
バイオウェザー川柳ならぬバイオウェザー俳句として一茶の句を選んだのは、秋もさかり朝夕はかなり冷えつつあるころの親心に感動したからである。文政二年(一八一九年)の秋に一茶は長女を亡くし悲嘆にくれていたころの翌秋にこの句を詠っているのである。砧(きぬた)というのは木槌で布を打って柔らかくして、寝ているかわいい子供に着せてあげようという母心を表現しているのである。砧打ちで布の汚れや皺をとるという面では現代風に言えば電気アイロンかけであるが、母親の手の温もりが感じられる昔の省エネ道具でもある。汚れだけでなくハウスダストなどにはびこる家ダニなどを熱で駆除する上ではアイロンに軍配を上げらざるを得ない。