スマートフォンサイトを見る

高齢化社会のバイオクリマ

No.7

2016.07.06

吉野正敏

高齢化社会の地域差

高齢者率

 高齢化社会のバイオクリマに関係する多くの問題は、高齢者率によって内容や程度が違ってくる。ところが、高齢者率の日本国内における地域差については、あまり解析されていない。ごく大まかには、日本全体の話として、65歳以上の高齢者は2014年に26%で、ほぼ4人に1人である。そして、75歳以上は8人に1人の割合となっている。また、2035年には65歳以上の人は3人に1人となる推定である。このようなことは新聞・テレビなどで取り上げられているので、周知のことである。
 一方、若者・働き盛りの人は大都市に集中する傾向があるので、大都市の高齢者率は農村より小さいことは指摘されている。また国内に地域差があるとは言われているが、具体的なことはあまり知られていない。そこで、今回、若干触れてみたい。地域差を知ることは、高齢化社会におけるバイオクリマ対策の基本である。

地方別に見た高齢者率

 日本の地方別の高齢者率を(表1)に示す。連続エッセイ[6]でも少し触れたが、今回は人口や2040年推定値も表に入れて詳しく述べたい。

(表1)地方別に見た2014年の人口と65歳以上の高齢者率(%)、および、2040年の推定高齢者率(%)

地方人口(2014)65歳以上の高齢者率の地方平均値
  2014年2040年推定値

北海道5,400 千人28.1 %40.7 %
東北地方9,03628.940.0
関東地方33,70124.735.6
中部地方21,48027.537.0
近畿地方22,57526.836.5
中国地方7,43629.437.3
四国地方3,87830.339.9
九州地方13,05928.036.8

(参考)
[南西諸島]
沖縄県


1,421


19.0


30.3

[大都市]
東京都

13,390

22.5

33.5
大阪府8,83625.736.0

(平成27年度版「介護白書」の資料により、吉野作表)

 この表から日本における地方のスケールで見た高齢者率の地域差は次のとおりである。まず、2040年の推定高齢者率は北日本が大である。2014年の高齢者率は中国・四国・九州の西日本でも大であるが、この傾向はなくなると推定される。南日本で小さいことは沖縄県の値で知ることができる。
 大都市ではすでにいわれているように高齢者率は2014年にも小さく2040年推定値でも比較的小さい。関東地方の平均値が小さいのは東京都、および、それに隣接する神奈川県・千葉県・埼玉県などが比較的に小さいためである。同じように、近畿地方が小さいのは大阪府に隣接する京都府・兵庫県などが比較的小さいためである。
 四国地方は2014年の値、2040年推定値ともに大きい。四国4県の中では特に高知県が大きい。これに関しては前報「連続エッセイ[6]でも述べたが、詳しい検討が必要である。

県別に見た要介護2、要介護4の介護認定者数の極大

 連続エッセイ[5]で、(1)介護認定者数を、要介護1,2,3,4,5の階級(介護度と呼ぶことにする)別にみると日本全国の総計では下位の介護度1の人数が最も多く、次第に少なくなって、介護度5の認定者数が最も少ない、そして、(2)府県の合計値でも、市町村のレベルの合計値でも、介護度2、4に極大が出る場合があることを述べた。(3)また、新潟県の例で市町村レベルの内容の概略を紹介した。
 これをもう少し詳しく北日本から西南日本まで都府県別の合計結果を今回は紹介する。(表2)はその結果を地方ごとにくくったものである。

(表2)地方別にまとめた県合計の介護度(要介護の階級)の極大出現数(-は0を意味する)

地方都道府県
の数
 
介護度府県名
 12345介護度2介護度4

北海道1
東方地方6
関東地方7
中部地方93新潟・山梨・岐阜
近畿地方73京都・大阪・奈良
中国地方511鳥取島根
四国地方411徳島高知
九州地方83熊本・大分・鹿児島
南西諸島11沖縄

(2,016年2月末現在の資料により、吉野集計)

 この表からわかることは次のとおりである。(1)北日本・関東地方・中部地方と近畿地方の太平洋岸の諸県には現われない。(2)介護度2に極大が出るのは中部地方以西の日本海側の県である。(3)介護度4に極大が出るのは、中国地方・四国地方以西である。
 このように、日本における北と南の対照は明確である。その理由の解明が急がれる。それがバイオクリマによる高齢化対策、特に、介護基準を通じた高齢化社会対策の根本にも関わるからである。


PC用サイトを見る

Contactお問合せ

PC用サイトを見る

気象情報Weather Information
健康予報BioWeather
生気象学についてAbout BioWeather
コラムColumn

スマートフォンサイトを見る

ページ上部へ
Page
Top

Menu