
黄砂が日本列島にやってくるのはおおよそ一月の下旬から四月上旬頃である。主として中国の高度地帯あたりで上空に舞い上げられた砂粒が、偏西風に乗って日本にやってくる際、中国の内陸の工場地帯や臨海港工業地帯から排出された酸性物質が、黄砂の微粒子に付着して運ばれるものが少なくないようである。長距離輸送の過程で雪だるま式に酸性物質を取り込んでくるので、黄砂そのもののアルカリ性を凌ぐ酸性になって日本に降下すると考えられている。酸性雨のことを中国語で酸雨といい、植物生育障害は招くが、人体への被害としてはロンドンのスモッグ事件で呼吸器系に支障を招いた。
なお、酷い黄砂日は視界が悪くなり交通マヒをおこしたり、中国本土では気管支系疾患を招くという。