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お天気豆知識

天気現象の不思議の記事一覧

No.17

2002.12 Categories光学現象

雨を知らせる虹

  雨上がりの空に、七色に分かれ弧を描いている虹は見ていてもきれいですし、虹を見ると何かいいことがあるのではないかと思ったりもします。古来西洋でも、虹は天国への架け橋と考えられていました。


(図1)虹ができるしくみ

太陽光線に色がないのは、いろいろな色の光(波長が違う)からできているからです。太陽光線がプリズムを通過すると、それぞれの波長による屈折率の違いから、光は虹色に分かれます。虹ができる場合は、雨粒がプリズムの役割と鏡の役割をしています。
(図1)を見て下さい。太陽光線が雨粒に入るときAで屈折し、反対側Bで反射し、雨粒からでるときCでまた屈折して虹ができています。だから、虹は太陽と反対方向に現れます。 西洋の古い天気俚諺(りげん)の中に、「朝の虹は船乗りが警戒し、夕方の虹は船乗りが喜ぶ(Rainbow in morning – sailor take warning, rainbow at night – sailor's delight)br
」というのがあります。虹は太陽と反対方向に見えますから、朝の虹はそれを見た位置に対して西側に現れています。北半球の中緯度帯(30度から60度)、日本列島のある緯度帯は偏西風帯のため、天気は西から崩れてきます。
つまり、雨雲も西から東へと移動することが多くなります。虹が西側にあるということは、虹を作っている雲が西から東に移動するということで、いづれはその雨雲がやってくることになります。その逆に夕方の虹は東側にできますから、その虹を作った雨雲は今居るところから離れていくことになります。
(写真1)の虹は1996年11月13日の朝、大阪府枚方市の北部に位置する楠葉で撮影しました。写真の左にある山の下(虹の付け根あたり)に名神高速の天王山トンネルがあります。その麓を淀川が流れています。虹は撮影地点から西の方に青空を背景に弧を描いて現れています。しかし、この日は午後から風が強くなり、雨が降ったり止んだりの時雨模様の天気となりました。


(写真1)大阪府枚方市楠葉にて撮影(1996年11月13日)

(図2)枚方(アメダス)の風と日照(1996年11月13日)

(図2)は枚方(アメダス)のデータです。雨は、雨量計で観測できるほどの量ではありませんでした。晴れていれば、日照は60分近くまでありますが、日中でもほとんど日照がありません。風も午後から強くなっているのがわかります。まさに、「朝の虹は船乗りが警戒し」の方になりますね。(写真1)の右の方を見ると、山の向こうにモコモコした雲がありますが、これはこれから天気が悪くなる前兆です。


(写真2)沖縄県読谷村にて撮影
(2002年6月8日)

(写真2)の虹は沖縄へ旅行に行った2002年6月8日午前7時前に読谷村にある、残波岬ロイヤルホテルで撮影したものです。
目の前の海は東シナ海ですから、この虹は西側に現れています。朝から虹が見えて嬉しくなりました。この日は、沖縄本島の北の端まで行き、夕方には同じホテルに戻りました。奥間ビーチでの昼食時に雨に降られ、ホテルに帰る途中の伊芸サービスエリアでは激しい雨に降られました。


(図3)金武(上)と胡屋(下)の雨量(2002年6月8日)

読谷村にもアメダスはありますが、ここで雨は観測されていませんでした。
(図3)は読谷村に近いアメダスによる「金武」と「胡屋」の一時間毎の雨のデータです。
どちらも日中に雨が降っています。沖縄は北緯30度より南ですが、6月上旬ではまだ偏西風帯に入っているので、「朝の虹は船乗りが警戒し」の天気になりました。

No.12

2002.11 Categories局地的な気象現象

放射冷却と逆転層

  高気圧に覆われてよく晴れた日の朝は冷え込みますね。こんな日の日中は暖かいので、薄着で出かけたものの、帰りが遅くなると思わぬ寒さにあったりします。特にお酒が一杯入っていい気持ちになった時はいいのですが、酔いが醒めると・・・・・。 私たち人間を含め、地球上のありとあらゆる物から宇宙空間に向けて赤外線が出ています。最近テレビ番組で人体の表面温度を色分けで示すことがありますが、これは人体の表面から放射される赤外線を測定しているのです。気象衛星も雲や地面、海面から反射された太陽光線を観測するだけでなく、それらから出る赤外線も観測しています。夜は太陽が出ていないので、反射された太陽光線だけでは夜の雲の状態はわかりません。
話が雲の話にそれましたが、よく晴れた日のことに話を戻しましょう。地表面から絶えず宇宙空間に向かって赤外線が放射されています。日中は太陽光線で暖められるので、地面の温度はどんどん上がります。しかし、夜になると太陽からの熱が得られません。夜、雲が出ているとエネルギーは宇宙空間に出ていきませんが、よく晴れた日には地面は放射によりどんどん冷えていきます。このような状態を放射冷却といいます。


(図1)接地逆転層

(図1)の赤い線のように、空気中の温度は一般に上空に行くほど低くなります。ところが夜晴れていると地面が冷えるため、そこに接した空気は冷やされます。そのため、地面からある高さまでは上空に行くほど気温が高くなってしまい、地面に近い部分の温度分布は青い線で示したようになります。専門用語で、上空に行くほど気温が高くなっている層のことを逆転層といいます。(図1)のように逆転層が地面に接している場合を接地逆転層といいます。

ここで、熱気球のことを考えてみて下さい。熱気球の中の空気は、バーナーで暖められているため、周りの空気よりも温度が高いのでそれより温度の低い空気に比べて軽くなっています。このため、熱気球は上昇します。ところが、上昇しても周りの空気が熱気球の中の空気の温度と同じか高い場合はどうなるでしょう。熱気球は上昇せずにある高さで留まったり、逆に下降してしまいます。


(図2)大気の安定・不安定

(図2)を見ながら読んでください。ある温度の空気の塊を別の高さに持っていった場合、何も力を加えないでも上昇する場合、「大気は不安定」といい、逆に下降する場合を「大気は安定」といいます。つまり、逆転層の中ではよほど大きな力を加えないと空気が上昇できないので、空気が安定な状態にあるといいます。

(写真1)は2002年10月28日午前6時半前に神奈川県横浜市都筑区にて撮影しました。左側にある煙突から煙が出ていますが、ある高さから右の方にのびています。この日の朝は風が弱く、よく晴れたので夜間の放射冷却により地面が冷やされ、接地逆転層ができたのでしょう。煙突からでた煙は、始め上昇していますが空気が安定状態にある接地逆転層の中で上昇しきれず、その中で吹いていた風により、(写真1)では右の方に流されました。煙のある高さが接地逆転層の上限です。これより上では高さが増すとともに温度が低くなります。まるで、見えない蓋をされているようですね。


(写真1)2002年10月28日午前6時半前に神奈川県横浜市都筑区にて撮影

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