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わたしてんき

Vol.6

2014.10.15

年齢に見合った寒さへの付き合い方

近藤 恵美(こんどう・えみ)

近藤 恵美(こんどう・えみ)

豊橋技術科学大学 建築・都市システム学系 助教

豊橋技術科学大学大学院 建設工学専攻修了後、㈱イトーキに勤務。結婚、子育てを経て、名古屋工業大学大学院にて博士号を取得。在学中に悪性腫瘍のため子宮及び卵巣を全摘出。女性ホルモンの大切さを自ら知ることとなる。 健康に暮らす為の居住空間・都市空間のあり方について研究に邁進中。

いよいよ日中の陽射しが恋しい季節になりました。今年もカレンダーはあと2枚です。今年は長雨や台風で災害が続きました。被害に遭われた皆様にはお見舞い申し上げます。

さて、寒さに向かうこの時期、去年よりも今年の方が寒く感じる…と年々冷えやすくなったと感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。年齢とともに周囲環境にすぐに適応できなくなっていくことは、確かなようです。このコラムを担当している私も、更年期まっただ中。女性ホルモンの減少による更年期特有の症状や体調の変化は各所で言われており、寒暑感もその一つであろうことが考えられます。


コラム vol.2で内田先生が動物実験の結果から女性ホルモンが寒冷期の体温維持に役立っていることが明らかになったことを紹介されています。これに追随する結果として、更年期の女性と女子大生に協力していただいた実験結果をご紹介します。冬季、暖房された居室から屋外へちょっとゴミ出しといった状況を想定した実験です。女子大生群はちょっと外へでた状態でもすぐに皮膚表面温度が低下して,皮膚表面から外気へ体温が奪われることを防御できました。しかし更年期の女性群は、直ぐには皮膚表面温度が低下しなかったのです。顕著だったのは手指先の温度で、女子大生群との温度差は30分経過すると 3℃にもなりました。それまでの間、皮膚表面温度が高めの更年期女性群は、体温を寒い外気に奪われ続けたことになります。また、暖かい室内へ戻ってきて 1時間滞在しましたが、更年期の女性群の皮膚表面温度は女子大生群ほど外出する以前の皮膚表面温度に戻らないという結果になりました。私たちには、体温を一定に保つために気温などの変化に備える生理的な機能が備わっています。これが年齢と共に瞬発力をなくすのであれば、積極的に衣類や住まい方で調節するなどの必要性がでてきます。ちょっとしたゴミ出しでも、つい近所での立ち話になる可能性も多いでしょう。外出時にはあらかじめ一枚羽織ってでかけることや、室内を極端に温めすぎないことをお勧めします。


「気温の急激な変化に更年期女性は瞬時に対応できず皮膚温での放熱調節が遅れる」という結果は、エストロゲン濃度の変化に伴うものであるという結論までは至ってはいません。しかし、私も女性ホルモンの変化が脳の体温調節機構に影響を与えていると考えています。

このように年齢とともに変化する私たちの体。それを包む住環境や都市環境は「快適」ばかりを追求すればよいのでしょうか。近年 「Smart Life Project-健康寿命をのばそう」といった取り組みが厚生労働省から発信されています。病気にかかる前に「賢い」生活を送ることで、元気に健康で楽しく毎日が送れることを目標にしています。その為には、年齢に見合った体の変化を受け入れ、自分を知ることが大切になると思います。若い頃と変わってきた自分、今の自分を大切に毎日が送れるようにしたいものです。


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