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お天気アロマテラピー

春の記事一覧

続・お天気香るコラム

Vol.26

2015.03.27

~春の“雨”景 編~

~ 春の“雨”景 編 ~ 春雨 ばなし

春の雨と書いて春雨(はるさめ)と呼んだりしますが、皆さんはこの雨をどのような雨としてイメージされるでしょうか。一般的には、しとしとと風景を濡らし、ほんのりと暖かさを香らせ始める、細くてしなやかな雨を春雨というようです。寒さで固まっていた心を優しく濡らし、ゆっくりと静かに解かしてくれる、そんな雨とも言えるのではないでしょうか。この時季の雨は、長雨になりやすいといった特徴があります。菜の花が咲く頃に降り続く春の長雨ということから、菜種梅雨(なたなづゆ)と呼ばれたりします。また、菜花雨(さいかう)、催花雨(さいかう)、春霖(しゅんりん)と呼ばれることもあります。
菜種梅雨は、3月から4月頃にかけて起こりがちな、冬から春へと移行する際に降らせる長雨です。少しずつ弱まる冬の高気圧の張り出しや移動性高気圧の通り道が北へ偏ることによって発生する、冷たく湿った北東からの空気の流れが、太平洋上の高気圧の強まりによって勢力を増す、春の暖かく湿った空気の流れとぶつかって、日本列島の南岸に前線を停滞させます。よって、この停滞前線の影響は、東日本から西日本の太平洋側で見受けられることが多いのが特徴です。
菜種梅雨のように、いわゆる“梅雨”と呼ばれるような現象は、季節の変わり目に発生する、つまりは行く季節と来る季節との隙間に形成される、停滞前線による長雨のことを言います。季節の境界線の長雨、季節をまたぐ長雨とも言えるでしょう。冬と春の空気がぶつかり合う境目で降らせる長雨を菜種梅雨というほか、春と夏の空気のぶつかり合う境目で降らせる長雨を梅雨、夏と秋の空気のぶつかり合う境目で降らせる長雨を秋雨、秋と冬の空気のぶつかり合う境目で降らせる長雨を山茶花梅雨(さざんかづゆ)というように、季節の隙間にはそれぞれに季節の名前を背負った長雨が存在するのです。

「春雨」ことば

◎甘雨(かんう)<慈雨(じう)・雨沢(うたく)・沢雨(たくうう)・膏雨(こうう)・瑞雨(ずいう)・恵雨(けいう)>
…緩み始めた草木のまぶたを優しく濡らし、静かな目覚めを促してくれる春の雨。春を待ちわびる全てのものに降り注ぎ、柔らかな潤いで包んでくれる恵みの雨。
◎花雨(かう)<華雨(かう)・桜雨(おうう・さくらあめ)>
…春の日を“謳歌”する花たちに注がれる、しなやかな春の雨。春の日に噴き出した“桜花”を濡らす、しっとりとした春の雨。
◎花の夕立(はなのゆうだち)
…桜の“花咲き”乱れる季節へ、不意に落とされる夕立。花の“鼻先”からしたたり落ちる夕滴が優美。
◎杏花雨(きょうかう)
…杏の花の朗らかな笑顔が咲く頃に降り注ぐ、緩やかな春の雨。
◎糸雨(いとあめ・しう・いとさめ)<糸の雨(いとのあめ)>
…天空から細やかに垂れ下がる、華奢で淑やかな雨。
◎毛雨(けあめ)
…柔らかな毛足で優しく撫でてくれるほどに、繊細で奥ゆかしい雨。
◎軽雨(けいう)
…春の日を遠慮がちに濡らす、控え目で淡い細雨。
◎紅雨(こうう)
…紅を引くような艶やかな花たちに注がれる春の雨。もしくは、その花たちが散る様。また、花粉などを飲み込んで色がついたように見える雨。
◎木芽雨(このめあめ)
…木の芽を大きく膨らませるために、春のエネルギーを注入する雨。
◎暖雨(だんう)
…凍えていた生き物たちの心身をゆっくりと解かしてゆく、春の暖かな雨。
◎春時雨(はるしぐれ)<春の時雨(はるのしぐれ)・春驟雨(はるしゅうう)・春夕立(はるゆううだち)>
…無防備な柔らかい春の日をめがけて、時に激しく投げつけられる雨玉。大気の状態が不安定になりがちな春先に降るにわか雨。

「春雨」なウェザーアロマ

菜種梅雨を始めとした季節の変わり目に“梅雨”をもたらす様々な前線は、それぞれに性質の違う季節の空気がせめぎ合う場でもあります。よって、季節が行ったり来たりするため、気温などの大きな変動を伴い、身体は大きなダメージを受けることになります。さらに、3月から4月にかけてのこの季節においては新生活をスタートさせる人も多く、これまでの生活環境ががらりと変わる時季とも重なるため、想像以上に精神的にも大きな負担がかかり、ストレスを溜めてしまいがちです。
このような状態が続くことで自律神経のバランスを崩してしまうと、同時にホルモンのバランスも崩してしまい、免疫力が落ちて体調不良を引き起こしがちになります。特に季節の変わり目においては、日頃から心身に目を向け、早めにケアすることを心がけることが大切です。
季節のボーダーラインである前線が横たわりがちなこの時季。日々の心身のケアに役立てていただきたいウェザーアロマレシピを1つご紹介しましょう。ちょうど「続・お天気アロマコラム」も最終回を向かえ、区切りの時季。新たなシーズンの始まり、新たなステージへの旅立ちという意味も含めまして、心身ともに前向きに力強く飛び立てるような“エナジー系”の精油ブレンドを、感謝の気持ちを込めてプレゼントさせていただきたいと思います。

季節の変わり目の強い味方!“エナジー系”アロマスチーム吸入

[使用材料] 
・洗面器 1つ
・精油 1~3滴<ユーカリ1滴・ライム1滴>

ユーカリ
(^-^)…心身にかかった霧を一気に吹き飛ばしてくれるような、スッキリと澄みわたるミント似の香り。免疫力を高めて抵抗力をアップさせると同時に、優れた殺菌力で力強く守ってくれる精油。また、散らかりがちの心を整理して、ストレスを和らげてくれるような働きもあり。
ライム
(^-^)…ちら見せするオシャレな苦みがグッとくる、キレのあるフレッシュシトラスの香り。疲れて弛みがちな心身をキュッと引き締め、元気を取り戻してくれる精油。さらに、高い殺菌能力でしっかりとバリアを張り、外敵から私たちを守ってくれる。
[作成手順]
① 洗面器に熱い湯を張り、そこに精油を垂らす。
② 蒸気とともに立ち上る精油の香りを吸い込む。※バスタオルなどを被ると湯気が逃げない。
③ 香りが弱くなったら、精油ではなく熱湯を注ぎ足す。
※少し刺激の強い香りになるため、勢いよく吸い込まないように注意する。
[使用上の注意]
・基本的に、妊婦・授乳婦・子ども・皮膚炎(敏感肌含む)・高血圧・癲癇・腎臓疾患・肝臓疾患・心臓疾患・アレルギー・喘息・高齢者などの方は、精油の使用には十分な注意が必要である。事前に確認し、場合によっては使用を控える。
・精油は目や口に入れないこと。
・精油原液が肌に付かないように注意すること。(万が一ついた場合は、大量の水で洗い流す。)
・目は閉じて行うこと。
・喘息や咳がみられる場合は行わないこと。
・刺激がないか確認しながら、慎重に行うこと。
・適度な換気を心掛け、長時間使用も控えること。
・色や香りの染みつき、汚れや変質にも注意すること。容器などは専用のものを用意するとよい。
・異常を感じた時は即使用を中止すること。(必要であれば医師の診察を受ける。)
・お湯で火傷をしないように気をつけること。火気にも注意すること。
・アロマテラピーは自己責任の原則で行うこと。

シリーズ最終回にあたり

長きに亘りまして「続・お天気香るコラム~季節の“香・空・雲・風・雨・雪”景編~」にお付き合いいただき、誠に有難うございました。お陰をもちまして、この度、無事に最終回を向かえることが出来ました。
空が浮かべる豊かな面持ち、植物がかもし出す芳しき香り、季節が織りなす眩い彩りをちょっぴり身近に感じていただき、日々の暮らしの中でホッとできる瞬間を、ほんの少しでも演出することができたなら幸いです。また、お天気と心身との繋がりや香りと心身との繋がり、そして自然と私たち(人間)との繋がりを実感していただく中で、自然の必要性や自然と共生していく意味などを考えるきっかけになっていただけたなら、本当に嬉しく思います。
今後とも「ウェザーアロマ」を、日々の生活の片隅にさりげなく置いていただけると光栄です。
改めまして、これまで温かく見守ってくださった皆さまに、深く感謝申し上げます。


2015.03.27掲載

続・お天気香るコラム

Vol.25

2015.03.13

~四季の“風”景 編~

~ 四季の“風”景 編 ~ 四季「風」ばなし

四季の風景に強く吹き付ける風で思い起こすのは、やはり夏の風景に浮かぶ台風の大風や、いわゆるゲリラ雷雨時の突風や竜巻、そして、秋の風景を北から駆け降りる、頬をつねるような冷たい木枯し、さらには、冬の西高東低の風景を渡る、身を切るような冷えた北風といったところでしょうか。実は、春も思いのほか風が強まる時季だったりします。「春風」などと聞くと、穏やかに優しく頬を撫でる春の風をイメージしたりもしますが、南から勢いよく突き上げる、「春一番」と呼ばれるパワフルな暖風もあるように、春は油断すると強い風に足元をすくわれがちな季節なのです。
普段皆さんがよく耳にされていても、実は知っているようで知られていないのが、風の強さに関する用語です。例えば、「風速」、「最大風速」、「瞬間風速」、「最大瞬間風速」といった語句の実態です。一般的に、風速とは“10分間の平均風速”、最大風速とは“10分間の平均風速の最大値”、瞬間風速とは“0.25秒間隔で測定される値を3秒間平均した値”、最大瞬間風速とは“瞬間風速の最大値”と定められており、秒速(m/s)で表しています。
また、風の強さを「やや強い風」、「強い風」、「非常に強い風」、「猛烈な風」などと表現しますが、これにも実は基準があります。基本的には、やや強い風を“風速10m/s以上15m/s未満”、強い風を“15m/s以上20m/s未満”、非常に強い風は“風速20m/s以上30m/s未満”、猛烈な風を“30m/s以上(または最大瞬間風速で50m/s以上)”としています。
ちなみに、台風の「強風域」とは“台風周辺で平均風速が15m/s以上の風が吹いている、もしくは吹く可能性がある領域”、「暴風域」とは“台風周辺で平均風速25m/s以上の風が吹いている、もしくは吹く可能性がある領域”を示しています。
季節を吹き抜けていく風の強さ一つとっても、実はちょっぴり奥が深いのです。

四字「風」熟語

◎順風満帆(じゅんぷうまんぱん)
…大きな帆で目一杯に風を掴みとり、船が意気揚々と進み行くさま。頼もしい追い風を背中に受けて、力強く快調に前進すること。
◎馬耳東風(ばじとうふう)
…外から吹きつける厳しい意見や批判の向かい風にも、我関せずと気に留めないこと。春風の訪れに人が春を愛でるのに対して、馬は春風が耳を撫でても無関心であることから。「馬の耳に念仏」、「馬の耳に風」。
◎疾風勁草(しっぷうけいそう)
…その人の根本に潜んでいる真の強さは、真の厳しさにさらされてこそ浮き彫りになるということ。荒れ狂う激風に巻きつかれることによって、初めてどれが生命力に満ちた力強い草かが分かることから。
◎風光明媚(ふうこうめいび)
…目の前に落とされる自然のパノラマに、清らかな優美さが見られること。「風光」は風景、光景。「明媚」は優雅に美しくたたずむさま。
◎風林火山(ふうりんかざん)
それぞれの状況を見極めながら打ち出される対処法。軍を有効に動かすために掲げられた4つのポリシーから。「はやきこと風の如く、しずかなること林の如く、しんりゃくすること火の如く、うごかざること山の如し」の略語。
◎風声鶴唳(ふうせいかくれい)
…風の細い口笛や鶴の細い鳴声にさえ怯えて震えるように、どんな些細なことでも怖がって、足がすくんでしまうこと。
◎花鳥風月(かちょうふうげつ)
…季節の移ろいの中で、自然が浮かべる様々な美しい表情。四季が織りなす、自然の風雅な景色。風流な様子。
◎台風一過(たいふういっか)
…台風が空を丸洗いしていったかのように、澄みわたる青空が一面に広がること。
◎秋風索寞(しゅう ふうさくばく)
…色を失くし始めた心を、秋風がヒュルリとすり抜けて、次第に寂しさが膨らみ、心が萎んでいくようなさま。上向きの矢印が下向きへと変わり、ちょっぴり寂寥感(セキリョウカン)が漂う様子。
◎春風駘蕩(しゅんぷうたいとう)
…春風がフワフワと緩やかに泳ぐ様子。温かくて丸みのある空気感を漂わせるさま。

四季「風」なウェザーアロマ

強風が吹くような日には、やはり呼吸器系の不調が気になります。冬は冷たく乾燥した北よりの強風、「からっ風」が吹き降ろすことによって、呼吸器系に悪影響を与えることがあります。その上、インフルエンザを始めとしたウィルスが生存しやすい環境を作ってしまうことで、状況はさらに悪化してしまうのです。
ようやく、インフルエンザウィルスなどの猛威から解放される春になっても、発達しながら日本付近を通過していく低気圧に向かって駆け上る南風、「春一番」が気温や気圧、湿度の急変をもたらすため、呼吸器系へ悪影響を与え、加えて空気中にスギ花粉や砂塵、ハウスダストなどを巻き上げることで、さらなる炎症を起こしてしまうこともあります。
そして、夏になって「台風」がやって来るようになれば、大風が連れてくる気温や湿度、気圧などの大きな変化によって、呼吸器系の不調を誘発しやすくなるともいわれます。
また、秋も春と同様に日本付近を低気圧が発達しながら通過していくことが多く、駆け下る乾燥した北よりの強風、「木枯らし」によって気温や気圧、湿度が急変しやすく、さらにブタクサ花粉やダニの死骸、砂塵などを撒き散らかすため、呼吸器系の炎症を一層悪化させてしまうことになりかねません。
これまでお話してきたように、残念ながら呼吸器系へ不調を及ぼす強風は、一年を通じて吹いてくるといったわけです。よって、私たちはそれぞれの季節において、強風が吹くと予報された時には、さらなる呼吸器系へのケアを意識し、対応をとることが必要になります。今回はそんな強風の日に引き起こされがちな、呼吸器系の不調にアプローチするための、ウェザーアロマをご紹介しましょう。

呼吸器系と心のイガイガを鎮める、スパークリングバスパウダー

[使用材料1回分] 
・天然塩(乾いたパウダータイプ) 30g
・重曹 30g
・クエン酸 10g
・精油 5滴以下 <ラベンダー2滴・フランキンセンス3滴>
ラベンダー
(^-^)…柔らかで落ち着いたフローラルの香りが、身体の奥にまで穏やかに染み渡り、呼吸器系の炎症や痛みまでも緩和してくれる精油。
フランキンセンス
(^-^)…深く心の底にまで潜り込んでいくような、安心感のある樹脂系の香り。優しい温もりで包み込みながら、咳などの呼吸器系の不調を鎮静化させてくれる精油。
[作成手順]
① ボウルに天然塩・重曹・クエン酸を入れ、スプーンなどでよく混ぜ合わせる。
② 精油を垂らし、さらによくかき混ぜる。
③ 浴槽に入れたら、よく撹拌させてから入浴する。
※蒸気とともに立ち上る精油成分を鼻から吸い込むことで、呼吸器系の不調を緩和する。(ただし、喘息や咳などがみられる場合は、症状を誘発する恐れがあるため、蒸気吸入は行わないこと。)
[使用上の注意]
・基本的に、妊婦・授乳婦・子ども・皮膚炎(敏感肌含む)・高血圧・癲癇・腎臓疾患・肝臓疾患・心臓疾患・アレルギー・喘息・高齢者などの方は、精油の使用には十分な注意が必要である。事前に確認し、場合によっては使用を控える。
・適度な換気を心掛け、長時間の使用は控える。
・精油原液が肌に付かないように注意する。(万が一ついた場合は、大量の水で洗い流す。)
・バスパウダーはよく溶かしてから入浴する。
・喘息や咳などがみられる場合は行わない。
・精油は目や口に入れない。・お湯で火傷をしないように注意する。
・水分補給を心がける。
・異常を感じた時は即使用を中止し、流水でよく洗い流す。(必要であれば医師の診察を受ける。)
・浴槽などへの使用について問題はないか、念のため取扱い説明書などで確認しておく。
・浴室内における床などへの精油の使用について、変質などの恐れがある場合は行わない。
・光毒性の成分が精油に含有される場合、使用後は直射日光などの紫外線に当たらない。
・火気に注意する・色や香りの染みつき、汚れや変質などには十分注意する。
・創傷部位、炎症部位などへは使用しない。
・体調がすぐれず、香りに敏感な時は使用を控える。
・あらかじめパッチテストする。
・アロマテラピーは自己責任の原則で行うこと。

2015.03.13掲載

続・お天気香るコラム

Vol.24

2015.02.28

~四季の“雨雪”景 編~

~ 四季の“雨雪”景 編 ~ 四季「雨雪」ばなし

 空に描かれる雪と雨との交差点。暦の上でも「雨水」(2月19日~3月6日)のころ。次第に雪が雨へと姿を変え、春のシルエットがすりガラスの向こう側にゆっくりと浮かび上がるころ。緩やかに取り戻される温もりが、私たちを優しい気持ちにさせる季節です。ただし、解け始めるのは私たちの心だけではありません。同時に、冬を白く染めていた座雪たちも少しずつ解けていくのです。
すると、心配になってくるのは雪解けの季節の災害です。雪崩や融雪洪水などがその代表的なものとして挙げられます。雪解けの水が大量に河川に流れ込んで洪水を引き起こす「融雪洪水」は、4月ころを中心に大きな被害が見られますが、「雪崩」による被害はこれからが本番です。
雪崩は分類すると、大きく2つの雪崩に分けることができます。一つは、溶けずに残った古い雪の層の上に新たな雪が降り積もり、その新しい雪の層のみが勢いよく滑り落ちるといった雪崩、いわゆる「表層雪崩」、もう一つは、降り積もった雪の層が雪解けに伴い、新旧の両層がいっぺんに滑り落ちるといった雪崩、つまり「全層雪崩」です。これまでの季節はまだまだ降雪量も多く、特に表層なだれに注意する必要がありましたが、これからの時季は、時おり強く吹き込む南風などによる気温の上昇や、雪でなく雨が降る機会が多くなることから、全層雪崩への警戒もしなければならないわけです。
ちなみに、太平洋側や南国にお住まいの方にはあまり馴染みがないと思いますが、雪崩による災害のおそれがある場合には、気象庁より「なだれ注意報」が発表されます。さらに、融雪による災害の恐れがある場合には、「融雪注意報」が発表されます。気象庁では、実は16種類にも及ぶ様々な注意報を発表しているのです。

四字「雨雪」熟語

◎櫛風沐雨(しっぷうもくう)
…厳しい風にさらされたあげく、強い雨に打たれるような辛労を繰り返すこと。風の櫛で髪をとかし、雨のシャワーで髪を洗うという意味から。
◎旱天慈雨(かんてんじう)
…喉から手が出るほど欲しかった救いの手。カンカン照りでカラカラになった大地に落とされる、涙が出るほどに嬉しい天の涙。待ちに待った恵みの雨。
◎雨過天晴(うかてんせい)
…泣きたくなるような状況が好転し、晴れやかな笑顔が戻ること。垂れこめる黒い雨雲が裂け始め、次第に明るい晴れ間が広がること。
◎晴耕雨読(せいこううどく)
…自然の流れに任せて、緩やかな時を味わいながら人生を楽しむこと。晴れた日には屋外で畑を耕しながら汗を流し、雨の日には屋内で本を読みながら涙を流すような穏やかな暮らし。
◎密雲不雨(みつうんふう)
…前兆があるのにもかかわらず、いまだ物事が生じない状態。今にもアメを落としそうな雲が舌を伸ばしてきているのに、なかなか落ちてこない空。降りそうで降らない意地悪な空。
◎和風細雨(わふうさいう)
…柔らかく撫でる和風のように、そして、さりげなく濡らす細雨のように、人に物事を忠言する際には、和やかで細やかな姿勢を持って向かい合うべきということ。
◎雨露霜雪(うろそうせつ)
…様々な姿に変身して降ってくる滴のように、色々と降りかかってくる人生の障害。また、空が見せる多様な表情。
◎雪月風花(せつげつふうか)
…移ろいゆく季節が織りなす、心揺さぶられる自然風景。また、その感動を詩などに乗せて興じること。
◎雪裏清香(せつりせいこう)
…未だ華やかさが眠る静かな雪の下で、ひっそりと清らかな香りを咲かせる花。つまり、梅の花のこと。ちなみに、梅の別名としては「春告草」や「香雪」、「好文木」や「百花魁」などなど多数。
◎蛍雪之功(けいせつのこう)
…薄暗い蛍の光や窓の雪の灯りで勉学に勤しみ手にした、努力の賜物。

四季「雨雪」なウェザーアロマ

ドスンと座り込んでなかなか動こうとしなかった寒気の親玉が、ようやく重たい腰を上げると、凍りついていた空も少しずつ融けて、ゆっくりと流れ始めます。すると、日本付近には高気圧と低気圧が“どんぶらこ、どんぶらこ”と交互に流れてくるようになります。そんな低気圧が発達しながら接近する際には、ちょくちょく南風が“ひゅるりんこ、ひゅるりんこ”と勢いよく吹き込みます。そうなると、待ちに待った本格的な雪どけの季節を向かえるのです。
ただし、油断は禁物。南からの暖かく湿った風の流入は大雨をもたらすことがあります。また、温かな南風の後には、冷たい北風が不敵な笑みを浮かべて待ち構えています。低気圧通過後の寒気の流入により、逆に大雪をもたらすこともあるのです。まさに、“雨雪”表裏一体の空といったところです。
さて「雪どけ」という言葉には、文字通り、冬の寒さが緩んで積雪が融け始めるといった意味がありますが、皆さまもご存じのように、もう一つ、緊迫した対立関係が緩和するというような意味もあります。対峙する張りつめた緊張感によるストレスで、キリキリと疲労してしまった心。ここでは、そんな筋張った心を、雪どけへと向かわせてくれるアロマをご提案させていただきます。

心の結び目をほどく、雪どけアロマキャンドル

[使用材料] 
・ミツロウ(精製<白色>) 100g
・キャンドル用糸芯 1本  ・キャンドル型(紙コップなど) 1個
・精油20滴以下 <フランキンセンス9滴・ジャスミン6滴>
フランキンセンス
(^-^)…ゆったりと漂う霞に優しく抱かれるような、お香に似た香り。追い詰められて膨れ上がる恐怖心を、穏やかに解き放ってくれるような精油。
ジャスミン
(^-^)…甘くて濃厚な華やかさの中にも、落ち着きを感じられるフローラルの香り。毛羽立った心のささくれを削ぎ落とし、しっとりとした丸みをつけてくれるような精油。
※好みが分かれる香りであり、高濃度で使用すると頭痛や吐き気をもよおすこともあるので注意。
[作成手順]
① ミツロウをビーカーに入れ、湯煎にかけ完全に溶かす。
<春色のクレヨン(自然原料)を少量削り入れて着色すると、雪どけの季節を演出できる。>
② 割り箸で糸芯を挟み、型に固定したら、溶けたミツロウを流し込む。
③ 粗熱をとり、周囲が少し白濁してきたら精油を加え、すべて固まったら型から外す。
※ キャンドルの揺らぐ炎や、春の温もりある色彩も、心を優しく解きほぐす手助けをしてくれる。
[使用上の注意]
・基本的に、妊婦・授乳婦・子ども・皮膚炎(敏感肌含む)・高血圧・癲癇・腎臓疾患・肝臓疾患・心臓疾患・アレルギー・喘息・高齢者などの方は、精油の使用には十分な注意が必要である。事前に確認し、場合によっては使用を控える。
・体調がすぐれず、香りに敏感な時は使用を控える。
・精油原液が肌に付かないように注意すること。(万が一ついた場合は、大量の水で洗い流す。)
・異常を感じた時は、即使用を中止すること。(必要であれば医師の診察を受ける。)
・火気の使用、及び火傷などには十分注意すること。
・適度な換気を心掛け、長時間の使用は控えること。
・色や香りの染みつき、汚れや変質に十分注意すること。
・アロマテラピーは自己責任の原則で行うこと。

2015.02.28掲載

続・お天気香るコラム

Vol.23

2015.02.13

~四季の“雲”景 編~

~ 四季の“雲”景 編 ~ 四季「雲」ばなし

 十人十色の表情で、日々私たちを楽しませてくれる雲たち。そんな様々な表情を浮かべる雲たちでも、大きく10種類の顔に分類することができます。いわゆる“十種雲形”と呼ばれるものです。
実は、空に漂っている雲たちは、それぞれに住み分けをして生活しています。雲は地球上の対流圏という水蒸気が大量に存在する大気の層において発生しますが、その中でも下層、中層、上層で出現する雲の種類が違ってきます。
まず、下層(地上1500m付近)の住民である雲たちですが、薄くのっぺりと引き伸ばしたような灰白色の雲「①層雲」、畑の畝のような波が一面に広がる灰白色の雲「②層積雲」、のっぺりと怪しく寝そべる暗灰色の雲「③乱層雲」(※時に中層にも)が存在します。続いて、中層(地上5500m付近)の住民はと申しますと、天球に灰色のシーツを覆い被せたかのような雲「④高層雲」、青い草原を白羊の群れが駆け抜けていくような雲「⑤高積雲」が存在します。そして、上層(地上10000m付近)の住人におきましては、空を白羽根で優しく撫でたかのような薄くて繊細な雲「⑥巻雲」、天井に灰白色の薄いベールが引っかかったかのような雲「⑦巻層雲」、青魚に張りつく白い鱗のような雲「⑧巻積雲」が存在します。また、下層から中層にかけて住む、綿あめのようにフワフワな白雲「⑨積雲」や、下層から上層にかけて住む、ゲンコツを突き上げるようなゴツゴツとした白雲「⑩積乱雲」といった、背高ノッポな雲の仲間たちもいます。
 俳人・歌人である正岡子規は雑誌「ホトトギス」において、「春雲は綿の如く、夏雲は岩の如く、秋雲は砂の如く、冬雲は鉛の如く…」と、四季に現われる雲たちを表現しています。春の“綿”は、暖かな陽気の上で気持ち良さそうにプカプカと浮かぶ“積雲”、夏の“岩”は、ムンとした草いきれの中に仁王立ちする“積乱雲”、秋の“砂”は、乾いた空指の隙間からサラサラとこぼれ落ちる“巻雲”、冬の“鉛”は、冷たい重石を乗せられて低く垂れ込める“乱層雲(雪雲)”を、それぞれ示しているのではないかと私は考えます。(※日本海側の雪雲は積乱雲であったりもしますが…。)
基本的に十種雲形の雲たちは、どの季節においても出現しますが、季節によって出現しやすい象徴的な雲たちは確かにあります。それを子規は、豊かな感受性と洞察力で見事に表現しているのです。子規はさらに、「晨雲は流るるが如く、午雲は湧くが如く、暮雲は焼くが如し」と続け、一日のうちに現れる雲の姿も、心に迫りくる言葉で表現しています。“四季”に敏感な“子規”は、実に魅力的な人物です。

四季「雲」熟語

◎暗雲低迷(あんうんていめい)
…暗黒をまとった雲が怪しく垂れ込めるかの如く、悪い出来事に飲み込まれてしまいそうな様子。また、なかなか暗いトンネルから抜け出すことができないこと。
◎雲烟縹渺(うんえんひょうびょう)
…雲が足跡も残さず、さらさらと流れ去ってしまうように、ある事柄に後ろ髪を引かれることなく、淡々としている様子。
◎雲散霧消(うんさんむしょう)
…気ままに浮かぶ雲が弾け散り、緩やかに漂う霧が吹き消えるように、鮮やかに消えてなくなってしまう様子。
◎雲集霧散(うんしゅうむさん)
…雲がワラワラと湧いて集まるように、霧がハラハラと瞬く間に散っていくように、沢山のものたちが寄り集まっては散っていく様。
◎雲蒸竜変(うんじょうりょうへん)
…空に雲が急に湧き立ち、竜が縦横無尽に駆け巡るかの如く、この時とばかりにやってきて、勢いに乗じて自らの力を存分に発揮する様。
◎雲泥万里(うんでいばんり)
…空に浮かぶ雲と地に張りつく泥ほどにかけ離れ、気が遠くなるほどの距離がある様子。あからさまに大きな隔たりがあること。
◎閑雲野鶴(かんうんやかく)
…フワフワと想いを空に浮かべながら、思う存分に羽根を広げて悠々自適に生きている様。
◎行雲流水(こううんりゅうすい)
…風まかせな浮雲のように、川を駆け下る清水のように、深く考えずその場の流れに身をまかせること。また、その場の色に染まりながら、滞ることなく過ぎ去ってゆくこと。
◎晴雲秋月(せいうんしゅうげつ)
…冴えわたる晴天に浮かぶ純白の綿雲のように、澄みわたる秋夜に浮かぶ透明な丸月のように、真っ直ぐに突き抜けるほどの純真さが眩しい、無垢な心のこと。
◎和風慶雲(わふうけいうん)
…頬を撫でる和やかな微風のように、さりげなく慶福を届けてくれる白雲のように、穏やかで幸せな空気を醸し出す偉大な存在。

四季「雲」なウェザーアロマ

この時季、日本海側ではもはや定番となってしまった“鉛”の空。一方、晴天が続いていたお向かいの太平洋側の空にも、2月頃になると“鉛”の雲が広がる日も出てきて、時おり雪を降らせることがあります。一般的に日本海側の“鉛”は、北西の季節風が日本海を渡る際に発生させる雲由来のものになりますが、太平洋側の“鉛”は、春先にかけて次第に日本列島の南岸を通過するようになる低気圧が発生させる雲由来のものになります。
以前にも少しご紹介したと思いますが、大空を鉛で塞がれて光を全身に浴びることができなくなってしまうと、同時に心身の活動力も塞がれてしまい、倦怠感や鬱のような状態を引き起こしやすくなってしまいます。1つの要因としては、太陽の光により促される日中の昇温と、私たちの活動リズムに合わせた体温上昇との共鳴が崩壊することにより、体内のバランス機能が崩れて体調不良に繋がるのだともいわれています。そもそも、私たちは暗闇に包まれると不安感や恐怖心を抱き、ストレスを感じる生き物なのです。
やはり一日の始まりは、晴れやかな明るい気分でスタートしたいもの。気持ちよく一日のスタートを切ることができれば、その日の充実度に大きな差が生まれてくることは間違いありません。鉛の空が広がって気分が重たくなりがちな朝でも、キラキラとしたアロマのシャワーを浴びて、元気に一日を始めてみませんか。

モーニングサンシャインアロマシャワー

[使用材料] 
・精製水45ml 
・無水エタノール 5ml 
・精油 10滴以下<ローズマリー5滴・グレープフルーツ5滴>
ローズマリー
(^-^)…学名:Rosmarinus officinalis が示すように、海の雫<Ros(雫)・marinus(海の)>がキラキラと乱反射するように、クリアでスッキリとしたハーブの香り。シャキッと目を覚ましてくれる精油。
グレープフルーツ
(^-^)…学名:Citrus paradisi が示すように、楽園<paradisi>を明るく照らす光のように、溢れるフレッシュ感が眩しいシトラスの香り。明るく元気にさせてくれる精油。
[作成手順]
① ビーカーに入れた無水エタノールに精油を垂らし、ガラス棒で撹拌する。
② 精製水を加え、さらによくかき混ぜる。
③ 遮光ガラススプレー瓶に移し、ラベル(作成日、レシピ)を貼る。
※空間にひと吹きすれば、キラキラと輝く朝を届けてくれる。
[使用上の注意]
・基本的に、妊婦・授乳婦・子ども・皮膚炎(敏感肌含む)・高血圧・癲癇・腎臓疾患・肝臓疾患・心臓疾患・アレルギー・喘息・高齢者などの方は、精油の使用には十分な注意が必要である。事前に確認し、場合によっては使用を控えること。
・色や香りの染みつき、汚れには十分注意すること。
・精油原液が肌に付かないように注意すること。(万が一ついた場合は、大量の水で洗い流す。)
・異常を感じた時は即使用を中止すること。(必要であれば医師の診察を受ける。)
・長時間使用は控え、適宜換気を行う。
・高温多湿を避け冷暗所保存。使用期限は約2~3週間。
・アルコール過敏の方は使用を控えること。
・体調がすぐれず、香りに敏感な時は使用を控える。
・アロマテラピーは自己責任の原則で行うこと。

2015.02.13掲載

続・お天気香るコラム

Vol.22

2015.01.31

~四季の“空”景 編~

~ 四季の“空”景 編 ~ 四季『空』ばなし

 四季折々に豊かな表情を浮かべる空ですが、季節によって様々な落し物をしていきます。そんな落し物を幾つか拾ってみましょう。
春空からの落し物には、あまり歓迎されないものもあります。その一つが黄砂です。中国大陸方面のゴビ砂漠やタクラマカン砂漠などといった地域において、高く巻き上げられた砂塵が偏西風の流れに乗って運ばれてくる現象です。春に黄砂が落とされがちなのは、その原因物質が低気圧の通過などで巻き上げられやすい状態になるうえ、輸送ルートとなる偏西風の流れが日本列島の上空付近を通ることが多くなるためと考えられます。また近年、拡大しつつある砂漠化により被害が拡大しつつあるともいわれています。
夏空の落し物といったら、やはり虹でしょう。夕立後に描かれる七色のアーチは、私たちに幸せを運んでくれます。虹が見える一般的な条件としては、空気中に雨粒が漂っていること。そして、太陽を背にしてその水滴を見ること(つまり、朝方や夕方であること。)が挙げられます。ちなみに、虹が7色に見えるのは、太陽光線(白)を構成している赤・橙・黄・緑・青・藍・紫といった7つの光に屈折率の違いがあるからです。簡単にいうと、太陽光線が雨粒の中に入り込むと、構成する7つの光がそれぞれ違う角度で屈折・反射するため7色に分かれて見えるのです。
秋空が深まる頃、静かな朝に落とされるのが朝霧です。近年“天空の城”として話題の竹田城の雲海は、麓に流れる川の蒸気霧が作りだす美しい光景です。秋の朝に雲海が出やすい基本的な条件としては、前日に雨が降るなどして湿度が高い状態であること。夜間、風もなくすっきりと晴れ、放射冷却がきいてよく冷えている状態であることなどが挙げられます。目安としては、日の出前から日の出後1~2時間くらいまでの間に発生しやすいといえます。地上の気温が上がるとともに、霧はすぐに解消してしまうのです。
冬空から落とされて大地に突き刺さるものといえば霜柱です。私たちの身近にある霜柱ですが、実は微妙なバランスの上で出来ているのはご存じでしょうか。通常、地表が0℃以下でも、地中は0℃以上といった条件が必要です。地表が0℃以下になると地表は凍りますが、土の中が0℃以上で湿っている場合、毛細管現象(水などが管の内側を上昇しようとする現象)により地中の水分が吸い上げられます。その水分は地表付近で凍りますが、再び地中より水分が供給されます。この繰り返しにより縦長の氷柱が成長し、霜柱が形成されるわけです。
四季の空から落とされる“落し物”を探して拾い集めてみるのも、なかなか乙なものです。

四季『空』熟語

◎迂疎空闊 (うそくうかつ)
…持っているものがざっくりとし過ぎていて、用に足りない様子。
◎海闊天空 (かいかつてんくう)
…地平線の果てにまで広がる大海原や、天高くにまで突き抜ける大空のように、寛容でさらっとした性格。
◎空空寂寂 (くうくうじゃくじゃく)
…白々としていて、静々としている心の状態。すっぽりと穴が空いたように、何もなくひそやかな様。
◎空空漠漠 (くうくうばくばく)
…焦点が定まらないほどに、延々で広大な様子。あまりに果てしなく、ぼやけている状態。
◎空前絶後 (くうぜんぜつご)
…以前にも見たことがなく、今後も見ることがないであろう貴重な事例。滅多に起こりえない珍しい出来事。
◎空即是色 (くうそくぜしき)
…この世に存在する全てのものの本質は空虚であり、それによって成立しているということ。
◎空中楼閣 (くうちゅうのろうかく)
…海にユラユラと浮かぶスカイスクレーパーの蜃気楼のように、いくら立派でも所詮は実態がなく空想的なもの。また、非現実的な考え方。
◎空理空論 (くうりくうろん)
…いくら美しい花瓶でも底が抜けていたらその役割を果たさないように、立派でも非現実的で全く意味を成さない考え方。
◎十室九空 ( じっしつきゅうくう)
…十戸のうち九戸が空き家となるほどに、活気が枯れ果て寂れてしまっている状態。
◎万里一空 (ばんりいっくう)
…遥か彼方にまで広がる世界でも、同じ空のもとに存在しているという考え方。また、見定めた一つの目標に向かって、どこまでもひたむきに力を尽くすこと。

四季『空』なウェザーアロマ

キンキンに冷えた空から落とされる寒気玉が、肩に重くのしかかる厳しい冬のど真ん中。暦の上でも「大寒」を向かえ、これから立春の頃までの期間が、一年で最も寒い時季といわれます。
そんな冷空から勢いよく落とされる寒気玉とともに、毎年この時季にきまって落とされるものが1つあります。それは受験という試練です。受験生の皆さんは、突き刺さる寒さとプレッシャーに追い立てられながらも、身を奮い立たせながら頑張っていることと思います。今回はそんな皆さんに、細やかではございますが、私からちょっぴりウェザーアロマなご提案をさせていただきたいと思います。この時季の厳しい寒さや酷い乾燥、人ごみにより蔓延するウィルスにも負けないための精油、そして、いざという時の集中力アップにも期待できるような精油を使用した合格祈願の御守を作成して、頑張る受験生にプレゼントしてみてはいかがでしょうか。
また、その御守と同じ香りを、普段から時々お部屋に漂わせておくと、緊張する試験会場で御守の香りを嗅いだ時、慣れ親しんだいつもの香りに包まれることで、自分の部屋にいるような落ち着いた雰囲気で、試験にのぞめるといったメリットも考えられます。
ただし、御守に付ける香りはほどほどに。周囲の迷惑になっては困りますし、何より本人が気分悪くなってしまっては、元も子もなくなりかねませんので。また、日々の体調によって香りの感じ方は変化しますし、香りの好みもありますので、その点も十分考慮した上、身体に負担のかからない範囲で使用しましょう。

迫りくる敵を打ち破れ!合格祈願のアロマ御守!! 

[使用材料] 
・メッセージカード(小) 1枚 
・封筒 1枚 
・ムエット 2枚 
・リボン 1本
・精油 <レモン1滴・バジル1滴>
レモン
(^-^)…目が覚めるほどのフレッシュ感が、キリッと弾けるシトラスの香り。うす笑いを浮かべて近づくウィルスから、優れた殺菌力で守ってくれる精油。免疫力を高めて、感染症予防に力を貸してくれる。キリリとした香りで、疲れて落ち込みがちな集中力も持ち上げてくれる精油。
バジル
(^-^)…スパイシーでスッキリとしたグリーンハーブの香りの中に、ほのかな甘さも漂わせる香り。モヤモヤした頭の中をクリアにして、集中力を取り戻してくれる精油。殺菌作用にも期待大で、風邪の季節に活躍してくれる精油。
[作成手順]
① 手に付かないよう注意しながら、ムエットに精油を1滴垂らす。
② カードにメッセージなどを書き込んだら穴を開け、リボンで飾って御守を作る。
③ ムエットにしっかりと精油が染み込んだら、御守りとともに封筒へ入れ、封をして香りを移す。
※御守の香りを楽しみながら、集中力や免疫力のアップに役立てる。
[使用上の注意]
・基本的に、妊婦・授乳婦・子ども・皮膚炎(敏感肌含む)・高血圧・癲癇・腎臓疾患・肝臓疾患・心臓疾患・アレルギー・喘息・高齢者などの方は、精油の使用には十分な注意が必要である。事前に確認し、場合によっては使用を控えること。
・色や香りの染みつき、汚れには十分注意すること。
・精油原液が肌に付かないように注意すること。(万が一ついた場合は、大量の水で洗い流す。)
・異常を感じた時は即使用を中止すること。(必要であれば医師の診察を受ける。)
・適度な換気を心掛け、長時間の使用は控えること。
・喘息や咳などがみられる場合は行わないこと。
・体調が優れず、香りに敏感な時は使用を控えること。
・アロマテラピーは自己責任の原則で行うこと。

2015.01.31掲載

続・お天気香るコラム

Vol.4

2014.05.29

~春の「雲」景 編~

~ 春の『雲』景 編 ~ 『春雲』ばなし

雲雀(ひばり)が放り投げる、ぴりぴりと輝く高声のビーズが、空一面に撒き散らかされる、うららかな春の日。青空には、ぼんやりとかかる、優しくてナイーブなソフトチュールのヴェール雲。恥ずかしがり屋な春空の素顔を、隠すかのようにして漂う霞雲。そして、時にぽこぽこと生まれ出て、楽しげな可愛らしい面持ちで、愛嬌を振りまく綿雲。次第に雲たちは、賑やかにおしゃべりを始め、空の表情は豊かに咲き出して、心うきうきと弾みだす季節がやってきます。
春の空にも多様な雲が浮かびますが、印象深いのは、ふんわりと空を覆うような、夢見心地で幻想的な霞雲。春香る雲景として忘れることはできないでしょう。春の訪れとともに、南からの暖かくしっとりとした空気に包まれるようになると、空には水蒸気が増えてくるため、薄い雲が広がったような春霞となるわけです。
それでも、やはり春をイメージさせる雲として、真っ先に目蓋に浮かぶのは、何といってもクリームソーダのバニラアイスのように、ぽわんぽわんと浮かぶ真っ白で柔らかな綿雲ではないでしょうか。春になると次第に日差しが強くなり、日中、地表がよく温められるようになると、そこに上昇気流が発生して、いわゆる積雲と呼ばれる雲が、空に浮かぶことが多くなるのです。

『春雲』ことば

◎ 春雲(はるぐも)…春色のメイクを乗せた明るい笑顔で、しなやかに優しく漂い始める雲。
◎ 芳雲(ほううん)…春のフレグランスをふんわりとまとった、華やかさと香しさあふれる雲。
◎ 絮雲(じょうん)…ふかふかなコットンボールを転がしたかのように浮かぶ、可愛らしい雲の玉。積雲。
◎ つみ雲(ぐも)…青空をぷかぷかと気持ちよさそうに流れる、白いマシュマロのような雲。積雲。
◎ 綿雲(わたぐも)…大空にぽこぽこと生まれる、どこか愛嬌があって人懐こい、丸く柔らかい白雲。積雲。
◎ 恵雲(けいうん)…彩花と若緑の春国を、しっとりと優しく濡らす雨雲。“恵”みの雨を運ぶ“雲”。
◎ 淡雲(あわぐも)…心地いい春の淡い夢に誘うかの如く漂う、すりガラスのように繊細な薄い雲。巻層雲。
◎ 薄雲(うすぐも)…春光が溢れ出す空を、柔らかくシフォンのように包み込む半透明な薄い雲。巻層雲。
◎ 鳥雲(とりぐも)…北へと旅立つ渡り鳥との、別れを惜しむ空に広がる、切なさがにじむ曇り雲。
◎ 鎌雲(かまぐも)…鎌風を振るい下ろし、時に牙を剥く雲。春疾風を呼ぶ、ちょっと危険な香りのする雲

『春雲』なウェザーアロマ

見渡せば、春霞の淡雲。紗のかかった幻想的な風景で、夢見心地へと誘います。そんな春が煙る空のおかげで、私たちの心と身体もちょっぴり視程不良。春の空と同じく、ぼんやり霞んでしまいます。
見上げれば、春天の浮雲。次々に顔を覗かせては、あっち行ったりこっち行ったり、ふわふわと漂います。そんな風まかせな“お気楽雲”たちは、私たちの気持ちまでも、一緒にぷかぷかと空に浮かべてしまいます。
“春眠暁を覚えず”。日本列島が、緩やかに春の移動性高気圧に浸されれば、優しい温もりが心地よい晴れの天気が広がり、春の時が穏やかに流れゆくと、うっかり朝寝坊なんてことも起こりがちです。ゆったりとした春の柔らかい世界に浸って、リラックスするのも大切ですが、春のバスタブに浸かり過ぎると、集中力は低下してしまい、心と身体がふやけてしまうかも。加えて、五月病などといわれる春の病が、しっぽを引きずる時季でもあるので、注意が必要です。
そんなこの季節、思いのほか気持ちがゆるゆるに溶けてしまい、スイッチが上手く入らなくなってしまったなら、気持ちを引き締めてくれるような香りの精油を使用したアロマクラフトを作成して、リセットしてみてはいかがでしょうか。

シャープな香風でリフレッシュ、“モヒート”風アロマカーテン

[使用材料] 
・リボン 1~2本(適度な長さと吸湿性のあるもの)
・安全ピン1~2本
・精油 1~2滴<ライム1滴・スペアミント1滴>

ライム 
(^-^)…シャープなキレ味とオシャレな苦味、そして、微かに漂わせる甘さの誘惑が癖になるシトラスの香り。ぬるま湯に浸かって鈍った感性をきりりと引き締め、集中力を取り戻してくれる精油。
スペアミント
(^-^)…澄みわたる爽快感が次々と湧き出すミントの香り。炭酸水のような弾ける透明感で、春の緩みがちな心と身体をリフレッシュさせてくれる精油。

[作成手順]
① リボンに精油を垂らす。
② リボンにしっかり精油が染み込んだら、安全ピンなどでカーテンに装着する。
③ 窓を開けて空気の入れ替えをしながら、吹き込むアロマな風で心身ともにリフレッシュ。

[使用上の注意]
・基本的に、妊婦・授乳婦・子ども・皮膚炎(敏感肌含む)・高血圧・癲癇・腎臓疾患・肝臓疾患・心臓疾患・アレルギー・喘息・高齢者などの方は、精油の使用には十分な注意が必要である。事前に確認し、場合によっては使用を控えること。
・長時間の使用は控えること。
・カーテンなどへの色や香りの染みつきや汚れ、安全ピンなどによる破損には十分注意すること。
・精油原液が肌に付かないように注意すること。(万が一ついた場合は、大量の水で洗い流す。)
・異常を感じた時は即使用を中止すること。(必要であれば医師の診察を受ける。)
・安全ピンなどによるケガに注意。・アロマテラピーは自己責任の原則で行うこと。

2014.05.29 掲載

続・お天気香るコラム

Vol.3

2014.05.13

~春の「風」景 編~

~ 春の『風』景 編 ~ 『春風』ばなし

降り注ぐ春光のシャワーに、とろける目元。うたた寝する子犬の鼻先をくすぐる、細やかな春風の指先。柔らかく霞んだパステルブルーの空の下。流れるマシュマロな時間。しかし、時に小さくはためかせた悪戯な蝶羽の波動が、呼び起こす春の剥きだしな大嵐。“ふわふわでほわほわ”な風がそよぐ、まあるい季節の裏側で、“ぶわぶわでぼわぼわ”な風が逆巻く、とんがった季節。
春の風はうららかで実に気持ちよく、花びらを乗せてそよそよと泳ぎ、時を緩やかに流がしていく、そんなイメージを持っている人が多いかもしれませんが、実際には、春はたびたび嵐を巻き起こし、大風を呼び込みます。つまり春は、表裏一体のスリリングな表情を浮かべる季節でもあるのです。
春うららに揺れる春の微風の隣には、日本海を頻繁にやってくるようになった、急激に発達する低気圧がもたらす強風が潜んでいます。低気圧が通り過ぎる前に吹き込む、生ぬるく湿った南寄りの強風や、通り過ぎた後の一時的な西高東低の冬型の気圧配置による、冷たい北よりの乾いた強風が隠れていたりするわけです。また、名残惜しく寒気が日本付近に舞い降りてくれば、強まりつつある日射や南風がもたらす暖気と、激しくぶつかりケンカが勃発し、やはり嵐が巻き起こって、激しい風を発生させることもあるのです。このように、春の風は、実はかなりのやんちゃ坊主だったりもするのです。

『春風』ことば

◎ 東風(こち)…冬の凍てつく北風に変わって吹き始める、待ちに待った春を知らせる風。
○ 雲雀東風(ひばりごち)…春を歌う雲雀に寄り添って吹く風。
○ 梅東風(うめごち)…梅花の香をまとう春の甘い風。
○ 桜東風(さくらごち)…桜花を祝福する春に煌めく風。
○ 鰆東風(さわらごち)…“春告げ魚”鰆を水揚げする頃に吹く風。
◎ 花信風(かしんふう)…花の季節の到来を知らせる風。彩香あふれる花手紙を届けてくれる風の定期便。
【『二十四番花信風』~小寒から穀雨までの八気二十四候に宛てられた、24通の花手紙~】
「小寒」…芹乃栄<梅(うめ)>・水泉動<椿(つばき)>・雉始鳴<水仙(すいせん)>
「大寒」…欸冬華<沈丁花(じんちょうげ)>・水沢腹堅<蘭(らん)>・鶏始乳<灰木(はいのき)>
「立春」…東風解凍<黄梅(おうばい)>・黄鶯睍睆<山桜桃(ゆすらうめ)>・魚上氷<辛夷(こぶし)>
「雨水」…土脉潤起<菜(な)の花(はな)>・霞始靆<杏(あんず)>・草木萌動<李(すもも)>
「啓蟄」…蟄虫啓戸<桃(もも)>・桃始笑<山吹(やまぶき)>・菜虫化蝶<薔薇(ばら)>
「春分」…雀始巣<海棠(かいどう)>・櫻始開<梨(なし)>・雷乃発声<木蓮(もくれん)>
「清明」…玄鳥至<桐(きり)>・鴻雁北<麦(むぎ)>・虹始見<柳(やなぎ)>
「穀雨」…葭始生<牡丹(ぼたん)>・霜止出苗<頭巾薔薇(ときんいばら)>・牡丹華<栴檀(せんだん)> 
※「節気名」…候名<花名>
◎ 春疾風(はるはやて)…まだ春浅き頃に吹き荒れる強風。
○ 春一番…目覚めたての春に初めて吹き込む強い南風。
○ 春二番…桜の花の目覚し時計となる強い南風。春一番の次に吹く、“春一番”同様の強風。
○ 春三番…花びらを踊らせて桜吹雪を起こす強い南風。春二番に続く、“春一番”同様の強風。
◎ 香風…花の香りを振りかけた芳風。
◎ 木芽風(このめかぜ)…生まれたての木芽を優しく撫でる風。
◎ 風炎(ふうえん)…フェーン”現象を引き起こす風。春は強い南風により、日本海側で引き起こされがち。
◎ 陽風…春のエネルギーに満ちる風。
◎ 落風…花びらを踊らせる春の強い風。
◎ 流風…春色に染まり、麗かに漂う風。
◎ 遅風…柔らかな春にゆらりゆらりと揺れる風。

『春風』なウェザーアロマ

お話ししたように、春は予想外に嵐を呼ぶ季節でもあります。油断すると足元をすくわれます。この季節、時に訪れる“爆弾低気圧”いわゆる“メイストーム”は大きな災害を引き起こすわけですが、この低気圧による気象要素の大きな変化は、健康的にも大きな被害をもたらすのです。ここでは、低気圧が日本海を通過する際に急変する、「風」に着目してみていきましょう。
低気圧の通過前においては、暖かく湿った南風が強まります。しかし、通過後は冷たく乾いた北風へと急変します。つまり、急激に強まる風とともに、通過前は気温・湿度が上昇しますが、通過後は気温・湿度ともに急降下することになるのです。
この急変により発生しがちな心身的影響としては、自律神経のアンバランス、及び免疫力低下、精神的不安定、また、循環器系や呼吸器系のトラブル、皮膚のトラブルなどが考えられます。さらには、強風により巻き上げられる花粉やホコリによるアレルギーへも注意が必要です。ちなみに、春の花粉症はスギやヒノキの花粉によるものだけではありません。北海道方面ではシラカンバの花粉がピークを向かえていますし、ハンノキやネズ、コナラなどの花粉症もあります。
今回は、春の穏やかな微風から不意に春の嵐に放り込まれ、過度に高ぶってしまった交感神経に対して、自律神経のアンバランスを改善するウェザーアロマレシピをお届けしたいと思います。

“あらし”の世界から“いやし”の世界へと誘う、芳風安眠ピロー

[使用材料] 
・小さめの袋<精油が染み出ないもの> 1枚
・カット綿<厚め> 1枚 
・リボン 1本
・精油 3滴以下<ネロリ1滴・スイートマジョラム1滴>

ネロリ 
(^-^)…微かにシトラスミストを振りかけたような、しっとりとしたフローラルの香り。メイストームに刺激されて、ぱちぱちと弾ける高ぶった神経を慰め、心身のバランスを安定化させてくれる精油。
スイートマジョラム
(^-^)…心が洗われる純真なグリーンが気持ちいいハーブの香り。春の嵐に打たれて固まった金属的な心身を、温かいふかふかのベッドで、丸く柔らかに癒してくれる精油。

[作成手順]
① 手に付かないよう注意しながら、厚めのカット綿に精油を垂らす。
② カット綿にしっかり精油が染み込んだら、小さめの袋に入れ、リボンで口を結ぶ。
③ 気持ちが高ぶったり、落ち着かない夜に、枕の下へ忍ばせてリラックス。

[使用上の注意]
・基本的に、妊婦・授乳婦・子ども・皮膚炎(敏感肌含む)・高血圧・癲癇・腎臓疾患・肝臓疾患・心臓疾患・アレルギー・喘息・高齢者などの方は、精油の使用には十分な注意が必要である。事前に確認し、場合によっては使用を控えること。
・色や香りの染みつき、汚れには十分注意すること。
・精油原液が肌に付かないように注意すること。(万が一ついた場合は、大量の水で洗い流す。)
・異常を感じた時は即使用を中止すること。(必要であれば医師の診察を受ける。)
・適度な換気を心掛け、長時間使用は控えること。
・アロマテラピーは自己責任の原則で行うこと。

2014.05.13 掲載

続・お天気香るコラム

Vol.2

2014.04.25

~春の「空」景 編~

~ 春の『空』景 編 ~ 『春空』ばなし

重ね着していた服を思いきり脱ぎ捨てて、ミストブルーの晴れ空に浮かべる、柔らかなすっぴんの心。ミルクグレーの曇り空とペールピンクの桜の花が織りなすコントラスに、まどろむ春の日。時に、はしゃぎ過ぎた花たちを、しっとりと濡らす淡い雨の雫。夢うつつに広がる香り華やぐ季節です。
春の息遣いに揺れる頃、大陸と日本列島に架けられていた筋状の雲橋はいつしか消えて、春の温帯低気圧と移動性高気圧が手を繋ぎ、日本海を西から東に向かって、うきうきとお散歩へ出かけるようになります。つまりは、低気圧と高気圧が周期的に訪れるため、春は天気が目まぐるしく変化する季節というわけです。
一般的に、日本海を低気圧が通過する際は、天気は崩れますが、南寄りの風が吹き込むことにより気温は上がります。逆に低気圧が通過した後は、天気は回復に向かいますが、風が北寄りに変わり気温は急激に下がります。さらに、高気圧が接近すると次第に風もおさまり晴れて、昼間は気温が上昇しますが、夜間は放射冷却により気温が急激に下降します。そして、高気圧が過ぎ去れば、天気は再び下り坂となりますが、南寄りの風が入ることにより再び気温は上がるのです。実にアップダウンが激しいジェットコースターウェザーといえるでしょう。

『春空』ことば

◎ 蒼天(そうてん)…春夏秋冬の天空を示す“蒼天・昊天・旻天・上天”のうちの一つで、春空を表すことば。
◎ 円清(えんせい)…穏やかに晴れわたる春の優しい青空。“清”らかで“円”やかな表情を浮かべる青空。
◎ 養花天(ようかてん)…“花”の季節を“養”うために、“天”一面にミルクをこぼしたような、春の白曇りな空。
◎ 春陰(しゅんいん)…晴れの日が続かないナイーブな春の空で寝そべる、曇りがちなお天気。
◎ 霞の空(かすみのそら)ろ…ミストを振りかけたような春のぼんやり空。春のファインダー越しに写るピンボケ空。
◎ 鰊曇(にしんぐもり)…北海道地方で鰊が水揚げされるころに、広く覆われがちな春の曇り空。
◎ 鳥曇(とりぐもり)…ひと冬を越し、旅立ちを向かえた渡り鳥が、勢いよく飛び込む白く曇りがちな春の空。
◎ 春曇(はるぐもり)…ぽやんぽやんと眠たそうに横たわる、柔らかで緩やかな春の曇り空。
◎ 春天(しゅんてん)…思わず大きなあくびを転がしたくなるような、春がふわふわと流れる空。
◎ 春暁(しゅんぎょう)…無音轟く暗闇に、神聖な朝の光が滲み始める、まだ薄暗い春の夜明け。

『春空』なウェザーアロマ

先にも述べたように、春は優しい日射しが気持ちよく降り注ぎ、気温が上がって麗かに晴れる日もある一方で、低気圧と高気圧が次々と頻繁に通過し、さらには、時おり寒気の名残も降りてきて、日本列島に不時着することがあるため、
一年の中でも、お天気の変化が特に大きい季節になります。つまりは、気温や気圧、湿度や日照時間などのアップダウンが非常に大きくなる時季というわけです。したがって、その様々な気象要素の急変に慣れるまでは、なかなか身体が対応できず、
心身に多くの健康的不調を引き起こしがちなのです。例えば、気温の急低下による免疫力低下、低気圧の接近に伴う偏頭痛、低気圧通過後の冷たく乾いた北風がもたらす肌荒れ、曇りがちな空模様による気分の落ち込みなどを始めとした、
数々の悪影響が考えられるのです。その中でも、やはりこの時期としては、気温の急変に伴う体調不良に多くの人たちが悩まされるのではないでしょうか。ここでは、急激な気温低下を原因とした免疫力低下に伴う感染症の予防に着目したウェザーアロマレシピをご提案します。

気温のアップダウンに伴う、心身の不調をノックダウン

[使用材料] 
・ディフューザー 1機 
・精油 <レモン3滴・バジル2滴> ※滴数は各機器の取扱い説明書に準ずる。

レモン 
(^-^)…フレッシュ感が目の前で一気に炸裂する、直球シトラスの香り。低下しがちな免疫力を強化することで、感染症の抑制に力を発揮してくれる精油。優れた殺菌力で空間までも洗浄する。
バジル
(^-^)…シャープなキレ感が心地よく突き刺さる、ハーブの香り。昼夜の気温差にやられ、モヤモヤと澱んでしまった心身を、クリアにシャキッと蘇らせ、元気を注入してくれる精油。

[作成手順]
① ディフューザーをセットして、精油を垂らす。
② 空間に精油の香りを拡散させる。
③ 香りの空間に身を浸し、免疫力を持ち上げて、感染症の予防に努める。

[使用上の注意]
・基本的に、妊婦・授乳婦・子ども・皮膚炎(敏感肌含む)・高血圧・癲癇・腎臓疾患・肝臓疾患・心臓疾患・アレルギー・喘息・高齢者などの方は、精油の使用には十分な注意が必要である。事前に確認し、場合によっては使用を控えること。
・色や香りの染みつき、汚れには十分注意すること。
・精油原液が肌に付かないように注意すること。(万が一ついた場合は、大量の水で洗い流す。)
・異常を感じた時は即使用を中止すること。(必要であれば医師の診察を受ける。)
・適度な換気を心掛け、長時間使用は控えること。
・アロマテラピーは自己責任の原則で行うこと。

2014.04.25 掲載

続・お天気香るコラム

Vol.1

2014.04.11

~春の「香」景 編~

~ 春の『香』景 編 ~ 『春香』ばなし

ベランダをすり抜ける春の吐息。お日様の匂いを吸い込んで揺れる洗濯物。棚引く春煙の帯に乗って、ゆらゆらと漂う花香のビーズが至る所で弾けだし、心もうきうきと弾みだす、“春香”る季節。
日本人にとって春の代名詞といえば、何といっても桜でしょう。南の国で咲かせた桜フレグランスの前線は、今年も順調に北上を続け、もうすぐ北の国にまで届けられます。ほのかに揺れる桜の香りは何ともしなやかで、様々な思い出ともリンクしながら、心の奥にまで染みわたるものです。
そんな桜香ですが、残念ながらアロマテラピーで使用する精油としては、あまりお目にかかることはありません。なぜなら、精油にするは芳香性が弱いことが1つの大きな要因であるようです。
ちなみに、この桜の匂いを組み立てているのは、「フェニルエチルアルコール」、「ベンズアルデヒド」、「アニス酸メチル」、「クマリン」などといった特徴的な芳香成分だといわれています。なかでも、「クマリン」という成分には、肌に塗布した状態で強い紫外線に当たると、皮膚にシミや炎症を引き起こす、いわゆる“光毒性”といった性質があります。アロマテラピーの扉をくぐると、頻繁にお目にかかるキーワードです。
いい香りではありますが、たとえ桜の精油を抽出したとしても、成分的な観点からみてみると、少し使用には注意が必要な精油であるといえるかもしれませんね。

『春香』ことば

◎ 山笑う…生気が湧き立つ明るくこんもりとした山が、頬に桜色のチークを乗せて、優しく微笑んでいるかのような情景。
◎ 花曇り…桜の花が賑やかに笑い始める頃に広がる、幻想的な柔らかいミルク色の曇り空。
◎ 花嵐…桜の花を空へ巻き上げるような強風。ちなみに、春の強い南風を一言でいうなら、“春一番”が「花兆し」の嵐、“春二番”を「花起こし」の嵐、“春三番”は「花散らし」の嵐といったところ。
◎ 花いかだ…桜の花びらが水面で少し寂しげに揺れながら、春を乗せて静かに流れゆく様子。
◎ 花むしろ…空に広げていた桜のスカーフが落ちて、地面を覆いピンク色に染める様子。
◎ 水温む…お日様がこぼした春光の粒が水面できらきらと飛び跳ね、川や池の水が温まること。
◎ うらら(うららか)…ふわふわとした柔らかい太陽に寄りかかり、春の清らかな光を全身に浴びて輝いているような様子。

『春香』なウェザーアロマ

実は、アロマテラピーで好まれるポピュラーな精油の中にも、このクマリン類を含有するものがいくつか存在します。柑橘系の精油に多いのが特徴で、その代表選手がベルガモットの精油になります。ベルガモット精油には、クマリン類に分類されるフロクマリン類のベルガプテンやベルガモテンといった成分が含まれているのです。よって、やはりこの精油を使用する際も、“光毒性・皮膚感作”に注意が必要となるわけです。
しかし、ベルガモット精油の中には、FCF<フロクマリンフリー>・BGF<ベルガプテンフリー>などといった光毒性の原因成分を、意図的に除去したものも販売されています。用途に応じて、このような精油を使用するのもいいでしょう。ただし、アロマテラピーは偉大なる自然の恩恵に感謝しながら楽しむものであるとも考えます。したがって、私たちにとって都合の悪いものだからといって、むやみに切り捨てるというのもどうかと思うのです。私たちは自然の中で生かされていることをしっかり理解し、自然に寄り添って共存していこうという心も、実は大切なことなのではないでしょうか。
よって、ここではあえて、光毒性の成分を除去していないベルガモット精油を使用した、春にぴったりなウェザーアロマレシピをご紹介いたします。

お日様の匂いが微笑みかける、春陽のフレグランスシャワー

[使用材料][1回分] 
・精製水45ml 
・無水エタノール 5ml 
・精油 10滴以下<ベルガモット7滴・メリッサ3滴>

ベルガモット 
(^-^)…春のうららかな日差しをイメージさせるシトラスの香り。スタートした新生活で張り切り過ぎた心身を、太陽の匂いが染みついた柔らかなブランケットのような優しさで癒してくれる精油。
メリッサ<レモンバーム>
(^-^)…柔らかな草原で光の子が飛び跳ねて遊ぶかのような、明るくフレッシュなハーブ系の香り。微かにレモン香も漂わす。変化の激しい春天で、うつむきがちな心身を蘇らせてくれる精油。

[作成手順]
① ビーカーに入れた無水エタノールに精油を垂らし、ガラス棒で撹拌する。
② 精製水を加え、さらによくかき混ぜる。
③ 遮光ガラススプレー瓶に移し、ラベル(作成日、レシピ)を貼る。
※空間に一吹きすれば、春天と新生活で疲れた心身を優しい日溜りのような香りが癒してくれる。

[使用上の注意]
・基本的に、妊婦・授乳婦・子ども・皮膚炎(敏感肌含む)・高血圧・癲癇・腎臓疾患・肝臓疾患・心臓疾患・アレルギー・喘息・高齢者などの方は、精油の使用には十分な注意が必要である。事前に確認し、場合によっては使用を控えること。
・色や香りの染みつき、汚れには十分注意すること。
・精油原液が肌に付かないように注意すること。(万が一ついた場合は、大量の水で洗い流す。)
・異常を感じた時は即使用を中止すること。(必要であれば医師の診察を受ける。)
・長時間使用は控え、適宜換気を行う。・高温多湿を避け冷暗所保存。使用期限は約2~3週間。
・アロマテラピーは自己責任の原則で行うこと。

2014.04.11 掲載


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