
昨今のペットブームで、ちょっとした病気で動物病院が立て込んでいる。犬も風邪をひくようで、平熱でも人間より体温が高いが、風邪だとさらに高くなり鼻面が乾くようである。十一月も後半になると秋風と言っても木枯らしのように乾燥していて寒い。そろそろ山越えの風もフェーンではなくボラのような寒く強い風、おろし風(颪)である。そのうえ移動性高気圧下の晴天日は放射冷却も激しく、ダックスフンドのように地面を這うような子犬や、人間だと幼児や車椅子障害者などにとっては、夏の猛暑だけでなく寒候季の低温も要注意の道路環境である。特に従来型の舗装道路では保水性も透水性もなく乾燥気味であり、低温化や高温化を和らげることができない。

七十二候の小雪の項に、旬の果物としてりんごが紹介されている。りんごは栄養がいっぱいで、カリウムやカルシウム、鉄分、植物繊維、ビタミンCなど豊富である。甘蜜に満ち、がりっと歯ごたえのある果物である。りんごの収穫は秋口から始まるが、新米の収穫では新酒とともに天地の神さまに捧げて祝う新嘗祭の日が「勤労感謝」の日(十一月二十三日)なのである。古くは飛鳥時代から行われてきた新嘗祭として、今でも宮中や伊勢神宮などの神社で継承されている。勤労感謝の日を「手袋の日」と決められたのはまだ今日ほど温暖化の顕著でなかった一九八一年であった。この頃から急激に寒くなるので手がかじかまないようにという思いが込められていたのである。