スマートフォンサイトを見る

わたしてんき

Vol.8

2015.01.31

女性の一生とホルモン変動

丸井朱里(まるい・しゅり)

丸井朱里(まるい・しゅり)

早稲田大学人間科学研究科 体温・体液研究室 博士後期課程1年

2012年早稲田大学人間科学部卒業、2014年早稲田大学人間科学研究科修士課程修了。2014年4月より同大学院博士後期課程に在学中。大学3年次より主に動物実験によって女性ホルモンのエストロゲンが生理機能に与える影響の解明、その問題の解決法の確立を目指して研究を行っている。研究室HP: http://www.f.waseda.jp/k-nagashima/

 新年が明けて早1ヶ月が経とうとしていますが、寒さのピークはこれからが本番ですね。さて、2015年初回のコラムでは「女性の一生とホルモン変動」について少し考えてみましょう。

 私たち女性は初潮を迎えてから閉経までの約40年間、エストロゲンとプロゲステロンの2種類の女性ホルモンが関与することで排卵・月経といった性周期と共に生活をしています。重い生理痛や、月経前症候群(PMS)による不安感等に悩まされている方もいらっしゃることでしょう。

 多くの女性は50歳前後に閉経を迎えると言われています。「もう生理痛やPMSに悩まされることはない!」と喜びたいところです。しかしながら、閉経の前後10年間、つまり「更年期」においても「顔のほてり・のぼせ、動悸、イライラ感」といった更年期障害に悩まされることがあります(1)。
さらに、閉経を迎えるとエストロゲン分泌量の低下により、骨粗鬆症や動脈硬化などの病気に罹りやすくなることが知られています。

 ここで、内閣が報告した資料(2)によると初潮平均年齢は約12歳、厚生労働省の平成25年簡易生命表(3)によると日本人女性の平均寿命は86.61歳であると報告されています。近年の平均寿命の延伸により、初潮~閉経と閉経~寿命までの期間がほぼ同じであることが分かります。

 現在は単に寿命を伸ばすよりも「健康寿命」を伸ばすことが重要視されてきています。上記の背景より、女性においては「いかに閉経後の健康を維持するか」が健康寿命を伸ばす上で大切になってくるだろうと考えています。

 私は血中エストロゲン濃度の低下が、体温、皮膚温、心拍数、血圧日内リズム等の生理機能に与える影響について、実験動物を用いて研究を行っています。更年期に見られる生体リズム変調の解明を目指すことで、女性が健康に長生きできる社会づくりに貢献したいと考えています。

 次回コラムでは、これまでに取り組んできた研究についてご紹介させていただきます。

【用語】
健康寿命:健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間

【参考文献】
1) Takamatsu et al. Effects of Counseling on Climacteric Symptoms in Japanese Postmenopausal Women, J. Obstet. Gynaecol. Res. Vol. 27, No. 3: 133-140, 2001.
2) 第16回教育再生実行会議, 配布資料1発達段階と学校教育,http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouikusaisei/dai16/siryou1.pdf(参照日2015/1/10)
3) 厚生労働省, 平成25年簡易生命表の概況(平成26年7月31日発表)http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life13/(参照日2015/1/10)


PC用サイトを見る

Contactお問合せ

PC用サイトを見る

気象情報Weather Information
健康予報BioWeather
生気象学についてAbout BioWeather
コラムColumn

スマートフォンサイトを見る

ページ上部へ
Page
Top

Menu