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わたしてんき

Vol.1

2014.01.15

天気とからだ

舟久保 恵美(ふなくぼ・めぐみ)

舟久保 恵美(ふなくぼ・めぐみ)

慶應義塾大学医学部神経内科 非常勤講師.

名古屋大学環境医学研究所にて、天気と痛みの関係について研究し、博士号(医学)取得。低気圧による痛みの悪化のメカニズム、内耳と気圧の関係について研究中。 雨が降る前に古傷が痛む、頭痛がする…そんな経験ありませんか。これは、気のせいではなく、天気のせいかも!?天気とカラダの関係に目を向けてみると、 意外なことに気が付くかもしれません。

この冬、アメリカは20年ぶりの大寒波に襲われ、日本も例年以上に寒い冬となっています。昨年は、酷暑、竜巻、ゲリラ豪雨、「これまでに経験したことのないような大雨」など、異常気象の被害が多く、テレビでも天気をとりあげる時間が多くなってきました。わかりやすく生活に役立つ天気予報が重要視されてきています。これらの気象の変化は各地に大きな被害をもたらすだけでなく、人間の「からだ」や「こころ」にも影響を及ぼします。

お天気などの環境の変化と人間、生き物の関係についての学問を生気象(せいきしょう)学といいます。これから、天気とカラダの関係についてお話していきましょう。

<急激な気温差に注意!>

寒~いこの季節。冷え症、肩や首、腰などが痛くなるという方が多いのではないでしょうか。

雨が降る前や、気温が急激に下がるとき、頭が痛くなったり、古傷が痛んだり・・・これは「天気痛」と呼ばれています。これには、気温差・気圧差と自律神経が大きく影響しています。血管が収縮し血行が悪くなると、筋肉が固くなり、慢性的な痛みが悪化してしまいます。寒い朝に急に動いてギックリ腰になるという経験をお持ちのかたもいるでしょう。 慢性痛のネズミを使った研究では、気温を22℃から15℃へ低下させると痛みが悪化することが証明されています。冬の室内外の気温差はもっと大きくなります。寒いところにいきなり出ると、体の熱を逃がさないように体の表面に近い血管がキュッと収縮し、血圧が上がります。これは交感神経の働きによるものです。慢性的な痛みのある人は、もともと交感神経が強く働いていることがわかっています。気温が下がると、体の冷えにプラスして交感神経が強く刺激され、神経を興奮させ、血圧上昇や痛みの悪化が起こります。一方で、お風呂に入ると体の表面の血管が開くので、血圧が下がります。お風呂やサウナでのぼせるのは、この急激な血圧低下によるものです。外界の急激な変化に自律神経が追い付かず、うまく血圧を調節できなくなってしまうのです。自律神経の働きが弱くなっている高齢者ではとくに危険です。お風呂の脱衣場を小型のヒーターなどであらかじめ温めておき、お風呂の中と外の急激な気温差をなくすことがポイントです。

また、慢性的な痛みのある人は、カイロなどを使って患部を冷やさないように心がけましょう。

寒くて血行が悪くなると、ついつい体に力が入り、肩こりや頭痛が増えてきます。お風呂に入ってゆっくりすれば血行が良くなり頭痛が治ると考えがちですが、実は頭痛には種類があり、温めることで痛みが悪化してしまう頭痛があるのです。それは、よく耳にする“片頭痛”です。頭痛は大きく「緊張型頭痛」と「片頭痛」に分かれます(脳出血など脳の病気は除く)。

<頭痛のタイプの見分け方>

一番簡単な見分け方は、

・お風呂に入ると痛みが和らぐ→緊張型頭痛
・お風呂に入ると痛みが増す→片頭痛

ズキズキ脈打つような痛みを感じる場合は、片頭痛のことが多いのですが、なかには緊張型と片頭痛の混合型の人もいます。手段を間違うと頭痛が悪化してしまいます。肩凝り・頭痛に悩まされている某会社の社長さんのお話。ある日、社員から磁気ネックレスをプレゼントされ着けてみましたが、一向に良くならず、むしろ悪くなってしまいました。よく話を伺うと「お風呂に入ると痛くなる」と。実はこの社長さん、“片頭痛”だったのです。磁気ネックレスによって血行がよくなったのかもしれませんが、痛みが悪化してしまい、ちょっと残念なプレゼントになってしまいました。自分がどちらのタイプかわからないときは、冷やしてみることをお勧めします。

次回、これらの頭痛のメカニズムについて、もう少し詳しくお話します。


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