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バイオウェザー川柳

No.7

2012年10月

福岡義隆

子宝の寝顔見い見い砧哉  バイオウェザー川柳ならぬバイオウェザー俳句として一茶の句を選んだのは、秋もさかり朝夕はかなり冷えつつあるころの親心に感動したからである。文政二年(一八一九年)の秋に一茶は長女を亡くし悲嘆にくれていたころの翌秋にこの句を詠っているのである。砧(きぬた)というのは木槌で布を打って柔らかくして、寝ているかわいい子供に着せてあげようという母心を表現しているのである。砧打ちで布の汚れや皺をとるという面では現代風に言えば電気アイロンかけであるが、母親の手の温もりが感じられる昔の省エネ道具でもある。汚れだけでなくハウスダストなどにはびこる家ダニなどを熱で駆除する上ではアイロンに軍配を上げらざるを得ない。
水飲むが如く柿食う酔のあと  虚子句集の十月十日の部にこの句が紹介されていた。秋の美味しい果物として柿を詠んだのではなく、身体の要求から無心に食べている、食べ始めたら水を飲むように食べてる様が見えるようであるという。もちろん水気が豊富であり甘みもあってどんどん食べて酔い醒ましになるのであろうか。  確かに柿は赤くなるほど身体によく「柿が赤くなるころ医者は青くなる」という健康諺もある。まさに医者要らずの果物ということであろう。古くから、柿の実は悪酔いに効くといわれ、悪酔いの原因となっているアセトアルデヒドの増加を抑えるようである。 「虚子に学ぶ俳句365日」(週刊俳句編、草思社)
秋刀魚が出ると按摩がひっ込む  秋口に入り、サンマが店頭を賑わすと按摩の仕事がなくなる、すなはち秋には病人が少ないという喩えのようである。確かに喘息を除けば他の季節に比べ病気は少ない。サンマの脂質は老化を防ぐとされ、まさに秋の長寿食の一つとして昔から重宝されてきた。  サンマは北太平洋やオホーツク海などに生息する回遊魚で、水温により秋の気配を感じて南下し始める。江戸っ子はハンジョ(半塩)のサンマと呼び、淡塩がほどよくなじみ、炭火で焼いてあつあつのうちに大根おろし(解毒酵素)で美味しく食べる健康食である。大気・海洋の変動で後退しつつあるのが口惜しい。
左遷地で美味い空気に癒される  転勤は四月ばかりではない。十月に入って近くの団地に止めてある車のプレートに、他県ナンバーが目につく。栄転の基準を職場の格やポストが上がることとする風習はなくしたいものだ。むしろ、美味しい空気や水、緑豊かな環境への転勤こそ恵まれたものと拍手を送りたい。自然が豊かということは地価が安く、転勤に伴いマイホームを求める人も少なくない。たとえば平地の少ない瀬戸内地方は埋め立てが多いので、想定外の地震や台風による液状化などの可能性があるので、よほど慎重にしなければ、安心して住めない。「分譲地断層ないというチラシ」には要注意である。

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