お天気アロマテラピー
お天気香るコラム
Vol.48
2014.02.24
~土脉潤起・霞始靆・草木萌動~
『土脉潤起・霞始靆・草木萌動』な季節
冬の大きな手の平で、大事に抱え込んでいた白い塊の欠片が、小さな“雨”玉となって指の隙間をくぐり抜け、ウィンクしながらこぼれ落ちると、やがて一筋の“水”の歌となって流れ出し、春を咲かせる大きなうねりを作る「雨水」の季節。
目元をしっとりと濡らす雨に、優しく起こされる大地の土たち。新しい朝に産み落とされる、丸くて柔らかい目覚めの歌を、小さく口ずさみます。「土脉潤起<つちのしょううるおいおこる>」歌。
呼吸を始めた幼い霞たちは、鼻歌を緩やかにたなびかせると、擦りガラス越しに、薄くピンクがかった夢うつつの世界を揺らします。「霞始靆<かすみはじめてたなびく>」歌。
あくびを覗かせる草木たちは、寝ぼけ眼で弾けるフレッシュなフラッシュに目を細めながら、遠慮がちに萌黄色の歌を転がします。「草木萌動<そうもくめばえいずる>」歌。
やがて、ひとつひとつの輝く歌の粒たちは寄り集まり、壮大な合唱の渦となって、春の生命を天つ御空へと響き渡らせるのです。
ぬくぬくと盛り上がり、むくむくと立ち上がる土色
眠そうに目をこする大地を、緩やかに濡らす潤(うるみ)色
土の若き気が“発(は)る”、満ち足りる春茶
ふわふわと呼吸して、ゆらゆらとまばたきする霞色
覚醒する季節の曙に、しっとりとたたずむ菫色
霞の若き夢が“晴(は)る”、立ち込める春紫
ぴちぴちと飛び跳ねて、ぴかぴかと弾け飛ぶ若草色
手の平で受け止める光滴と、隙間からこぼれる萌黄色
草木の若き芽が“張(は)る”、湧き上がる春緑
“春”先に咲かせる、生命の配色
『土脉潤起・霞始靆・草木萌動』な季節のアロマテラピー
滴(したた)り落ちる命の雫が、大地にゆっくりと染み渡り、ど真ん中にまで満ちゆくと、血潮となって流れ始め、温かな体温をまとうようになります。そして、柔らかなまつ毛が南風に揺れる時、ゆっくりと目は開かれ、大地が目覚めるのです。大きく1つ深呼吸すれば、大地の香りが走り出します。
また、夢を膨らませる草花の若芽は、その寝息にささやかな甘さを乗せて、緩やかに漂わせ始めます。まぶたの上で、微笑みながら誘う柔らかい陽射しに、希望の蕾をさらに大きく膨らませて、幸せを炸裂させるその時を、今か今かと待ちわびているのです。
そして、いち早く眩い春を覗き込む、気の早い野山の若者たち。まだ少し鼻の奥に沁みる棘の残る空気に、思わず苦笑い。若さゆえのほろ苦さがにじむ、春の先っぽ。
動き出す柔な力、今はまだ細き力。しかし、それは確かに瞬き始めた生命の輝き。今回はそんな季節に膨らむイメージフレグランスを、春の入口を演出する香り袋にしてお試しください。
生命が目覚める朝に、たなびく霞の香 <2月のイメージフレグランス>
[使用材料]
・小さめの袋<不織布など> 1枚
・カット綿<厚め> 1枚
・リボン 1本
・精油 5滴以下<ベチバー1滴・イランイラン2滴・グレープフルーツ2滴>
ベチバー
(^-^)…ほんのりと温かみを感じさせる、しっとりとした土のような香り。絡みついていた緊張感が次第に緩み、いよいよ動き出す大地の体温を感じさせるような精油。
イランイラン
(^-^)…咲き誇る甘さと美しさで魅了する、濃厚なフローラルの香り。待ちわびている華やぐ季節の到来を予感させるような、解放された心をくすぐる精油。
グレープフルーツ
(^-^)…光が溢れ出すような新鮮さに、ちらりと覗く苦みのアクセントが癖になるシトラスの香り。輝く楽園をイメージさせると同時に、どこか春に盛られるほろ苦さも感じさせるような精油
[作成手順]
① 手に付かないよう注意しながら、厚めのカット綿に精油を垂らす。
② しっかり精油が染み込んだら、不織布などでできた小さめの袋に入れ、リボンで口を結ぶ。
③ 出来上がったら、玄関に置いたり、ドアノブにかけて、春の入口を演出しながら香りを楽しむ。
※好みが分かれる香りであり、高濃度で使用すると頭痛や吐き気をもよおすこともあるので注意。
[使用上の注意]
・基本的に、妊婦・授乳婦・子ども・皮膚炎(敏感肌含む)・高血圧・癲癇・腎臓疾患・肝臓疾患・心臓疾患・アレルギー・喘息・高齢者などの方は、精油の使用には十分な注意が必要である。事前に確認し、場合によっては使用を控えること。
・色や香りの染みつき、汚れには十分注意すること。
・精油原液が肌に付かないように注意すること。(万が一ついた場合は、大量の水で洗い流す。)
・異常を感じた時は即使用を中止すること。(必要であれば医師の診察を受ける。)
・適度な換気を心掛けること。・アロマテラピーは自己責任の原則で行うこと。
2014.02.24 掲載