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お天気アロマテラピー

続・お天気香るコラム

Vol.26

2015.03.27

~春の“雨”景 編~

~ 春の“雨”景 編 ~ 春雨 ばなし

春の雨と書いて春雨(はるさめ)と呼んだりしますが、皆さんはこの雨をどのような雨としてイメージされるでしょうか。一般的には、しとしとと風景を濡らし、ほんのりと暖かさを香らせ始める、細くてしなやかな雨を春雨というようです。寒さで固まっていた心を優しく濡らし、ゆっくりと静かに解かしてくれる、そんな雨とも言えるのではないでしょうか。この時季の雨は、長雨になりやすいといった特徴があります。菜の花が咲く頃に降り続く春の長雨ということから、菜種梅雨(なたなづゆ)と呼ばれたりします。また、菜花雨(さいかう)、催花雨(さいかう)、春霖(しゅんりん)と呼ばれることもあります。
菜種梅雨は、3月から4月頃にかけて起こりがちな、冬から春へと移行する際に降らせる長雨です。少しずつ弱まる冬の高気圧の張り出しや移動性高気圧の通り道が北へ偏ることによって発生する、冷たく湿った北東からの空気の流れが、太平洋上の高気圧の強まりによって勢力を増す、春の暖かく湿った空気の流れとぶつかって、日本列島の南岸に前線を停滞させます。よって、この停滞前線の影響は、東日本から西日本の太平洋側で見受けられることが多いのが特徴です。
菜種梅雨のように、いわゆる“梅雨”と呼ばれるような現象は、季節の変わり目に発生する、つまりは行く季節と来る季節との隙間に形成される、停滞前線による長雨のことを言います。季節の境界線の長雨、季節をまたぐ長雨とも言えるでしょう。冬と春の空気がぶつかり合う境目で降らせる長雨を菜種梅雨というほか、春と夏の空気のぶつかり合う境目で降らせる長雨を梅雨、夏と秋の空気のぶつかり合う境目で降らせる長雨を秋雨、秋と冬の空気のぶつかり合う境目で降らせる長雨を山茶花梅雨(さざんかづゆ)というように、季節の隙間にはそれぞれに季節の名前を背負った長雨が存在するのです。

「春雨」ことば

◎甘雨(かんう)<慈雨(じう)・雨沢(うたく)・沢雨(たくうう)・膏雨(こうう)・瑞雨(ずいう)・恵雨(けいう)>
…緩み始めた草木のまぶたを優しく濡らし、静かな目覚めを促してくれる春の雨。春を待ちわびる全てのものに降り注ぎ、柔らかな潤いで包んでくれる恵みの雨。
◎花雨(かう)<華雨(かう)・桜雨(おうう・さくらあめ)>
…春の日を“謳歌”する花たちに注がれる、しなやかな春の雨。春の日に噴き出した“桜花”を濡らす、しっとりとした春の雨。
◎花の夕立(はなのゆうだち)
…桜の“花咲き”乱れる季節へ、不意に落とされる夕立。花の“鼻先”からしたたり落ちる夕滴が優美。
◎杏花雨(きょうかう)
…杏の花の朗らかな笑顔が咲く頃に降り注ぐ、緩やかな春の雨。
◎糸雨(いとあめ・しう・いとさめ)<糸の雨(いとのあめ)>
…天空から細やかに垂れ下がる、華奢で淑やかな雨。
◎毛雨(けあめ)
…柔らかな毛足で優しく撫でてくれるほどに、繊細で奥ゆかしい雨。
◎軽雨(けいう)
…春の日を遠慮がちに濡らす、控え目で淡い細雨。
◎紅雨(こうう)
…紅を引くような艶やかな花たちに注がれる春の雨。もしくは、その花たちが散る様。また、花粉などを飲み込んで色がついたように見える雨。
◎木芽雨(このめあめ)
…木の芽を大きく膨らませるために、春のエネルギーを注入する雨。
◎暖雨(だんう)
…凍えていた生き物たちの心身をゆっくりと解かしてゆく、春の暖かな雨。
◎春時雨(はるしぐれ)<春の時雨(はるのしぐれ)・春驟雨(はるしゅうう)・春夕立(はるゆううだち)>
…無防備な柔らかい春の日をめがけて、時に激しく投げつけられる雨玉。大気の状態が不安定になりがちな春先に降るにわか雨。

「春雨」なウェザーアロマ

菜種梅雨を始めとした季節の変わり目に“梅雨”をもたらす様々な前線は、それぞれに性質の違う季節の空気がせめぎ合う場でもあります。よって、季節が行ったり来たりするため、気温などの大きな変動を伴い、身体は大きなダメージを受けることになります。さらに、3月から4月にかけてのこの季節においては新生活をスタートさせる人も多く、これまでの生活環境ががらりと変わる時季とも重なるため、想像以上に精神的にも大きな負担がかかり、ストレスを溜めてしまいがちです。
このような状態が続くことで自律神経のバランスを崩してしまうと、同時にホルモンのバランスも崩してしまい、免疫力が落ちて体調不良を引き起こしがちになります。特に季節の変わり目においては、日頃から心身に目を向け、早めにケアすることを心がけることが大切です。
季節のボーダーラインである前線が横たわりがちなこの時季。日々の心身のケアに役立てていただきたいウェザーアロマレシピを1つご紹介しましょう。ちょうど「続・お天気アロマコラム」も最終回を向かえ、区切りの時季。新たなシーズンの始まり、新たなステージへの旅立ちという意味も含めまして、心身ともに前向きに力強く飛び立てるような“エナジー系”の精油ブレンドを、感謝の気持ちを込めてプレゼントさせていただきたいと思います。

季節の変わり目の強い味方!“エナジー系”アロマスチーム吸入

[使用材料] 
・洗面器 1つ
・精油 1~3滴<ユーカリ1滴・ライム1滴>

ユーカリ
(^-^)…心身にかかった霧を一気に吹き飛ばしてくれるような、スッキリと澄みわたるミント似の香り。免疫力を高めて抵抗力をアップさせると同時に、優れた殺菌力で力強く守ってくれる精油。また、散らかりがちの心を整理して、ストレスを和らげてくれるような働きもあり。
ライム
(^-^)…ちら見せするオシャレな苦みがグッとくる、キレのあるフレッシュシトラスの香り。疲れて弛みがちな心身をキュッと引き締め、元気を取り戻してくれる精油。さらに、高い殺菌能力でしっかりとバリアを張り、外敵から私たちを守ってくれる。
[作成手順]
① 洗面器に熱い湯を張り、そこに精油を垂らす。
② 蒸気とともに立ち上る精油の香りを吸い込む。※バスタオルなどを被ると湯気が逃げない。
③ 香りが弱くなったら、精油ではなく熱湯を注ぎ足す。
※少し刺激の強い香りになるため、勢いよく吸い込まないように注意する。
[使用上の注意]
・基本的に、妊婦・授乳婦・子ども・皮膚炎(敏感肌含む)・高血圧・癲癇・腎臓疾患・肝臓疾患・心臓疾患・アレルギー・喘息・高齢者などの方は、精油の使用には十分な注意が必要である。事前に確認し、場合によっては使用を控える。
・精油は目や口に入れないこと。
・精油原液が肌に付かないように注意すること。(万が一ついた場合は、大量の水で洗い流す。)
・目は閉じて行うこと。
・喘息や咳がみられる場合は行わないこと。
・刺激がないか確認しながら、慎重に行うこと。
・適度な換気を心掛け、長時間使用も控えること。
・色や香りの染みつき、汚れや変質にも注意すること。容器などは専用のものを用意するとよい。
・異常を感じた時は即使用を中止すること。(必要であれば医師の診察を受ける。)
・お湯で火傷をしないように気をつけること。火気にも注意すること。
・アロマテラピーは自己責任の原則で行うこと。

シリーズ最終回にあたり

長きに亘りまして「続・お天気香るコラム~季節の“香・空・雲・風・雨・雪”景編~」にお付き合いいただき、誠に有難うございました。お陰をもちまして、この度、無事に最終回を向かえることが出来ました。
空が浮かべる豊かな面持ち、植物がかもし出す芳しき香り、季節が織りなす眩い彩りをちょっぴり身近に感じていただき、日々の暮らしの中でホッとできる瞬間を、ほんの少しでも演出することができたなら幸いです。また、お天気と心身との繋がりや香りと心身との繋がり、そして自然と私たち(人間)との繋がりを実感していただく中で、自然の必要性や自然と共生していく意味などを考えるきっかけになっていただけたなら、本当に嬉しく思います。
今後とも「ウェザーアロマ」を、日々の生活の片隅にさりげなく置いていただけると光栄です。
改めまして、これまで温かく見守ってくださった皆さまに、深く感謝申し上げます。


2015.03.27掲載


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