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お天気豆知識

冬の記事一覧

No.107

2009.12 Categories

冬の天気図

 冬はシベリア気団(シベリア高気圧)がユーラシア大陸北東部、つまりシベリア方面で発達します。その一方で北太平洋に大きな低気圧が居座ります。このため西高東低の「冬型気圧配置」となり、日本付近は北よりの季節風が吹きます。この季節風は日本海から水蒸気をもらい、日本海側に雪を降らせ、太平洋側に乾燥した冷たい風を吹かせます。冬型の気圧配置が強いと大陸東岸の沿海州の海岸近くから雲が出来て、日本海が筋状の雲で覆われます(図1右)。このような時は、日本海側では大雪が降ります。季節風が強いと太平洋側にも筋状の雲が現れ、滋賀県や愛知県で大雪となることがあります。そのため、東海道新幹線は京都あるいは米原と名古屋の間で徐行運転をするので遅れることがあります。


(図1)山雪型 2008年2月13日(左:12時の地上天気図、右:12時の赤外画像)

 冬型の気圧配置は大きく分けると、2つのタイプがあります。その一つが日本付近で等圧線が南北に並んだタイプで、山雪型といいます(図1左)。日本海北部に小さな低気圧があったり、気圧の谷が接近するなどして、日本海の等圧線が袋状に湾曲するときがあります(図2左)。このような時は日本海側の平野部で大雪になりやすくなり、里雪型といいます。


(図2)里雪型 2009年2月13日(左:12時の地上天気図、右:12時の可視画像)

 冬型の気圧配置は時々お休みになり、移動性高気圧に覆われます(図3)。このような日は風も弱まり、ホッとしますね。特に日本海側に住んでいる人にとって、太陽の光を充分に浴びることができるのでなおさらではないでしょうか。ただし、このような日は放射冷却が起こるので、朝晩は冷え込みます。


(図3)移動性高気圧(2007年2月13日9時)

 シベリア気団の勢力が弱い年は低気圧の通過が多くなります。また、冬型がお休みになると高気圧だけでなく低気圧も通過します。低気圧が本州の南を通ると太平洋側に冷たい空気が流れ込み、太平洋側でも雪が降ります。(図4)は2004年12月29日の天気図で翌日は冬型になりました。東日本から東北の太平洋側で雪が降り、関東各地では初雪となりました。しかも年末だったので車での帰省客は大変でした。


(図4)太平洋側の雪(2004年12月29日9時)

(図5)南岸低気圧(2006年1月14日21時)

 冬でもときには低気圧の通過で大雨が降ることがあります。2006年1月14日(図5)には本州南岸を通過した低気圧により関東では雷を伴って激しい雨が降りました。日本列島を挟んで日本海と太平洋側を通過する低気圧を「二つ玉低気圧」といいます。(図6)はそのときの天気図で、低気圧の通過により1月6日には岩手県宮古市で冬には珍しく1時間に54㎜の雨が降りました。


(図6)二つ玉低気圧から冬型に(左:2007年1月6日9時 右:2007年1月7日9時)

 2月の終わりから3月のはじめ頃にかけて、日本海に低気圧が入り発達することがあります。日本付近は南よりの強い風が吹き、気温が上昇します。一時的に春のような気温となるので「春一番」と呼ばれます(図7)。しかも、春一番を吹かせた低気圧は日本の東海上で急激に発達するので、(図7)左の天気図からわかるように翌日は冬型の気圧配置になります。日本海側で低気圧が発達すると暖かい空気が流れ込むので山岳地帯では積雪のある雪崩に対する注意が必要です。冬型になると新雪が積もるので、やはり積雪のある山岳地帯では雪崩に対する警戒が必要になります。


(図7)春一番から冬型に(左:2007年2月14日9時 右:2007年2月15日)

 1996年は11月末から12月にかけて冬型の気圧配置になり日本海側で雪が降りました。しかし、12月5日に日本海沿岸を低気圧が発達しながら通過し、暖かい空気が流れ込んだだけでなく、各地で季節はずれの大雨が降りました。このため、翌6日は長野と新潟県の県境にある長野県小谷村の姫川の上流で土石流が発生しました。山間部で作業をしていた人たちがこの土石流に巻き込まれて死傷者が出ています。

(天気図、気象衛星画像は気象庁提供)

No.16

2002.12 Categories

シベリア高気圧

 最近の鉄道のレールは、繋ぎ目の少ないロングレールが使われているので、電車に乗ったとき、規則正しい「ガタゴト~ン、ガタゴト~ン」という音を聞く機会が少なくなりました。レールとレールの繋ぎ目は隙間があるので、あの音はそこを通過するときの音です。レールとレールの繋ぎ目の隙間は、冬に広くなり夏は狭くなります。これは、レールが温度によって伸び縮みするからです。昔は、夏にレールが伸びすぎてあらかじめとってあった隙間では足らず、レールが曲がってしまい電車が止まったこともありました。


(図1)体積が同じで温度の違う空気の比較
(温度の低い空気の方が空気の分子がたっぷりと
入っていて重い。)

レールのように、ある一定量の金属を暖めるとその体積は変わりますが、重さは変わりません。逆に同じ体積で、温度が違う金属の重さを比べると、温度の低い金属の塊の方が重くなります。これは温度により密度の変化が起きているからです。空気も同じ性質があります。同じ体積で温度の違う空気を比べると、温度が低い空気の塊の方が密度が高くなり、重くなります(図1)。

よく晴れた夜、放射冷却で地面が冷やされると、それに接した空気も冷やされて重くなります。冷たい重い空気は谷筋や低いところを流れるため、畑や果樹園では一部の地域だけが霜の被害に遭うことがあります。
冬、シベリアには発達した高気圧が現れます。これをシベリア高気圧といいます。このときの上空の天気図(約5,500mの高さ)をみると、シベリアにはしっかりとした気圧の峰があり、この高さには周囲よりも暖かい空気があります。
北半球の冬は夏に比べて夜が長く、特に緯度の高い地域は太陽が出ている時間はごくわずかです。そうなると太陽で地面が暖められる時間は少なく、放射冷却が起こっている時間の方が遙かに長くなり、そこに接している空気も冷える一方で、地面付近には密度が高い、重たい空気ができます。


(図2)冬型の気圧配置

シベリアの周りを広い範囲で見回すと、東には日本海や太平洋があり、南にはインド洋があります。海と陸の間で吹く海陸風では夜は陸から海に向かって風が吹きます。つまり空気が流れているのです。これは、海(水)は陸に比べて暖まりにくく冷えにくいので、夜の海上は陸よりも温度が高くなり、そのため海上の空気が陸上の空気に比べて暖かくなり、海上では上昇気流が起こりそこに向かって陸から空気が流れ込むからです。
北半球の冬は、陸上が冷えて海上の方が温度が高く、夜に海陸風が起きるときと同じような状態となり、シベリアから海に向かって空気が流れ出そうとします。
ところが南には標高が高いチベット高原や、8,000m級のヒマラヤがあるため、シベリアで作られた冷たく重い空気はここで遮られ、向きを変えて日本に流れ込んできます。このため、日本の冬は格別の寒さとなり、日本海側では大雪となりやすく、太平洋側では風が強く乾燥した晴天となります。しかも、シベリア高気圧の動きは遅いので、このような冬型の天気は何日も続きます。(図2)は冬型の気圧配置のときの天気図です。
ちなみに、コンピューターでのシミュレーション結果ですが、ヒマラヤをなくすと冷たい空気がインドの方に行ってしまった、という話を聞いたことがあります。

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