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お天気豆知識

No.115

2012.5 Categories臨時掲載

連休最後の日の竜巻・突風(上空の寒気)

 今年(2012年)の連休は、5月1日と2日に休みを取ると9連休となる久々の大型連休でした。前半はまあまあの天気でしたが、後半は3日から4日にかけて各地で大雨となり、震災の被災地にも被害が出てしまいました。更に連休最後の6日は、突風が吹いたり竜巻が発生したりで、栃木県南東部や茨城県つくば市北部を中心に多くの家屋が被害を受け死傷者も出てしまいました。
 6日夕方のテレビやラジオの解説を聞いていると、「上空の寒気」という言葉が出ていました。上空の寒気は主に500hPa天気図で判断しています。
 よく眼にする天気図は地上天気図なので、そちらから見て行きましょう。つくば市北部では6日13時頃に竜巻が通過しています。


(図1)5月6日12時の地上天気図

 (図1)はその時刻に最も近い5月6日12時の地上天気図です。日本海南部に1002hPaの低気圧があり、東北東に進んでいます。その低気圧の南の等圧線を見ると、南側に袋状に垂れ下がっていて、関東地方は等圧線の間隔がその南側よりも広くなっています。このように、低気圧の南側で等圧線の間隔が広いところには、小さな低気圧が隠れています。


(図2)5月6日の500hPa天気図(右:9時、左:21時) ↑クリックで拡大

 (図2)が5月6日9時と21時の500hPa天気図です。約5,500mの高さの天気図です。実線は気圧が500hPaになっている高さを結んだ線で、等高度線と言います。点線は500hPa高度の等温線です。矢羽は風向風速を表しています。9時、21時の天気図のどちらもロシア沿海州に低気圧があり、等高度線は袋状に南に垂れ下がっています。等温線も南に垂れ下がっています。日本海は9時の天気図を見ると-24℃以下の寒気に覆われていて、21時の天気図では-21℃以下の寒気に覆われています。これが上空の寒気の正体です。細かい説明は省略しますが、2枚の500hPa天気図を見比べると、12時前後に関東地方を気圧の谷が通過していることが推定できます。
 竜巻が発生した13時前後にひまわり画像とレーダー画像にどのようなものが表れていたのでしょう。
 (図3)は5月6日13時のひまわり可視画像です。関西から東はほとんど雲に覆われていて、関東から北に白く輝く丸みを帯びた雲の塊があります。このような形状の雲は発達した積乱雲によるものです。赤い矢印で示した、白く輝くほぼ円形の雲の下が茨城県から栃木県です。


(図3)ひまわり可視画像(5月6日13時)

(図4)レーダー画像(5月6日13時)

 (図4)は5月6日13時のレーダー画像です。霞ヶ浦の北を時間雨量強度80㎜以上を持った強い雨域が通過中です。この雨域は西方向から進んできました。また、この雨域の北にも強い雨域があります。これらは、(図3)の中で矢印で示した丸みを帯びた白く輝く雲の塊の下になり、垂直方向に発達した積乱雲であることを意味しています。発達した積乱雲は強い雨を降らせるだけでなく、竜巻を発生させたり突風を吹かせたりする力を持っています。
 筆者は横浜市青葉区在住です。この日、青葉区では午後3時過ぎに急に黒い雲に覆われ空が暗くなって風が強くなり、雹交じりの雨が降り雷鳴もありました。ラジオでAMのNHK第一を聞いていたところ、ガリガリという音も入っていました。レーダー画像から強い雨域が近づいてくるのが分かり、風も強まっていたので、ベランダの飛びそうなものをあわてて片付けました。幸いにも、強い雨や雹はすぐに止み、被害はありませんでした。外を見ると傘を待たず濡れて歩いている人も見えました。(写真1)は降り始めの時です。空一面黒い雲で覆われていて、降水が筋状なって見えています。このような空になったら雨宿りしたり、時には安全な場所に避難してください。


(写真1)5月6日15時過ぎの空(横浜市青葉区にて:筆者撮影)

 気象庁のリーフレット「竜巻から身を守る~竜巻注意情報~」に載っている「発達した積乱雲の近づく兆し」を掲載します。

 ・真っ黒い雲が近づき、周囲が急に暗くなる。
 ・雷鳴が聞こえたり、雷光が見えたりする。
 ・ヒヤッとした冷たい風が吹き出す。
 ・大粒の雨や「ひょう」が降り出す。

 


  今回の災害で亡くなられた方にお悔やみを申し上げるとともに、怪我した方、被災された方に心からお見舞い申し上げます。

(天気図、気象衛星画像は気象庁提供)


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