
昨今の新築戸建では縁側は非常に稀になったが、吉田兼好(徒然草)いわく日本の家は夏をもって旨とするとも言われるように、南側に縁側があって暑さをいったん和らげてから風を取り込むので、意外に涼しい。特に夏の座敷は縁側が涼しいのである。一方、鰈(かれい)は縁(ふち)部分の軟骨が美味しいらしい。魚にはコラーゲンという物質が含まれていて、煮るとこの物質が溶け出してきてゼラチンにかわる。鰈の煮こごりが固まるのはゼラチンのせいで、煮こごりの美味さをいっそう引き立ててくれる.。
縁側は日当たりも良く寝そべってよく本を読んだりしたものであるが、「日向で本を読むと目が悪くなる」という諺は、日差しが強すぎるからだけではなく、寝そべる行儀の悪さもたしなめている諺でもある。