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お天気豆知識

No.10

2002.10 Categories水蒸気

 テレビやラジオの天気予報で「濃霧注意報が出ています」とか「海上濃霧警報が出ています」というのを耳にすることがあります。また霧のため、いつも見えていた丘や建物、入り江や岬、島が見えない、港全体が見えないという経験をお持ちではないでしょうか。
霧は極小さな水の粒、例えば霧吹きでできる水の粒よりもさらに小さな水の粒が空気中に浮かんでいる状態で、水平方向に見える距離が1km以下の時をいいます。ちなみに水平方向に見える距離が1km以上10km未満の時は靄(もや)といいます。


(写真1)沸騰したヤカンの口
から出た湯気の様子

霧はどのようにしてできるのでしょうか。空気には水蒸気という形で水が含まれています。気温によって空気中に含まれる水蒸気の量は決まっています。暖かい空気はたくさんの水蒸気を含むことができますが、冷たい空気は少ししか含むことができません。このため、何かの原因で気温が下がると余分な水蒸気は水の粒となって目に見えてくるのです。
この現象は私たちの身近なところでも見ることができます。(写真1)のように沸騰したヤカンの口から湯気が出てきます。よく見るとヤカンの口のすぐ近くは透明です。これはヤカンの口から出たときはまだ温度が高く、水蒸気の状態だからです。口から少し上の方では、冷やされ余分な水蒸気が水の粒となって目に見えてくるのです。

自然の中で空気が冷やされる原因はいくつかあります。濃い霧で有名な三陸沖の場合はどうでしょうか。三陸沖には親潮という冷たい海流が流れており、夏になるとこの上に太平洋高気圧から暑い湿った空気が流れ込んできます。すると冷たい親潮でこの空気が冷やされます。このため余分な水蒸気は水滴となって空気中に浮かび霧となります。このような霧を移流霧といいます。風向きによってはこの霧が陸に入ることもあります。
空気が沿岸の山に沿って上昇するときにできる霧もあります。高度が上がるほど気温は下がるため、山の斜面に沿って上昇した空気は冷やされ余分な水蒸気は水滴となって空気中に浮かび霧となります。このうような霧は滑昇霧といいます。滑昇霧にしても移流霧にしても、それほど背の高いものではありません。このため沿岸にある1000mくらいの山を越えることはできず、沿岸では霧でも内陸では晴れていることがあるのです。

一方内陸では、放射霧と呼ばれる霧が発生します。気温は、日の出る少し前が最も低くなります。すると空気中の余分な水蒸気が水滴となって霧が発生します。しかし、太陽が昇り気温が高くなるとこの霧は消えてしまいます。放射霧は秋に、しかも日中雨が降り、夜になってよく晴れた時に発生しやすいのです。北海道の旭川やシベリアのような寒い地方では冬に小さな氷の粒でできた霧も発生します。これに光があたるとキラキラと輝いて美しいそうです。


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