お天気アロマテラピー
お天気香るコラム
Vol.50
2014.03.10
~蟄虫啓戸・桃始笑・菜虫化蝶~
『蟄虫啓戸・桃始笑・菜虫化蝶』な季節
今はまさに、『啓蟄』の節気。“蟄”は「かくれる」こと、つまりは、冬を越すために穴に籠ること。“啓”は「ひらく」こと、いわゆる、その冬籠りしていた穴の扉をひらくこと。冬に包まっていた分厚い布団の中で、生き物たちがゆっくりと目を開き、うごうごと動き始め、地上に飛び出す支度を整える時間。今、大地のお腹の中では、目覚し時計のベルが、そこら中で鳴り響いているのです。
七十二候で覗いてみれば…、次々と勢いよく開かれる扉の音に、膨らむ陽気と、はためく活気が満ちていく「蟄虫啓戸<すごもりむしとをひらく>」の時。
桃の幼気で可愛らしい微笑みが、ほんのりと咲き灯り始める「桃始笑<ももはじめてさく>」の時。
冬の間、じっと閉じこもっていた、小さなサナギ小屋の戸を開き、柔らかく透き通った白い羽を、日差しのスポットライトに立てたなら、春の華やかな舞台でしなやかに踊り始める「菜虫化蝶<なむしちょうとなる>」の時。
鮮やかな絵具で描く春。心弾ませる音符で奏でる春。湧き立つ映像で綴る春。生き物たちが様々に咲かせる、春の“ゲイジュツ”祭がそろそろ開幕を迎えます。そんな“ケイチツ”な季節です。
屋根裏の片隅で、引越しの荷物を丸めだすテントウムシたち
切り株のベッドで、二度寝の誘惑に刺されるハチたち
お日様のぬくもりに、いだかれて目覚める時
落葉の布団で、前髪の寝ぐせを跳ね上げるカエルたち
石垣の隙間で、寝ぼけたひとり言をくねらせるヘビたち
お日様のひかりに、つつかれて目覚める時
住み慣れたほら穴で、二つ目のあくびを唸らせるクマたち
潜り込んだこたつで、お別れの言葉を切り出すヒトたち
お日様のかほりに、くすぐられて目覚める時
全ての生き物へ、平等に降り注ぐ春
『蟄虫啓戸・桃始笑・菜虫化蝶』な季節のアロマテラピー
春の息吹をようやく実感できるようになってきた近頃ですが、実は暦上ではもう春のど真ん中。“仲春”の時を迎えます。そんな春のメインストリートを、頻繁に渡り歩くようになるのが、流行語にもなった爆弾低気圧です。一般的に爆弾低気圧は、10月~5月頃にかけての幅広い期間で発生しますが、特に、まだ勢力が衰えない冷たく乾いた大陸性気団と、元気を増してきた暖かく湿った海洋性気団が激しく衝突する、この2月~3月頃にかけて、最も多く発生するといっていいでしょう。
爆弾低気圧は大嵐をもたらし、多様な自然災害を引き起こすことはもちろん、様々な健康被害をも運んでくることは、以前にもご紹介しましたが、その中で少し意外で忘れがちなのが、爆弾低気圧が原因で発生するフェーン現象による災害とそれに伴う健康被害です。フェーン現象は山を越えて吹き降りる風が、気温の急上昇や異常乾燥などを引き起こすことで知られていますが、このフェーン現象が発生すると、過度な興奮、苛立ち、フラストレーション、不眠、集中力低下、食欲減退、倦怠感、頭痛、吐き気、肌荒れ、呼吸器系炎症などの不調が現れるともいわれます。
今回は、そんなフェーン現象発生時における、主に精神的不調をケアするアロマをご紹介します。
乾いて逆立つ心と空気を丸くする、春のアロマボウル
[使用材料]
・ボウル<耐熱性> 1つ
・ドライローズ<小> 適量
・精油 3滴以下<プチグレン1滴・フランキンセンス1滴>
プチグレン
(^-^)…ほのかなシトラスの雰囲気を漂わせながらも、グリーンが主張する香り。高ぶった気持ちをゆったりと慰め、鎮静化させてくれる精油。ネロリと同じビターオレンジの木から得られる。
フランキンセンス
(^-^)…柔らかい温もりが心の奥にまで染みわたる、神秘的な樹脂系の香り。かき乱されて、散らかってしまった心のパーツを拾い集め、元通りに修復して安定化させてくれるような精油。
[作成手順]
① 耐熱性のガラスボウルなどに熱めのお湯を張り、そこに精油を垂らす。
② お好みでドライローズの花びらなどを散らして、視覚的に演出してもよい。
③ 蒸気とともに立ち上る香りでリラックス。香りが弱まったら、精油ではなく熱い湯を注ぎ足す。
[使用上の注意]
・基本的に、妊婦・授乳婦・子ども・皮膚炎(敏感肌含む)・高血圧・癲癇・腎臓疾患・肝臓疾患・心臓疾患・アレルギー・喘息・高齢者などの方は、精油の使用には十分な注意が必要である。事前に確認し、場合によっては使用を控えること。
・色や香りの染みつき、汚れには十分注意すること。
・精油原液が肌に付かないように注意すること。(万が一ついた場合は、大量の水で洗い流す。)
・異常を感じた時は即使用を中止すること。(必要であれば医師の診察を受ける。)
・適度な換気を心掛けること。
・アロマテラピーは自己責任の原則で行うこと。
2014.03.10 掲載