する船舶はほとんどありませんでした。さらに通信回線も完全に復旧しておらず、離島からの情報は入ってきませんでした。このため、台風が接近していることがわからず、まさに不意打ちだったようです。

(図2)枕崎台風の経路図
 
終戦の月の翌月の9月には大きな台風が西日本を通過しています。柳田邦夫著「空白の天気図」の元になっている枕崎台風です。枕崎台風は9月11日頃にマリアナ付近で発生し、17日の朝、奄美大島の名瀬付近を通過し、17日14時に九州南部に上陸しました。その後、豊後水道、周防灘を経て瀬戸内海に入って広島県を通り、18日2時頃に豊岡付近から日本海に出ました。東北地方北部を通って18日の午後には太平洋側に抜けています(図2)。
 台風が上陸した九州南部にある枕崎測候所では最低気圧687.5弌916.6hPa)で、当時としては第1室戸台風のときに室戸で観測された684弌911.9hPa)に次ぐ記録でした。しかも690弌別920hPa)以下の気圧が20分以上も続き、最大風速は40m/sで瞬間最大風速は62.7m/sでした。枕崎台風はいかに強烈な台風だったかがわかります。しかし、通信回線が復旧していなかったため、これらの観測データは中央気象台や他の地域に伝わっていません。観測データを送れなかったのは枕崎だけではなく、その当時の天気図(図3)からわかるように、台風の進行につれて観測記録が送れなかった地域が広がっています。

(図3)枕崎台風通過時の天気図 (気象庁提供)
(表1)枕崎台風による西日本の死傷者・行方不明者 (気象要覧による)
府県名 死者 傷者 行方不明
鹿児島 104 268 25 397
宮崎 82 119 0 201
佐賀 58 30 43 131
大分 32 68 1 101
福岡 79 61 8 148
長崎 16   2 18
熊本 1     1
愛媛 159 328 23  
徳島 44 18 3 65
香川 13 19 0 32
高知 11 9 6 26
山口 424 283 274 981
岡山 79 16 48 143
島根 79 76 15 170
鳥取 6 4 4 14
広島 1229 1054 783 3066
兵庫 19 63 46 128
京都 7 3 1 11
大阪 3     3
和歌山 5 5   10
全国 2473 2452 1283 6208

 今では様々な高さの天気図が東京の気象庁で作られ、それらや防災上の注意点は各気象台に送られています。当時も天気図は中央気象台(現気象庁)で作成され、各気象台には天気図の概要や防災上の情報も送られていました。広島の気象台の職員は中央気象台からの情報や広島の観測データで台風の接近はわかっており、防災に対する情報も出されています。しかし、広島は通信網や報道機関の機能も完全に復旧してなく、この台風に対する防災情報は一般市民に伝わっていませんでした。
 広島県では土石流や河川の氾濫で広島市や呉市周辺で被害がひどく、大野村(現在廿日市市大野町)では丸石川で大規模な土石流が発生して原爆にあった市民を治療していた大野陸軍病院を直撃し、180名近くの人が亡くなりました。広島市内でも市内を流れる太田川が氾濫し、原爆の被災地を水浸しにしました。月ごとの気象や地震のことが書かれた気象要覧(中央気象台発行)には、「近畿以西の各地で甚大な被害があった」とあります。(表1)は枕崎台風による西日本の府県ごとの死傷者・行方不明者数です。広島県では枕崎台風による死傷者・行方不明者数が3,066人と他府県に比べて遥かに多く、全国合計の被害者数の半分を占めています。

 現在では、気象衛星やレーダーにより、時々刻々台風の動きをつかむことができ、通信網も整備されました。防災情報はテレビやラジオでも伝えられ、1つの台風で死者・行方不明者が数百人になることはありません。携帯電話やインターネットでもそれらの情報や台風の動きを見ることができます。改めて防災情報の重要性やありがたさ、平和のありがたさを感じます。

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