
デカン高原(インド)のベジタリアン農村に調査で二カ月間滞在したことがある。この村での唯一の動物性タンパク源はヨーグルトであるが、牛は草類しか食べてないから牛乳は植物性タンパク源ということになる。ときおり魚を食べているが魚は海の野菜だというから面白い。実は、大豆は畑の肉と命名したのはベジタリアンではないドイツ人で、良質のタンパク質を多量に含んでいることに由来するようである。七月ともなれば、特に都会では熱中症が心配のたねとなる。古川柳に「暑いこと酒の相手に奴出る」という粋な句がある。夏バテに大豆から作られる冷奴を食べながら、酒(米)かビール(麦)で体内まで温度を下げたいものである。日本の夏はまさにベジタリアン向きの夏かと兼好法師も認めてくれそうである。

夏の暑い時は、熱気のこもりがちな室内よりは、風通しのよい縁側の方がよいのは言うまでもないことである。が、カレイが縁側とはどういうことかというと、カレイのヒレの付け根部分を縁側と言い、その肉がおいしいということらしい。要するに運動の激しい部分の肉で、豚のモモ肉や鳥のテバ肉などと同じく総じて味がよく、夏バテで食欲の進まないときには最良の食材である。
昨今の建物は気密性がよく冬の寒さには適しているが、猛暑の夏には冷房病を避けようとするあまり、夜間に熱中症で死亡する独居老人が少なくない。徒然草が誇る夏向きの隙間の多かった日本の建物を見直したいものである。未だに自然換気を重視している沖縄の方が東北地方より熱中症発症率が少ないことが実証されている。