
アジサイ(紫陽花)は梅雨の花ということは季語にもなっている程に知られている。牧野富太郎さんは白楽天の詩に出てくる紫陽花はまったく別の山に咲く木の花と言うが、筆者としては俗名的なものとして親しんでいきたい。ともあれ紫陽花が咲くころに梅雨が始まり、紫陽花が枯れるころには梅雨も明けることは明治以来の気象庁の植物季節観測で明らかである。梅雨前線は停滞しているようには見えるが、西方から低気圧が東進してくる過程で、温暖前線の通過時と寒冷前線通過後に発症しやすい病気にはいろいろある。冒頭の川柳作者自身が今年と去年とで患った病いが違うことを「あじさいが違う痛みもつ」と擬人化させている。「あじさいのため息を聞く女寺」(庄司登美子)もアジがある句である。