アイコン紫外線
についてUltraviolet Rays

紫外線(ultraviolet rays)ってなに

「紫外線」ネーミングの由来をご存知ですか?

太陽光線と紫外線太陽光線は、波長の種類からガンマ線、X線、紫外線、可視光線、赤外線の5つに分けられます。紫外線とは目に見える可視光線よりも波長の短い光線で、約400~数ナノメートル(10憶分の1メートル)です。目には見えません。可視光線をプリズムで分解すると、紫から赤に分解します(虹を思い出してください)。
紫外線は、この波長の短い方の「紫色の光の外側に位置する光線」ということからそう名付けられました。逆に、波長の長い方に位置している赤色の光の外側は、おなじみの赤外線です。

紫外線の種類

特徴別に学ぶ
紫外線が及ぼす日常生活への影響

紫外線の種類紫外線は、A紫外線、B紫外線、C紫外線の3つに分けられます。これらの光線は、地表に届く前に地球を取り囲んでいるオゾン層などに吸収されます。しかし、吸収される割合は種類によって異なります。C紫外線(「殺菌光線」とも呼ばれる)はオゾン層にほとんど吸収されて地表には届きませんが、A紫外線とB紫外線の一部は吸収されずに地表に届きます。下表に各紫外線の特徴を示しました。昨今、オゾン量の減少が全地球的に確認されており、地表に到達する紫外線量の増加にともなって、皮膚ガンや白内障の増加、農作物への悪影響などが懸念されています。

表 A紫外線とB紫外線の特徴
紫外線の種類 A紫外線(UVA) B紫外線(UVB)
波長 320~400nm 290~320nm
地表への到達度 オゾン層にほとんど吸収されず地表に到達 オゾン層に一部は吸収されるが残りは地表に到達
皮膚への影響
(図参照)
急激な変化は起こさせないが、皮膚の奥(真皮)まで届き、「シワやたるみ」の原因となる 皮膚の奥までは到達しないが、肌への影響が強く、「シミやソバカス」の原因となる。皮膚ガンの原因にもなるといわれている
日焼けの種類 1次黒化→2次黒化
日に当たったところがすぐに黒くなり(1次黒化)、その後新たにメラニン色素が作られて色素が沈着する(2次黒化)
赤く炎症→2次黒化
日にあたったところが赤くなり、炎症がひいたのち、メラニン色素が作られて色素が沈着する(2次黒化)
日常生活での注意 雲を通過するので雨や曇っている日でも注意。また、ガラスも通過するので屋内にも届く。日常的に注意が必要。 主に屋外でのレジャーやスポーツで注意が必要。ガラスには一部吸収される。

(nm:10億分の1メートル)

紫外線量の変化

時間と季節を利用して紫外線と上手に付き合う方法!

地球に降り注ぐ紫外線の量は、1日の中で変化しています。午前11時~12時頃が最も強く、午前10時~午後2時頃までの間に1日の紫外線量の半分以上が降り注ぎます。この時間帯に、紫外線を多く浴びてしまいそうな時には、日焼け止めを塗ったりしてしっかりガードしましょう。
また、紫外線は年中降り注いでいますが、時期により強さに違いがあります。これは、簡単にいうと、太陽と地球の間の距離と太陽高度が年間を通じて変化したり、紫外線を吸収するオゾンの量が時期により異なるためです。
一般的には太陽高度が次第に高くなりはじめる4月頃から紫外線は強くなります。6月頃が最も強いですが、この時期日本では多くの地域で梅雨入りするため、地表に到達する紫外線量は減少します。したがって、梅雨入り前の5月頃が日本では紫外線量が最も多くなります。
しかし、梅雨のない北海道や梅雨が本州よりも早く終わってしまう沖縄地方は注意が必要です。また、6月に梅雨入りする地域でも、梅雨の合間のたまたま晴れた日には、非常に強い紫外線が降り注いでいるため、気を抜かずに注意が必要です。
太陽高度が低くなる時期(秋~冬)は紫外線は弱く、降り注ぐ量も少なくなります。

紫外線の反射率

知っていますか?スキー場や海水浴場ではとっても反射しています

スキーや海水浴に行ったときは、普段と比べてよく日焼けしますね。これは、普段以上に反射された紫外線を浴びていることが大きな原因です。また、標高が高くなればなるほど紫外線も強くなりますので、山の場合はさらに影響が大きくなります。
雪や砂は、アスファルトやコンクリートなどと比べてより多くの紫外線を反射します。特に雪の反射率はずばぬけて高く90%程度といわれており、太陽に背を向けていても反射で下から紫外線を浴び、日焼けしてしまいます。

紫外線の反射率

紫外線を防ぐ効果が高い素材と色

ファッションから考える紫外線対策

紫外線を防ぐためには、日焼け止めクリームを塗ったり帽子をかぶるのが効果的ですが、普段着ている衣類にも注意することで、より紫外線を防ぐことができます。紫外線を防ぐためにはどのような素材でできた衣類がよいのでしょうか。以下の点に注目してみましょう。

表 紫外線防止のための衣類の選び方
生地の厚さ 厚いほうがよい。
うすい素材よりも厚手の素材の方が、紫外線の透過率は低い。
生地の種類 ビニロン、羊毛、ポリエステルがよい。
シルク、ナイロン、レーヨンや麻は紫外線の透過率が高い。
生地の色 黒っぽい色がよい。
白っぽい色より黒っぽい色の方が、紫外線の透過率は低い。

肌触りや吸湿性なども考えますと、コットン(綿)とポリエステル混の衣類などもよいですし、最近では紫外線カットをうたった商品もありますのでお店で探してみてはいかがでしょうか。

SPFとPA

「SPF値」と「PA分類」正しく理解し、賢いUVケアを!

化粧品にはよく「SPF」、「PA」といった表示がみられます。SPFは数値で、PAは「+」マークで表示してあります。これらの意味をきちんと理解して、紫外線予防に役立てましょう。

SPF(Sun Protection Factor:サン・プロテクション・ファクターの略)
主に、B紫外線からの日焼け防止効果を示す数値です。何も塗らない素肌は20分程度で日焼けし始めます。SPFはこの値を基準にしています。日焼け止めを塗った場合、基準と同じように日焼けするのにどれくらい時間がかかるのかということを示しています。
例えば、SPF30というのは、「20分×30倍」で約600分(10時間)日焼けするのを防ぐことができるという意味です。しかし、紫外線への感受性は個人差があり、使用する環境もさまざまですので、必ずしもこのとおりということではありません。一つの目安として考えましょう。
なお、SPFの測定法は1999年に改訂され、2000年1月以降に発売された商品のSPF値は、新しい計算方法によるものです。その方法では、24時間後に素肌が日焼けをおこすのに必要な紫外線量を基準としています。例えばSPF10というのは、ある日焼け止めを塗ったとき、基準に対して10倍の紫外線量をあてたときに24時間後に肌が赤くなるということを示しています。
以前はSPFの算出方法はメーカーにより違いがあったため数値にばらつきがありましたが、新基準ではSPFの上限は「50+」とされています。
賢いUVケアに、選べる日やけ止めキスミーサンキラー
PA(Protection Grade of UVA:プロテクション・グレイド・オブ・UVA の略)
主に、A紫外線からの日焼け防止効果を示す指標です。1996年に基準が設定されました。A紫外線の照射により2~4時間後に肌が黒くなるのに必要な紫外線量を基準にしています。次ぎの3段階で表示されています。
  • PA+:UVA 防止効果がある(基準の2~3倍の紫外線量で肌が黒くなる)
  • PA++:UVA 防止効果がかなりある(基準の4~7倍の紫外線量で肌が黒くなる)
  • PA+++:UVA 防止効果が非常にある(基準の8倍以上の紫外線量で肌が黒くなる)

紫外線を浴びると身体はどうなる?
(シミ・シワ)

なぜ怖い?紫外線のお肌への影響、コラーゲンやエラスチンまで…

紫外線を浴びると、身体の中では具体的にどのようなことが起こるのでしょうか。以前は、紫外線はビタミンDを作り、骨を丈夫にする良い働きがあるといわれていましたが、現在では食べ物から簡単に摂取できます。紫外線は、浴びることによる悪影響の方が大きいので、ビタミンDを作るためだけに紫外線を浴びるのはよくありません。1998年の母子手帳からも日光浴という言葉がなくなりました。
紫外線の具体的な身体への影響には、以下のようなものがあります。

シミやソバカスができる
紫外線が肌にあたると、皮膚の中のメラノサイトという細胞がメラニン色素を作ります。メラニン色素は紫外線を吸収して肌を守ろうとします。しかし、何らかの異常が発生して色素を作りすぎるとなかなか消えず、シミやソバカスの原因になります。
シワができる
シワがないというのは肌に弾力があるということを示しています。肌の弾力にはコラーゲン繊維が関係しているのはご存じの方が多いと思います。その他にもエラスチンという弾力繊維が関係しています。
これらの繊維は肌の奥の真皮にありますが、紫外線があたることによりコラーゲン繊維はブチブチ切られてしまい、エラスチンも変質します。歳をとるとこれらの繊維の修復が追いつかなくなり、繊維が切れたまま取り残されてシワになるといわれています。

紫外線を浴びると身体はどうなる?(皮膚ガン)

「油断大敵」大切な遺伝子までを損傷する紫外線の恐怖

シミやシワ以外に、紫外線の具体的な身体への影響には、以下のようなものがあります。

DNAが傷つき、皮膚ガンになる場合がある
紫外線は活性酸素(身体を老化させる原因の一つだともいわれている)を細胞内に発生させ、細胞組織を傷つけます。また、DNA(デオキシリボ核酸の略で遺伝子のもと)に損傷を与えます。
通常これらの傷は修復されますが、かなり強い紫外線を浴びてあまりにも損傷が大きいと修復できずに自爆したり(これが皮がむけるという状態)、修復しきれなかったDNAの一部はそのまま残ってしまいます。こういったことが長年つづくと皮膚ガンになる場合があります。
特に10歳までの子供の場合は、成長のため細胞分裂が盛んに行われています。そのようなときに多くの紫外線を浴びてDNAが傷つくと、修復する時に間違った修復が行われてしまう可能性が高くなります。
免疫機能を低下させる
表皮には外部からの異物の侵入を感知し、攻撃するための重要な細胞が集まっています。紫外線を浴びるとこれらの細胞の機能がうまく働かなくなり、免疫機能が低下する場合があります。そのため、海水浴などで全身を焼いてしまった後は、抵抗力が落ちてしまいます。
眼にダメージを与える
紫外線は皮膚の細胞を傷つけますが、同じように眼も長時間紫外線を浴びると炎症を起こします。特に白内障の原因になるともいわれています。UVカット処理されたサングラスなどで目を守りましょう。なお、UVカット処理が施されていない黒いだけのサングラスは目の瞳孔が開き、逆により多くの紫外線が目に入ってきますので注意しましょう。

紫外線の予防対策

食事からも予防できる!賢い紫外線予防術

日焼けを防いだり、紫外線によって荒れた肌を回復させるには、以下のようなことを心がけましょう。

  • ・紫外線の強い時間帯(午前10時~午後2時)はできるだけ外出をひかえる。
  • ・紫外線(特にA紫外線)は窓ガラスを通過するので室内でも注意する。
  • ・自分に合った日焼け止めを塗る。
  • ・保湿効果のあるローションなどを使用する。
  • ・衣類は紫外線をカットする効果の高いもの(厚手で黒っぽい色)を着用し、露出部分を少なくする。
  • ・外出するときは帽子(ひさしが大きいものがよい)をかぶる。
  • ・UVカット処理が施されたサングラス(フレームが大きい方がよい)をかける。
  • ・戸外ではできるだけ日陰を利用する。

また、食事による予防対策としては、ビタミン(C、E、B2)やコラーゲンを摂ることが挙げられます。ビタミンCは肌が黒くなる原因であるメラニンの生成を抑え、またできてしまったメラニンを薄くするといわれています。さらに、コラーゲン繊維の修復にも効果があるといわれています。多く含む食品はレモン、イチゴ、オレンジ、カキなどの果実、ホウレンソウ、ピーマン、ブロッコリー、イモ類などがあります。
ビタミンEやB2は、メラニン色素の沈着に関係している過酸化脂質を低下させる働きがあります。ビタミンE は落花生、大豆油、アンコウ、タラコなど、ビタミンB2は乳製品、牛・豚レバー、カツオ、海藻、大豆などに多く含まれています。
コラーゲンは皮膚の真皮を構成する重要な要素であり、減少すると肌にシワができる原因となるので、豚足、手羽、レバー、肉や魚の骨・皮・すじ・腱などのコラーゲンが多く含まれている食品を摂取しましょう。

紫外線予報について

毎日チェック!予報と対策を正しく理解し、紫外線との上手なお付き合いを!

紫外線は浴びることによる悪影響が大きいため、現在では浴びることを積極的に避けなければいけないというのが常識です。
バイオウェザーサービスでは、世界保健機関(WHO)、世界気象機関(WMO)、国連環境計画(UNEP)及び国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)によって考案された、紫外線強度を世界に周知するための国際的な指数を、紫外線予報として提供しています。
紫外線量は、波長別に観測されており、一般的にはこれを利用しやすい形に変換する必要があります。観測された波長毎の紫外線量は、人体への影響度を加味した(重み付けした)UVB輻射量に換算します。換算は、国際照明委員会(CIE)が定義したものを用いています。換算されたUVB輻射量は、紫外線指数(UVIndex)に変換されます。
さらにこの紫外線指数(UVIndex)を一般の人に分かりやすいように、紫外線予報として日焼けが生じる時間に換算するわけです。実際に紫外線量を予測する場合は、予測オゾン量、太陽天頂角、地球・太陽間の補正距離、光学空気質量などから算出し、UVB輻射量に換算した後、紫外線指数(UVIndex)に変換しています。

紫外線予報凡例

アイコン
非常に強い
日焼けまでの平均時間は15分以内です。
外出はなるべく避けましょう。特に午前10時から午後2時の間は、大量の紫外線を浴びる可能性が高いので注意が必要です。日焼け止めクリームは塗り直すようにし、衣類も紫外線をカットする効果の高い濃い色や厚手のものを選ぶなど工夫しましょう。また、帽子やサングラスを利用するなど、外出する場合はできるだけ紫外線対策をしましょう。
アイコン
まあまあ強い
日焼けまでの平均時間は20分前後です。
日焼け止めクリームは塗り直すようにし、衣類も濃い色、厚手のものを選ぶなど工夫しましょう。紫外線カット効果のあるリップクリームやサングラス、日傘や帽子を積極的に利用しましょう。ドライブには紫外線カットシートを窓に貼るのが効果的です。
アイコン
普通
日焼けまでの平均時間は30分前後です。
日焼け止めを塗り、肌の露出を少なくしましょう。紫外線は比較的少ないですが油断は禁物です。日焼けしやすい方は日焼け止めクリームやサングラス、日傘や帽子を利用しましょう。
アイコン
弱い
日焼けまでの平均時間は1時間以上です。
通常生活では極端に大量の紫外線を浴びる心配はありませんが、気になる方は外出時に日焼け止めクリームを塗ったり、帽子をかぶるなどちょっとした紫外線対策を心がけましょう。