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高齢化社会のバイオクリマ

No.1

2016.04.06

吉野正敏

高齢化社会のバイオクリマ(序)

この連続エッセイ10年の歴史

 新年度、2016年4月からスタートする連続エッセイ「高齢化社会のバイオクリマ」は、隔週で更新する連続エッセイの6本目である。これまでのテーマは、「風を歩く」・「異常気象を追う」・「暮らしの中のバイオクリマ」・「温暖化と生きる」・「異常気象時代のバイオクリマ」であった。それぞれ2年間続けたのだから、すでに10年間連続したことになる。いわば10周年記念の年である。この長い期間の読者の皆様に、深く感謝したい。また、この継続を可能にしたバイオクリマ研究会の事務局の方がたにも、この場を借りて謝意を表したい。上記の5本の内、3本が次記の3冊の単行本になっている。すなわち、
 吉野正敏(2008):世界の風・日本の風。気象ブックス020、成山堂、140+5ページ。
 吉野正敏(2010):地球温暖化時代の異常気象。気象ブックス033、成山堂、201+6ページ。
 吉野正敏(2013):極端化する気候と生活;温暖化と生きる。古今書院、216ページ。
 それぞれの表紙を(図1)(図2)(図3)に示す。

左から(図1)「世界の風・日本の風」の表紙カバー。原本は四六版。 (図2)「地球温暖化時代の異常気象」の表紙カバー。原本は四六版。 (図3)「極端化する気候と生活:温暖化と生きる」の表紙カバー。原本はA5版。

左から(図1)「世界の風・日本の風」の表紙カバー。原本は四六版。 (図2)「地球温暖化時代の異常気象」の表紙カバー。原本は四六版。 (図3)「極端化する気候と生活:温暖化と生きる」の表紙カバー。原本はA5版。

連続エッセイ「高齢化社会のバイオクリマ」:テーマの主旨

 従来のバイオクリマ研究は、年齢別に見たバイオクリマの諸現象の多少・強弱・遅速などにおける高齢者の特徴の解明であった。そうして、対策や対応を年齢別に考察・指摘し、高齢者へ発信することであった。
 しかしながら、最近の高齢者の生活環境には、従来は考えられてこなかった新しい課題が発生してきた。すなわち、

  1. 高齢者を取り巻く社会経済的な環境変化。例えば、年金生活者の経済的基盤の変化。当然、個人的なバイオクリマ対策の内容に関係する。
  2. 高齢者の家庭内における生活環境変化。例えば、高齢者の一人暮らしの増加、家族看護の質と量の変化などがある。これはバイオクリマ対策の質に関係する。
  3. 介護制度・政策・保険の充実。これはバイオクリマの専門的で、より高度の知識の必要性を生じる。バイオクリマ研究者(会)はそれに対処しなければならない。
  4. 高齢者率の増大は、一方では、少子化社会を意味する。これにともなうバイオクリマ諸問題の内容、その強弱、力点の変化・移動の検討が必要になる。
  5. 具体的には、災害避難における高齢者対策。例えば、バイオクリマを考慮した地域社会・各個人の避難手段・避難生活の計画設計をしておく。

 このような新しい課題をさらに掘り下げねばならない。その契機にこのエッセイが役立てば幸いである。

問題の分類

上記の主旨をバイオクリマを意識して分類すると次のようになろう。すなわち、

  1. 高齢者個々の生理学的・医学的・衛生学的な問題解明。
  2. 日常生活・介護における家族間の絆、地域社会とのかかわりの把握。
  3. 地方では市町村、大都市では区や町などの地域・地方自治体における対策・体制確立。
  4. 災害時における情報伝達・避難行動などの具体的方法確立。特に男女別、年齢別、行動難易度別の考察・対策が必要。
  5. 少子化社会における若年層が高齢者に対応する意欲・意識・実態の推定など。
  6. 高齢化社会における異常性格者の犯罪、その対策。
  7. 高齢化社会における事故率の分析。例えば交通標識・道路設計の検討。

以上の外にもあろう。機会に応じて取り上げてゆきたい。

更新方法など

 これまでの連続エッセイと同じく、更新は隔週とする。上記のような諸問題があるが、教科書的に順を追って述べるのではなく、その時々の季節に応じ、社会で発生した問題に応じ、話題を取り上げてゆきたい。


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