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カレースパイスの薬効

カレー発祥の地であるインドでは、カレーは家庭の味。地域や家庭によって、その時の作る料理の主材料によって、好みのスパイスをブレンドしてカレーパウダーを作ります。カレーパウダーには10〜30種類のスパイスが使われますが、基本となる代表的なスパイスは、黄色の色を出すターメリック(うこん)、辛みを出すチリ(唐辛子)やペッパー(黒こしょう)、香りを出すコリアンダーやクミンでしょう。
カレーに使われるスパイスには、共通して発汗、健胃、抗酸化作用があります。発汗作用で新陳代謝を高め、食欲を増進させ、胃腸の働きを高め、疲労を回復するなどの効能を持っています。また殺菌作用も高く、食べ物の腐敗を防ぐ効果も持っています。
カレーパウダーに含まれる代表的なスパイスを紹介しましょう。

主なカレースパイス

 ●着色性スパイス

ターメリック(うこん) カレー粉の主原料で黄色の色付けに使われ、カレーには欠かせないショウガ科の多年草。豊富に含まれるクルクミンが胆汁の分泌を促して肝機能障害を予防するので、肝機能が強化される。鎮痛、抗酸化作用、殺菌効果があり、皮膚炎の殺菌作用も認められている。漢方では止血効果があるとされている。
油によく溶ける性質があり、サフランの代用としても利用され、日本ではたくあん漬けにも使われている。スリランカでは布の染色にも利用されている。

 ●辛み性スパイス

チリ(唐辛子) 脂肪を燃やして発汗作用を促すカプサイシンを含むためダイエットに効果があるといわれるスパイス。カレーの辛さを決める重要なスパイスで、量が多いほど辛くなる。唾液や胃液の分泌を促進して消化を高め、食欲増進、抗酸化作用、老化防止などの効能も期待できる。末梢神経を拡張して血行をよくするため、アルコールエキスは神経痛などの温湿布にも利用され、靴下の中に入れてしもやけや凍傷の予防にも使われる。刺激が強いので大量に摂取すると胃や腸の粘膜が炎症を起こすことがあるので要注意。
数千種ともいわれる品種があり、同品種では温暖な気候で育つほど辛みが強い。
ジンジャー 清涼感のある香りとさわやかな辛みを持つショウガ科の多年草。乾燥させると香りは弱くなる。他のスパイスと一緒にカレーの風味付けに利用され、肉や魚の臭い消しや味つけにも使われる。発汗、健胃、止嘔、体を温める効能がある。日本では昔から風邪の予防にショウガ湯が飲まれていた。
ペッパー(胡椒) さわやかな香りと強い辛みを持つコショウ科のつる性植物で、加工方法により分類され、代表的なものとしてブラックペッパーとホワイトペッパーがある。ブラックペッパーは色付く直前の未熟な実をそのまま天日乾燥させて作り、ホワイトペッパーは完熟して赤くなった実を水に浸して発酵させ、果皮を取り除いて天日乾燥させて作る。風味はブラックペッパーの方が強い。カレーの主要なスパイスで、健胃、腸内ガスの排出、食欲増進、強精などの効果がある。漢方では発汗や感染症に用いられる。辛みの主成分はチャビシンやピペリンで、精製時に辛みを失うので、粒のまま購入し使うたびに挽くとよい。

 ●芳香性スパイス

コリアンダー 葉や茎に特有の臭気を持ち、秋に同じような臭気を持つ白こしょうに似た実をつけるセリ科の一年・二年草。この臭気は熟すにつれてレモンの皮とセージを合わせたような香りをかもし出す。消化を助けるため胃薬として利用され、食欲増進作用もある。鎮痛、血液浄化、発汗作用があり、かゆみ止めにも応用される。生葉はスープの浮き実に利用される。
クミン 古代ギリシャ・ローマ時代から栽培されていたセリ科の一年草で、原産は地中海沿岸地方。カレーの主要なスパイスで、種子はキャラウェイに似た香りと辛みを持つ。辛み成分はクミナール。消化促進や解毒作用があり、下痢や腹痛の治療薬、胃腸内にガス溜まるのを予防する、肝機能を高めるなどの効能がある。
フェンネル 草全体に独特の甘い香りを持つセリ科の多年草。種子から抽出されるういきょう油はリキュールや健胃剤などに利用される。鎮痛、循環促進などの薬効があり、インドでは食後の口臭を消すために口に含んで噛む習慣がある。
クローブ 和名は丁子(チョウジ)。バニラに似た香りを持ち、効能が多く漢方薬として重宝されているフトモモ科の常緑樹。成分のオイゲノールには抗酸化作用があり、老化防止に効果が高い。消化機能の促進、体を温める、健胃、整腸などの効能を持つ。歯痛にも応用され、ガラムマサラには欠かせないスパイスのひとつ。肉の臭い消しとして肉料理によく利用される。
カルダモン インド・マレーシア半島が原産地で、樟脳(ナフタリン)に似た特有の芳香を持つ。含有するシネオールは防腐作用が高く、強壮効果や消臭効果も期待できる。インドでは食後にカルダモンの粒を噛み、香りのデザートとして利用している。コーヒーや紅茶の香り付けにも多用される。
オールスパイス 和名は「百味胡椒(ひゃくみこしょう)」。西インド諸島や中南米に自生するフトモモ科のスパイスで、外見はコショウに似ているが辛みはなく、ニッケイ・クローブ・ナツメグの香りが混ざり合ったような香りを持っている。成分のオイゲノールには消化機能の促進や消炎などの効能があり、防腐や抗菌作用にも優れている。甘い料理にも辛い料理にもよく合い、北欧料理のニシン漬けに欠かせないスパイス。精油は神経痛や食欲増進剤、香りがポプリなどにも利用される。
ナツメグ 消臭効果があるためひき肉料理に利用されることが多く、マイルドな香りを持つニクズク科の常緑樹。原産はモルッカ諸島で、アンズに似た黄色い果実をつける。腸にガスが溜まるのを防ぎ、下痢や腹痛、健胃などに効能がある。食欲改善や不眠症にも効果があり、使う直前に挽くと香りが立つ。一度に大量に使用すると麻痺や嘔吐などの症状が出ることがあるので注意が必要。適量は肉1キロに対してナツメグ0.2gといわれている。
シナモン スリランカ特産の上品な香りと甘みを持つクスノキ科の常緑樹。芳香成分はケイヒアルデヒド、オイゲノールなどで、カレーにもよく使われるスパイス。漢方では「桂皮(けいひ)」「肉桂(にっき)」と呼ばれ、発汗、解熱、鎮痛、健胃、抗菌効果があるとされ利用される。
ガーリック 刺激的な香りを持つユリ科の多年草で、古くから世界中で使用され、カレーでは全体の風味付けとして、また葉や茎は香味野菜として利用される。疲労回復、強壮、健胃、整腸などの効能がある。
チンピ(陳皮) ミカンやダイダイなどのかんきつ類の皮を乾燥させたスパイスで、日本ではカレー粉の原料として、また七味とうがらしにも使われる。健胃、止嘔、去痰などの効能がある。
ベイリーフ
(月桂樹・ローリエ)
すがすがしい上品な香りを持つクスノキ科の常緑樹で、葉を乾燥させてスパイスとして使用する。健胃、整腸、神経痛などの効能があり、虫除けにも利用される。