異常気象を追う
吉野正敏先生による連載エッセイ
はじめに
連載エッセイ『異常気象を追う』シリーズを立ち上げることになった。以前には『風を歩く』シリーズを連載し、幸いにもたくさんの方々に読んでいただき励ましの言葉や、質問・要望などを送っていただいた。ほぼ、1年間の休みを経て、この3月から、最近よく耳にする「異常気象」をテーマとして、隔週のペースで連載していきたい。
「異常気象」は昔からあったが、災害と同じく、受ける側の状況によって、その内容や程度が変わってくる。つい最近、3月14日にアメリカ合衆国南部のジョージア州アトランタで発生した竜巻は非常に強い風を吹かせ大きな被害をもたらした。しかし、もしアトランタの市街でなかったら被害はこれほど大きくならず、また、気象台もなく何の観測もされていなかったら、この「異常気象」の報告すらなかったかも知れない。そこでこのシリーズでは、まず「異常気象とは何か」を考えたうえで、個々の気象現象について、なるべく多くの実例やデータを交えながら追ってみたい。 (2008年3月17日 吉野 正敏)
吉野正敏
1928年生まれ。東京文理科大学地学科地理学専攻。
現在、筑波大学名誉教授、国連大学上席学術顧問、いであ株式会社顧問。理学博士。
元日本地理学会会長、日本沙漠学会会長、元気象影響利用研究会会長、バイオクリマ研究会会長。