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お天気豆知識 (臨時掲載 2015.06.09)
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峰の頂を覆った雲(フェーン雲・風枕?)
 
 今年(2015年)の元旦は冬型の気圧配置となり気圧の谷が通過したため、関東地方での沿岸部を中心に日中は雪やみぞれが降り、うっすらと雪化粧された地域もありました。私は、埼玉の実家で元旦を迎え、家族で富士山を見に行こうと車で河口湖に向かいました。圏央道から八王子ジャンクションを経て河口湖に向かいましたが、八王子ジャンクションの手前から大月ジャンクション付近までは、小雪が降る中を走るようになりました。河口湖大橋の脇の駐車場に車を止め、橋の上から富士山の写真を撮るつもりでしたが、あいにくと富士山は雲に覆われて見ることができませんでした。しかし、河口湖インターを降りて少し走ると、河口湖の北側に連なる山々の頂が(写真1)のように雲に覆われていて、滝雲が出ているのかなと思いました。

(写真1)河口湖町役場付近から(2015年1月1日13時17分)
 (写真2)は河口湖大橋の上から撮影した写真を合成したもので、(写真3)はその一部です。この日の河口湖は北寄りの風が強く、湖面は波立って風花が舞っていました。これらの雲を目にした時は滝雲と思っていましたが、「山と雲、富士山と雲」で取り上げた滝雲のように、山の斜面にへばりつくような雲ではありません。(写真3)では谷間が白っぽくなっていますが、雲が斜面にへばりつくようになっているのではなく、降る雪のためと考えました。

(写真2)河口湖大橋から見た河口湖北側の峰を覆う雲(2015年1月1日13時30分頃)

(写真3)河口湖大橋から北西方向(2015年1月1日13時30分頃)

 その後、河口湖町の西隣の鳴沢村にある「なるさわ道の駅」に向かい、一休みして来た道を戻り、河口湖インターから埼玉の実家に戻りました。午後3時過ぎに河口湖インターを通過しましたが、これらの雲の確認を怠ってしまいました。
 後日、知り合いの横浜国立大学准教授(気象学)にこれらの写真をお送りしたところ、「広戸風(岡山県の局地風)が吹く時の雲に似ている」と指摘を受けました。また、当社バイオウエザーサービスのコラム、「異常気象時代のサバイバル」を執筆されている、吉野正敏先生(筑波大学名誉教授)にこの写真をお見せしたところ、フェーン雲、日本で言う風枕に似ていると指摘を受け、「風下の雲がどうなっているか見たかったな。風が強いと条件がそろえば、このような雲は出るのかな。」と言われました。この雲を見た時、山岳波動と関係する雲という認識がなかったので、風下方向の雲まで意識していませんでした。広戸風が吹く時や六甲おろしが吹く時に風下にロール状の雲が発生することが報告されています(佐藤謙,1988、横田寛・中島肇,1992)。
 これらの指摘を受け、視点を変えてあれこれ探してみると、津山市のホームページに掲載されている、広戸風が吹くときに那岐連山の頂を覆う雲(風枕)に似ていました。また、アドリア海沿岸で「ボラ」と呼ばれる強い風が吹く時に、クロアチアとボスニア・ヘツェゴビナやスロベニア国境の山々の頂を覆う雲と似ていました(M.Yosino,1976;他)。
 河口湖のすぐ近くにはアメダスがあります。(図1)はアメダス河口湖の2015年1月1日の10分アメダスの風向と風速です。

(図1)アメダス河口湖の風向と風速(2015年1月1日)
折れ線グラフは風速、矢印は風が吹いていく方向を表す。
折れ線グラフが風速で、矢印が風向です。矢印の方向は風が吹いていく方向を表しています。つまり、矢印の反対の向きが風向になります。日中の状況に注目すると、13時から15時過ぎに北寄りの風が強まっていることがわかります。山を越えた気流が山腹・山麓に吹き下りる現象を「おろし風」と呼んでいて、時には被害を伴う強風を発生させることがあります(斉藤和雄,1994;他)。広戸風はその例です。冬型の気圧配置のため、関東甲信は北寄りの風が吹きやすい状態でした。河口湖周辺で1日の午後に吹いた風の強まりは「おろし風」と似た現象だったのかもしれません。今回の風速は10m/s以下ですから、被害を発生させるようなことはありません。
 おろし風が吹きやすい地形の特徴として、斜面は風上側で緩やかで風下側で急になっていて、風下側に湾や湖が存在している場合も多いと言われています(吉野正敏,1986)。図は省略しますが、今回の雲が掛った峰の北側、つまり風上側は徐々に高度が低くなっています。一連の写真からわかるように、風下側は傾斜が急で麓には河口湖があります。更に吉野先生は同じ書物で、おろし風が吹く時に、(写真1)から(写真3)のような雲が山頂を覆うと、風下の斜面上部では雨や雪がパラパラと降る場合があるとしています。
 これらのことから、一連の写真の雲は、「風枕」あるいは「フェーン雲」と同じ種類の雲であると考えました。吉野先生のご指摘のように、条件がそろえば各地でこのような形状の雲が現れているのかもしれません。


<参考文献>
Masatoshi Yoshino 他,1976:Local Wind Bora,University of Tokyo Press,289pp.
斉藤和雄,1994:山越え気流について(おろし風を中心として),天気,41,731−750.
佐藤 謙,1988:広戸風(岡山県の局地風)に伴うロール雲,天気,35,497−499.
横田寛・中島肇,1992:六甲おろしに伴う風下側のロール雲,天気,39,469−471.
吉野正敏,1986:新版小気候,地人書館,298pp.

(アメダスデータは気象庁提供)
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