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生きもの歳時記

沖縄の海辺から

干潟に散った亜熱帯の色紅葉 ~シオマネキの仲間~

 季節感の乏しい亜熱帯の沖縄で海辺の秋のイメージを無理やり探してみました。赤、橙、黄、茶の散紅葉は、マングローブの干潟に生きるカニ、シオマネキの仲間。沖縄には8種のシオマネキ類が生息しています。一気に言うとベニ・ヒメ・ヤエヤマ・ルリマダラ・シモフリ・リュウキュウ・オキナワハクセン・シオマネキ。カラフルさがわかりますか。沖縄本島では、狭い干潟でも5種、6種のシオマネキ類を一同に見ることができます。

  シオマネキ類の特徴は、雄の大きな片方のはさみ。潮が引いた干潟で、盛んにこの大きなハサミを振り雌ガニの気をひくウェイビングという行動を行います。これがやがて満ちてくる潮を招いているようなので「潮招き」と呼ばれます。沖縄では、冬でも暖かい日には活動してウェイビングをしており、一年中求愛の活力があるようです。でも繁殖のピークは春から夏にかけてとみられ、夏の終わりから秋にかけては、干潟に小さな仔ガニがたくさん現れます。赤、白、青の宝石のような子供たちは、母親のカニの腹から海に放たれ、プランクトン生活を無事に生き残り、成長とともにゾエア、メガロパという形態を経ながらカニの形に変態して干潟に戻ってきたのです。

  近年の開発に伴う干潟の消滅で、シオマネキ類の群集も少なくなってきています。レッドデータブックで希少性が示されている種もあり、生息環境の保全が課題となっています。 沖縄では見られない山の紅葉を思い浮かべながら、干潟で赤、橙、黄の乱舞をみている額に汗、まだまだ暑い沖縄の秋。


小型で黄色いはさみのオキナワハクセンシオマネキ(オス)

絶滅危惧種(レッドデータおきなわ)のシオマネキ、
オスのはさみは太くて大きい

平たいはさみのヒメシオマネキ(オス)、
海に近いところに多い

細長い大きなはさみのヤエヤマシオマネキ(オス)

小型で赤いはさみがあざやかなベニシオマネキ(オス)

全身真っ赤なベニシオマネキ(メス)

■参考文献
・ 酒井 恒,1976 日本産蟹類,講談社,461pp.
・ (財)海中公園センター監修,1987 沖縄海中生物図鑑7甲殻類(カニ),250pp.
・ 細谷誠一・鹿谷法一・土屋 誠,1993 シオマネキUca arcuataの沖縄島からの記録,
    沖縄生物学会誌31:41-45
・ 西村三郎 編著,1995 原色検索日本海岸動物図鑑[Ⅱ],保育社,663pp.
・ 沖縄県,1996 沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物-レッドデータおきなわ-,479pp.


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